最近はテレビをつければ、「今日は感染者が○○人」「完全失業率は〇%にアップ」など暗いニュースばかり。そういった暗いニュースをずっと見ていると、気分が落ち込んでしまうものです。
このように、他人が苦しんでいたり、悲しんでいたりする様子を見るだけで、自分も落ち込んでしまう現象を「共感疲労(英語:compassion fatigue)」と言います。
共感疲労は1995年にアメリカの心理学者チャールズ・フィグレー博士によって提唱された概念で、「二次受傷」「代理トラウマ」などとも呼ばれます。
もともと共感疲労は、カウンセラーがトラウマ体験をした人に対して、共感的に関わり続けることによって身体的・情緒的に疲労した状態のことを意味していました(Figley , 1995)。
現在では、心理職や介護士、看護師など他者を支援する職業の人以外の場合でも用いられています。
この記事では、そもそも人はどうして「共感」するのか?「共感疲労」を避けるためにはどうすれば良いのかを解説していきます。
人はどうして「共感」するのか?
他人の感情や経験をあたかも自分自身のことのように感じる「共感」という心理は、「同調」と同じように、集団生活をおくる上で他人とうまく付き合っていくために、進化の過程で獲得した能力です。
他人に共感できる能力があるから、人は他人がどう思っているのか、何を感じているのかなどを理解することができ、落ち込んでいるときには心に寄り添って絆を深めることができるのです。
たくさんの人が不安を抱えている今こそ、共感の能力をうまく使って、支え合うことが大切になります。
【「同調」に関する記事】
「共感疲労」を避けるためにはどうすれば良いのか?
テレビなどのメディアは視聴率を上げるために、ドラマティックに演出する傾向があるので、ずっと見ていると、気分が落ち込んでしまうことがあります。
「共感疲労」を避けるためには、ニュースを見過ぎないことが重要になります。
具体的には、「朝のこの時間帯だけニュースを見る」「この情報番組だけ見る」などと、情報を制限する方法が考えられます。
筑波大学の人間系心理学域教授の原田氏は「必要最低限の情報を手に入れればそれで良いわけなので、取り入れる情報を取捨選択することが大切だ」と語ります。
HSPは特に注意が必要!
繊細でストレスを感じやすい気質を持った「HSP(Highly Sensitive Person)」と呼ばれる人は、共感疲労に特に注意が必要です。
HSPとは、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した概念で「刺激にとても敏感で、繊細な気質を持った人」を意味します。
アーロン博士によると、およそ5人に1人がHSPだそうです。
HSPには、「DOES(ダズ)」という以下の4つの特徴があります。
- (Depth of processing)物事を深堀しやすい
- (Overstimulation)刺激を過剰に受けやすい
- (Emotional reactivity and Empathy)共感しやすい
- (Sensing the subtle)小さな刺激や変化に敏感
上記の記事には、HSPセルフチェックがあるので、
と思い始めた方はご覧ください。
最後に
人は一人きりでは生きていけないので、他人とうまく付き合ってために「共感」は大切です。しかし、共感疲労のように自分を苦しめてしまうこともあります。
そのため、自分にあまり関係のないことには共感し過ぎないようにすることで、自分の心の健康を保つことが重要です。
他人を支える前に、まず自分が健康でないと始まりませんもんね!
【引用文献】
科学雑誌「Newton」コロナはなぜ冬こそ危険か。コロナ時代の心理学
Figley Charles R.(1995) Compassion fatigue:Coping with secondary traumatic stress disorder inthose who treat traumatized.Brunner/Mazel:New York
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1.人はどうして「共感」するのか?
2.「共感疲労」を避けるためにはどうすれば良いのか?
3.HSPは特に注意が必要!
4.最後に