死を受け入れるまでの5段階のプロセス。「死の受容過程」とは?

すべての人間にいつかは訪れる「死」

死は突然やって来ることもあれば、何らかの病気に罹かり、医師から余命宣告を受けて、遠くないその日を待つ場合もあります。

死をすぐに受け入れられる人は稀で、多くの人は死を受け入れるまでに5段階のプロセスがあると考えられています。

 

この記事では、アメリカの精神科医エリザベス・キューブラー=ロスが唱えた「死の受容過程」を解説します。

死を受け入れるまでの5段階のプロセス。「死の受容過程」とは?

人が死を受け入れるまでの心の変化を調べた先駆者がアメリカの精神科医エリザベス・キューブラー=ロス(E.Kubler-Ross,1926~2004)です。

キューブラー=ロスは200人の末期がん患者にインタビューを行い、死を間近にした人の心がどのように変化していくのかを調べました。

そして、人は死を受け入れるまでに

  1. 否認(denial)
  2. 怒り(anger)
  3. 取り引き(bargaining)
  4. 抑うつ(depression)
  5. 受容(acceptance)

という5つのプロセスを辿ると示しました。

第一段階:否認(denial)

自分に死が間近に迫っていると知ると、ほとんどの人が「違う!それは間違ってる!」と事実を否認します。

「否認」は受け入れがたい事実に対する健康な対処方法であり、予期しないショッキングな知らせに対する緩衝装置として働きます。(森谷,竹松,1996)

第二段階:怒り(anger)

「否認」の次のステージが「怒り」です。

怒りのステージでは、「違う!」という反応から、「どうして私なんだ!」という反応に変わります。

このステージは周りの人がどう接して良いのか戸惑うと思うが、周りの人はなぜ怒っているのかを考えることが大切になります。

 

まだ、やりたいことがたくさんあるのに、それが突然できなくなってしまったら、怒るのも当然です。何の問題もなく、人生を謳歌できる他の人間を見て、羨望・恨み・怒りといった感情を抱くのも理解できます。

そういった怒りの理由も考えず、「自分がこれだけ献身的に接しているのに、何で怒るんだよ!」と怒りのステージにいる患者を回避してしまうのは、悲劇です。

 

怒りのステージは永遠に続くわけではなく、周りの人から、理解され、世話をされれば、怒りは徐々に収まります。

第三段階:取り引き(bargaining)

「怒り」の次のステージは「取り引き」です。

取り引きのステージでは、運命や神様などに対して、「良い行いをするので、寿命を伸ばしてください!」と取引を行います。

 

私たちは良い振る舞いをすれば、それだけの報酬や対価があると思う傾向があります。

運は使ったら減ると考える「運資源ビリーフ」や世界は公正な場所だと信じて疑わない「公正世界理論」もそういった考えから来ています。

 

「運資源ビリーフ」「公正世界理論」についてはこちらの記事をご覧ください。

 

第四段階:抑うつ(depression)

「取り引き」の次のステージは「抑うつ」です。

抑うつのステージでは、身体や容姿の変化などから病気や迫りくる死を間近に感じ、喪失感や絶望感をおぼえ、抑うつ状態となります。

抑うつ(depression)とは、気分が落ち込んで活動を嫌っている状況であり、そのため思考、行動、感情、幸福感に影響が出ている状況のことです(wikipedia,”抑うつ”)。

 

抑うつのステージの“抑うつ”には、2つのタイプがあります。

一つは過酷な現実に対する「反応抑うつ」。

もう一つが患者が世界との決別を覚悟するために経験する「準備抑うつ」です。

 

反応抑うつは変化を受け入れられたり、非現実的な見方を修正できれば安定していきます。

準備抑うつはいわば、患者の愛の対象すべてに対する喪失への心の準備です。

患者は今まさに愛する人、物、を失おうとしています。

それが悲しくない人なんていません。

 

そんな時に無理に明るく振る舞ったり、「悲しむなよ!」と言うよりは、悲しみを共有し、手を握ったり、黙ってそばに居る方が望ましいのではないだろうか。

第五段階:受容(acceptance)

最後のステージは「受容」です。

突然の予期しない死ではなく、十分な時間があり、「否認」「怒り」「取り引き」「抑うつ」の段階を経てきた患者は自分の運命について、抑うつも怒りもないステージに至ります(森谷ら,1996)。

それまでの心理的な苦痛との戦いを終え、やがて訪れる死という現実を次第に受け入れるようになります。

死ぬ瞬間の5つの後悔

もし人間が死ぬ瞬間に感じる後悔を知っていれば、より人生を全うできるような気がしませんか?

 

オーストラリア人のブロニー・ウェアさんは長年緩和ケアをして、多くの人を看取ってきました。

彼女は緩和ケアの中で、死を間近にひかえた人々が彼女に自分の後悔を話しました。

 

彼女によると、死ぬ瞬間の後悔は以下の5つに分けられたそうです。

  1. 自分に正直な人生を生きればよかった
  2. 働きすぎなければよかった
  3. 思い切って自分の気持ちを伝えればよかった
  4. 友人と連絡を取り続ければよかった
  5. 幸せをあきらめなければよかった

「もっとお金を稼げばよかった」という人は居なかったようです。

 

死ぬ瞬間の5つの後悔についてはこちらの記事をご覧ください。

 

最後に

人生は思っているよりも短い

最近、僕はそんなことを考えています。

 

そう考えるようになってから、先延ばしすることは減り、一日一日目標に向けて、最善を尽くすようにしています。

最後の時を迎えるそのときもきっと、やりたいことは尽きないと思いますが、最後は「楽しかったなぁ」って言いたい。

 

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【引用文献】

森谷寛之・竹松志乃 「はじめての臨床心理学」北樹出版 1996

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tetsuya
北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師を取得。月に10冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。