人は一日に1~1.5リットルほどの尿を排泄します。
この尿を作っているのが「腎臓」です。
腎臓は握りこぶし程の大きさで、腰の上あたりの背中側に左右一つずつあります。
ちなみに、2つあるうちの1つを重い腎臓病の方に移植しても、残り1つの腎臓があれば、健康を維持するのに問題ないと言われています。
腎臓には、塩分などの血液成分を一定に保つという非常に重要な役割を一手に担っています。
特に体内の塩分濃度は、人の生命を左右するほど重要なものです。
血液中のナトリウム濃度は0.9%と決まっていて、これより高くても低くても、人の細胞は生きていくことができません。
細胞が生きるためには、体内の塩分濃度が一定に保たれなければなりません。
そして、その細胞が生きていられる環境を整えているの責任者こそが腎臓なのです。
この記事では、そんな大切な臓器「腎臓」の役割をもう少し詳しく解説し、塩分の取り過ぎがなぜカラダに悪いのか、を分かりやすく説明します。
参考文献
Newton~人体の取扱説明書~ 2020年3月号
海から陸に上がった生物の悩み
太古の昔、すべての生物は海の中で生活していました。
その中の一部の生物が進化を遂げて陸に上がりました。
このとき、
と頭を抱えました。
実はこの問題の解決が、進化に大きな影響を与えています。
僕たちのカラダは、食事をして取り入れた栄養素を燃焼させてエネルギー源にしています。
燃焼させる栄養素は主に以下の3つです。
- 炭水化物
- 脂肪
- たんぱく質
炭水化物と脂肪は、炭素と水素と酸素の原子から構成されているので、燃焼されると「水」と「二酸化炭素」が発生します
水も二酸化炭素も元々、体内にあるものなので、カラダに害はありません。
しかし、たんぱく質は炭素・水素・酸素の他に、窒素の原子も多く含んでいます
たんぱく質の最小単位はアミノ酸ですが、「アミノ(amino)」とは「窒素を含んでいる」という意味です。
窒素は他の元素と反応して様々な物質を作っていて、その中に「アンモニア」もあります。
つまり、たんぱく質が燃焼されると、その代謝産物としてアンモニアが発生します。
小学生の頃に理科で習ったと思いますが、アンモニアには毒性があります。
アンモニアは「水に溶けやすい」という性質があるので、生物が海の中で生活していた頃はすぐに体外に排出できたので、非常に便利でした。
しかし、陸に上がった生物にとっては、アンモニアが不都合な存在になりました。
陸に上がった生物の体内にアンモニアが溜まると、カラダに悪影響を及ぼすので、アンモニアではなく、別の形にして体外に排出する必要がありました。
そこで、窒素を「尿素」という形にして、尿の中に入れて体外に排出するようになったのです。
尿素は毒性が少なく、水にも溶けやすいので好都合でした。
哺乳類は「腎臓で尿を濃縮する」という機能で、血液に含まれる塩分濃度よりも5倍も高い濃度の尿を作るようになり、塩分も効率的に排出できるようになりました。
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血液の管理者「腎臓」の役割とは?
腎臓には、心臓から毎日約1500リットルもの量の血液が送られてきます。
腎臓はその大量の血液をろ過して老廃物を濃縮して尿を作ります。
水を飲むなどして体内の水分量が増えると、たくさんの尿が作られますし、逆に運動など汗をたくさんかいて体内の水分量が減ると、少量の濃い尿が作られます。
こうして、腎臓は尿の量を調節することで、体内の水分量を絶妙にコントロールしているのです。
体液の量や成分については、呼吸器・循環器・消火器などの他の臓器は無責任です。
そこで責任感の強い腎臓が体液のホメオスタシスを一手に担っており、今日もせっせと働いているのです。
塩分の取り過ぎがカラダに悪い理由
腎臓は血液の塩分濃度が0.9%になるように調節しています。
なので、食事でしょっぱいものをたくさん食べて、体内に塩分が溜まると、塩分濃度を一定に保つために体液の量が増えます。
つまり、水ぶくれになるのです。
という悩みは体内に塩分が溜まり、塩分濃度を調整するために体液の量が多くなるからです。
血液も塩分濃度を0.9%に保つために水分量が多くなります。
そのため、血管にかかる圧力(血圧)が高くなります。
血圧が高い状態が続くと、血管に負担がかかるため、さまざまな病気の原因になります。
高血圧の方がお医者さんに塩分を控えるように言われるのはそのためです。
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まとめ
僕たちは普段、内臓の働きを目で確認することができないので、ついつい無理をさせてしまいがちです。
僕たちは好きなものを、好きな時間に、好きなだけ食べてますが、その間も僕たちの内臓は文句も言うことなく、働き続けています。
僕はそんな過重労働ぎみの内臓を休ませ、健康なカラダを維持するために「プチ断食のリーンゲインズ」をオススメしています。
リーンゲインズは一日8時間を食事する時間とし、残りの16時間は水分以外のは摂らないという食事法です。
16時間、食事を摂らないと内臓がしっかりと休むことができます。
というのも、内臓が食事を消化するのには、かなりの時間がかかるからです。
- 食事で摂った食べ物は消化されるまで胃の中で平均2~3時間、脂肪分が多いものだと4~5時間
- 小腸が胃から送られてきた消化物を分解し、水分と栄養分を吸収するまでに5~8時間
- 最後に大腸で小腸で吸収されなかったものを吸収するのに15~20時間
多くの方が一日三食の生活スタイルだと思いますが、それだと食事から食事までのスパンが4~7時間になるので、内臓は働きづめになって疲弊してしまいます。
僕たちの内臓に休息を与えましょう!
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参考文献
Newton~人体の取扱説明書~ 2020年3月号
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1.海から陸に上がった生物の悩み
2.血液の管理者「腎臓」の役割とは?
3.塩分の取り過ぎがカラダに悪い理由
4.まとめ