コロナ禍で「自粛警察」が生まれた理由を徹底解説

あなたは「自粛警察」という言葉をご存知でしょうか?

自粛警察」とは、緊急事態宣言に伴う、行政による外出や営業などの自粛要請に応じない個人や商店に対して、偏った正義感や嫉妬心、不安感から私的に取り締まりや攻撃を行う一般市民やその行為・風潮を指す俗語です(“自粛警察”,wikipedia)。

 

コロナ禍で「他県ナンバーの車がイタズラされた」といった自粛警察に関するニュースは後を絶たちません。

マインドパレッサー
なぜ自粛警察は生まれたのでしょうか?

その背景には、人の「同調」という心理や日本人の特徴があったのです。

 

自粛警察による実際にあった事例

自粛警察による実際にあった事例

自粛警察による行動には、簡単な注意から暴力などの過剰なものまであります。インターネットで「自粛警察」「コロナハラスメント」などと検索すると、大量の事例が表示されます。

ここでは、自粛警察による実際にあった事例を4つ紹介します。

他県ナンバー狩り

他県ナンバー狩り」とは、、都道府県を越えて観光やレジャーを楽しむ地元ナンバー以外の車両に対する嫌がらせ行為を意味します。

嫌がらせ行為は多岐に渡っていて、具体的には以下のような行為が行われた。

  • 走行中の他県ナンバー車への投石
  • 駐車中の他県ナンバー車両を傷つける、棒などでたたいて凹ませる
  • 走行中の他県ナンバー車両へのあおり運転などの走行妨害行為

公園で遊んでいた子どもへの暴言

公園で子どもたちが遊んでいたところ、通りがかった人がどなるという事件がありました。

また、自粛警察の仕業とは限らないのですが、横浜市の公園の砂場にカッターナイフの刃が20本以上もバラまかれるという事件もありました。

営業している店舗への張り紙や破壊行為

営業を行っていたスポーツクラブのドアが破壊されたり、無観客での配信ライブを行っていた店に自粛を要請する張り紙が張られるなどの迷惑行為がありました。

マスク未使用者に対する過剰な批判

屋外でマスクを着用していなかった女性に対し、男性がマスクを着用するよう大声で迫り、その様子を携帯電話で撮影するということがありました。

 

感染拡大につながる行為を防ぎたいという気持ちは理解できますが、一般市民には警察のように取り締まる権限はありません。

マインドパレッサー
なぜ、このような過剰な行為に及んでしまうのでしょうか?

コロナ禍で「自粛警察」が生まれた理由を徹底解説

United Nations COVID-19 Response from Unsplash

コロナ禍で自殺警察が生まれたのには、「同調」という心理があると考えられています。同調とは、同じ集団に属するメンバーの行動に合わせて、自分の行動を変化されることです。

また、「他者に合わせなければいけない!」と感じることを「同調圧力」と言います。

コロナ禍という未曾有の危機的状況下で同調圧力が高められた結果、一般市民という集団の中で同調していないと思われる人を敵・脅威とみなし、攻撃するという現象が起こっていると考えられます。

 

「同調」のような集団の中における人間の心理などを研究する心理学を「社会心理学」と言います。

社会心理学に関する記事はこちら

 

「同調圧力」の存在を示すアッシュの実験

人はどのくらい他人に同調するのでしょうか?

1955年ポーランド出身の心理学者ソロモン・アッシュ(1907~1996)がそんな疑問を解決すべく、同調現象を調べる実験を行いました。

実験手法は以下の通りです。

まず、被験者は1人で、ある長さの線を見せられます。そして、長さの異なる3本の線を見せられ「最初に見せられた線と同じ長さのものはどれか」と問われます。

3本の線のうち、どの線が最初の線と同じか明らかだったので、約99%の人が正解しました。

 

次に、7~9人で一つのグループになって、同じ実験を行いました。ただし、そのグループは一人の被験者以外は全員サクラで、わざと誤った線を選択しました。

すると、正しい答えが分かっているにもかかわらず、約37%の人はサクラの意見に合わせて明らかに間違っている答えを選択したのです。

アッシュの実験は、人が他人に合わせて自分の考え・行動を変える同調現象の現れだと言えます。

コロナ禍で同調圧力が強まった理由

同調は人間が進化の過程で生き残るために、獲得した心理だと考えられています。

 

人間は自然界の中においては、決して強い生物ではありません。

ライオンやトラのように鋭い牙や爪があるわけではありませんし、ゴリラのような怪力があるわけでもありません。

そんな人間よりも強い生物がいる自然界で生き残るため、人間は集団を作ることで外敵などの脅威に対処するようになりました。

 

集団では、役に立たない人、集団の和を乱す人は邪魔になりますから、そういった人たちは排除されてしまいます。

そこで、人は他メンバーに認めてもらうために、同調などの心理を身に付けたのだと考えられています。

 

新型コロナウイルスという見えない脅威が蔓延している中で、身を守ったり、ウイルス拡散防止の行動をとっていないように見える人は他の集団メンバーからすると、脅威でしかありません。

そのため、集団メンバーはその他者を攻撃・排除しようとするのです。

 

また、コロナ禍で多くの人が一斉に自粛したり、一致団結して新型コロナウイルスに立ち向かおうという考えも、同調圧力を強めた要因であると言えます。

まとめ

コロナ禍で自粛警察が生まれた背景には、人間が生き残るために獲得した「同調」という心理や、集団の和を乱して自分や他の集団メンバーに害を及ぼしかねない人を排除しようする心理があったのです。

 

【引用文献】

科学雑誌「Newton」コロナ時代の心理学 2021年1月号

 

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