物心がついた頃から、すでに持っている「感情」
感情は人間が自然界で生き残るために、獲得したものであり、感情それぞれに役割があります。
- 恐怖‐人間の生存可能性を上げる
- 怒り‐自分の権利を守る、主従関係をハッキリさせる
感情の役割や獲得した背景についてはこちらの記事をご覧ください。
この記事では、感情が生まれてくる脳の部位について徹底解説していきます。
- 感情って脳のどこから生まれてくるんだろう?
- もし、感情が生まれる脳の部位が壊れたら、どうなってしまうんだろう?
こんな疑問をお持ちの方は参考になると思います。
感情が生まれてくる場所
感情は脳の「扁桃体」という部位から生まれていると考えられています。
扁桃体は側頭葉の内側にあり、記憶を司る「海馬」のすぐ近くにあります。
人は感情を大きく揺さぶられた時の記憶は忘れずらいのですが、それは感情を生み出す扁桃体と記憶を司る海馬が近いからだと考えられています。
感情が生まれる場所を確かめるために行われた残酷な実験
「人の感情がどこから生まれてくるのか」に興味を持った研究者は以下の実験を行いました。
研究者はサルの脳にある扁桃体を破壊するという実験を行いました。
すると、そのサルは食べ物と食べ物じゃないものの区別がつかなくなり、イスなどの普段は性的に興奮しないものにも、性的に興奮し、交尾をしようとしました。
科学の発展のためとは言え、残酷な実験ですね。
今、この実験を行おうとしたら、絶対に動物愛護団体から大ブッシングがきます。まさに、昔だから行うことができた実験です。
倫理的にどうなの?っていう実験を昔はけっこう行っていて、有名な実験でいうと「アルバート坊やの恐怖条件付けの実験」があります。
この実験は「鉄棒をハンマーで叩いて音を鳴らしてから、白ネズミを見せる」という行動を繰り返す白ねずみを見ても平気だった乳児のアルバートくんが白ねずみを見て泣き出すようになるという内容です。
これは古典的条件付け(レスポンデント条件付け)と呼ばれるもので、「パブロフの犬」の実験なんかが有名ですね。
古典的条件付けについては詳しくはこちらの記事をご覧ください。
扁桃体が担う役割
サルを使った実験では、扁桃体を破壊すると、食べ物と食べ物じゃないものの判断がつかなくなりました。
つまり、扁桃体は生物として最も基本的で重要な価値判断を担っているのです。
また、扁桃体は人の表情を判別する働きもあります。
脳活動中に静脈や毛細血管にある赤血球のヘモグロビン濃度を測定するfMRIや血中の酸化したヘモグロビン比率の変化などを測定するPETにより、他者の恐怖・悲しみ・幸福・などの表情を見るとすぐに、扁桃体の活動が活発になるということが分かりました。
人間は社会的な動物であり、他者とコミュニケーションをとって、関係を適切に維持する必要があります。
そのためには、他者の感情状態や意図を知ることが大切ですが、その手掛かりとなる表情を読み取るのに、扁桃体は重要なのです
扁桃体と記憶の関係
扁桃体は記憶を司る海馬と隣合っています。
そのため、「感情」と「記憶」には深い関係があります。
あなたは2011年3月11日 東日本大震災があったとき、何をしていたか覚えていませんか?
しかし、その1か月前のことを思えている方はほとんどいないと思います。
人は感情が大きく揺れ動いたときのことはなかなか忘れません。
そのため、戦争から戻ってきた人や激しいDVを受けた方がいつまでもそのことを忘れられず、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になってしまったりするわけです。
【あわせて読みたい】
【参考文献】
▼このブログを応援する▼
[…] […]