一年を締めくくる一大イベントでクリスマス。
プレゼント交換やケーキ、クリスマスツリーなど、楽しいことが一杯です。
ただ、付きまとってくる一つの問題が「プレゼントを何にするか?」です。
もしも、プレゼント選びに失敗してしまうと、口では「わぁ~ありがとう!」とは言ってくれるものの、本心では「うわっいらねぇ。」と思われ、一年に一度のクリスマスを目一杯楽しめなくなってしまいます。
この記事では、あなたのクリスマスをより良くするために、何年にもわたる心理学的研究に基づいた「正しいクリスマスプレゼントを選ぶコツ」をご紹介します。
そもそも何でプレゼントを贈るの?
贈り物に関する心理学によると、誰かにプレゼントを贈るのには2つの意味があります。
1つ目は、受け取る人を喜ばせるためです。
これはあなたが何をプレゼントするかによりますね。
2つ目は、贈る人と受け取る人の人間関係を良好にするためです。
プレゼントを贈る人は「どれだけ受け取る人のことを知っているか(趣味や好みなど)」を受け取る人に示すチャンスです。
プレゼントは人間関係を良くも悪くもする
プレゼントをすれば何でも良いってわけではありません。
贈るものによっては、人間関係を良くも悪くもします。
1999年に129人を対象とした「プレゼントが贈り手‐受け取り手の人間関係に与える影響」を調査した研究(Julie,Cele,Frederic, 1999)では、10人がプレゼントによって関係が悪くなり、そのうちの2人は関係が終わってしまいました。
完璧なクリスマスプレゼントを選ぶコツ
受け取る人に喜ばれるプレゼントは以下の2つの条件がそろっています。
- 受け取る人が欲しいもの
- 贈る人の気持ちがこもっているもの(=贈る人が一生懸命選んだと伝わること)
①か②のどちらかだけでも嬉しいことは嬉しいですが、最高なのは両方の条件がそろったものですよね。
たとえば、この記事の参考となっている「How to choose the right Christmas gift:tips from psychological research」という記事の著者自身の「欲しいもの」「気持ちがこもっているもの」関係は上記のようになっているそうです。
- 欲しいもの(desired)かつ 気持ちがこもっているもの(thoughtful)=ジョークが描かれたカスタムT-シャツ
- 欲しいものだが、気持ちがこもっていないもの(unthoughtful)=お金
- あまり嬉しくない(undesired)だが、気持ちはこもっているもの=星に名前を付けてくれること
- 欲しくないし、気持ちもこもっていないもの=くつ下
高価なプレゼントは喜ばれるの?
プレゼントを贈る人は「より高価なプレゼントほど、気持ちがこもっていると思われる」と考える傾向があります。
しかし、実際はそうでもありません。
プレゼントを受け取る人は高価なプレゼントもそんなに高価ではないプレゼントでも同じように喜んでくれます。
というか、高価さよりもより身近で便利なものの方が喜ばれる場合もあります。
たとえば、家から離れた高級レストランのお食事券よりも、近所にある普通のレストランのお食事券の方が良いといった場合です。
もちろん、人にもよると思いますが、わざわざ遠くまで出向いて食事をするよりも、近くのレストランでお酒を飲んで徒歩で帰るくらい気軽な方が良いという人も多いと思います。
人間関係を良くしたいなら、プレゼントは「物より思い出」
もしあなたが綺麗な包装紙に包んだプレゼントを贈りたいけど、何にしたら良いのか分からないという場合に無難なのは、
- 実用的で、受け取る人用に少しアレンジされたもの(万年筆にイニシャルを入れるなど)
- メッセージを添えたギフトカード
などでしょう。
あなたが物であることにこだわらず、人間関係をより良好にしたいと望むなら、“経験”を贈るのが良いです。
プレゼントとして物と経験のどちらを贈った方がより人間関係を良好にするかを調べた2016年の研究(Cindy ,Cassie, 2016)では、友人に15ドル相当の物か経験を贈ってもらいどちらが喜ばれたか調査しました。
15ドル相当の物は服飾などで、15ドル相当の経験は映画チケットなどです。
その結果、物よりも経験を受け取った人の方がより人間関係が良好になっていたのです。
サプライズには小さな幸せを生み出す力がある
サプライズプレゼントは、相手の喜びを一層大きくします。
心理学的には、予期しない贈り物は驚きと共に強いポジティブな感情を引き起こし、贈り物の印象がより深く残ります。
サプライズ要素があることで、贈り物の価値が感情的に高まり、受け取る側の喜びが増幅されます。
つまり、サプライズには日常の中での小さな幸せを生み出す力があり、それが生活に彩りを与えるのです。
例えば、特別な日を待たずに「サプライズ」として贈られたプレゼントは、受け取る側にとって特別な喜びを感じさせ、思い出深いものとなります。
また、忙しい仕事の合間に突然届いた小さな贈り物や、何気ない日に相手の好きなスイーツを渡すことで、相手にとってはその日の出来事が特別な思い出となります。
このような予期せぬプレゼントは、単に物を贈る以上に、相手に対する思いやりや気遣いを感じさせ、より深い感動を与えることができます。
文化による贈り物の違い
文化的な背景は、贈り物選びや贈り方に大きく影響を与えます。
国や地域によって、贈り物に込められる意味や期待は異なります。
例えば、一部の文化では贈り物をすぐに開けるのが普通ですが、他の文化では後で開けるのが礼儀とされることがあります。
また、贈り物に使われる色やアイテムも文化によって異なり、それが贈り物の意味合いを大きく変えることがあります。
こうした文化の違いを理解することで、相手の期待に沿った適切な贈り物を選ぶことができ、無用な誤解を避けることができます。
例えば、日本では感謝の気持ちを示す「お中元」や「お歳暮」が一般的ですが、アメリカではクリスマスに家族や友人同士で贈り物を交換することが主流です。
また、中国では「紅包(ホンバオ)」と呼ばれる赤い封筒にお金を入れて贈る習慣がありますが、この赤は幸運を象徴する色とされています。
このように、文化的背景に応じた贈り物の選び方や贈り方を理解することは、相手に対する敬意を示し、良好な関係を築くために非常に重要です。
最後に
極論を言うと、プレゼントにお金を費やさなくても喜ばれます。
18歳~80歳の117人を対象にクリスマス時期の満足感・ストレスと消費行動・経験に関する質問をした研究(Tim, Kennon, 2002)によると、お金を使った物や経験よりも、家族で過ごす時間の方が幸せだと報告されました。(欧米では、クリスマスをカップルで過ごすよりも家族で過ごすことの方が多い)
と悩んでいるなら、飲み物とケンタッキーだけ買って、家でゆっくり2人でおしゃべりしてお互いのことを知るクリスマスも悪くないんじゃないでしょうか?
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【引用文献】
How to choose the right Christmas gift : tips from psychological research
【参考文献】
Cindy chan, Cassie Mongilner(2016)Experiential Gifts Foster Stronger Social Relationships Than Material Gifts Journal of Consumer Research, Volume 43, Issue 6,Pages 913–931
Julie A. Ruth, Cele C. Otnes, Frederic F. Brunel (1999)Gift Receipt and the Reformulation of interpersonal Relationships Journal of Consumer Research, Volume 25, Issue 4,Pages 385–402
Tim Kasser, Kennon M, Sheldon(2002) What makes for s Merry Christmas ? Journal of Happiness Studies volume 3, pages313–329
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1.そもそも何でプレゼントを贈るの?
2.プレゼントは人間関係を良くも悪くもする
3.完璧なクリスマスプレゼントを選ぶコツ
4.サプライズには小さな幸せを生み出す力がある
5.文化による贈り物の違い
6.最後に