【発達障害】なぜ生きづらいのか?困難が生じる理由を解説

この記事を読んでいるあなた、もしくはあなたの周りの人にこんな人はいませんか?

  • 指示を理解できない
  • 不器用で仕事をスムーズにこなせない
  • 悪気はないのに他人を怒らせてしまう
  • 周りの空気が読めない

上記のようなことで困難を感じてる場合、もしかしたら発達障害の可能性があります。

 

発達障害の方は、発達に凸凹があって得意不得意にギャップが生まれます。

そして、そのギャップによって様々な“生きづらさ”を感じます。

例えば、言語能力が高く、自分の考えを流暢に伝えることが出来る人は周囲から「デキる人」と思われ過剰な期待をかけられがちですが、作業をこなすスピードが遅かったり、優先順位をつけるのが苦手だったりすると、期待に応えようといつの間にか疲弊してしまうかもしれません。

 

発達障害の方が社会に適応していくためには、まずは自分の特性を理解することが重要になります。

自分の特性を理解できていれば、その特性は「障害」ではなく、「個性」になります。

 

この記事で、自分自身の理解、または周りで困難を感じていそうな方の理解が進めば幸いです。

それでは発達障害、特に自閉スペクトラム症(アスペルガー障害)の方がなぜ生きづらいのか?その困難が生じる理由を解説していきます。

 

なお、この記事は以下の本を参考に書いています。

 

著者の米田衆介先生はアスペルガー症候群など高機能発達障害の方を1000例以上診てきた医師です。

ご自身の臨床経験に基づいて、アスペルガー障害の本質や困りごとにどう対処していけば良いのかなどについて、分かりやすく書かれています。

上記のような困りごとをお持ちの方、困っている人が身近にいる方などには、オススメできる本です。良かったら手に取ってみてください。

 

【発達障害】なぜ生きづらいのか?困難が生じる理由を解説

【発達障害】なぜ生きづらいのか?困難が生じる理由を解説

自閉スペクトラム症の人は次のような特徴があり、社会生活を送っていく上で困難を感じやすいです。

  1. 話を適切に要約できない
  2. 他人の「曖昧な」支持を理解できない
  3. なぜか相手を怒らせてしまう
  4. 相手に合わせることができない
  5. 可愛げがない
  6. ミスや失敗が何を引き起こすか分かっていない

それでは、一つずつ解説していきます。

①話を適切に要約できない

新しい仕事を教わる際、先輩から手順や道具の使い方、名前など様々なことを教えてもらい、それをメモに取ると思います。

ただ、一言一句メモすることは到底無理なので、話を要約したり、重要な部分のみを書いたり工夫する必要があります。

しかし、自閉スペクトラム症の人はこの「話を要約すること」が苦手な傾向があります。

 

「話を要約する」と聞くと、そんなに難しくなさそうですが、実は話を要約することは以下のような複雑なステップに分かれています。

  1. 話を頭の中で要素に分解する
  2. それぞれの要素の重要性を判断する
  3. 重要な部分の相互関係からなる全体構造を把握する
  4. その構造を最小限必要な情報とともに出力する

話を要約できる人はこれらのステップを無意識のうちにやってのけているのです。

 

自閉スペクトラム症の人は複数の要素を頭の中に思い浮かべて置くことが苦手なので、まず①のステップに困難を感じます。

また、発達障害ではない人は指導してくれる先輩が話す内容だけではなく、表情やしぐさ、言葉の調子や前後の経緯など、直接言葉では表現されない要素も同時に把握することができますが、自閉スペクトラム症の人はこれらの情報を見落としてしまいがちです。

②他人の「曖昧な」支持を理解できない

上司から「私が書いた〇月〇日の報告書と同じように報告書を書いて」と言われました。

発達障害ではない方は、この指示に曖昧さを感じることはないと思いますが、自閉スペクトラム症の人はこの指示を曖昧に感じます。

それは“同じように”の意味が分からないからです。

 

上司の指示では、「何を」同じにするのかが説明されていません。

発達障害ではない方であれば、その「何を」は内容や形式、文体、読み手が求めていると思われる情報など、だと類推できますが、自閉スペクトラム症の人にとっては、この暗黙の了解とされている「何を」を類推することが難しいのです。

③なぜか相手を怒らせてしまう

「なぜか相手を怒らせてしまう」というのは、「何をしたら相手が怒るのか」を理解できていないということです。

「何をしたら相手が怒るのか」が分からないというのは、相手がその場その場でどう反応するのか予測することが苦手と言い換えることができます。

 

発達障害でない人は他人と会話をしている時に、相手の振舞い、表情の変化、声のトーンなど非言語的な情報をリアルタイムで観察しながら、自分の言動に対する反応を見て、返答を考えたりします。

しかし、自閉スペクトラム症の人は相手の振舞いのどこに注目すれば良いのかを自然には理解できないため、知らず知らずのうちに相手を怒らせてしまう言動をすることがあるのです。

④相手に合わせることができない

相手に合わせることができない

職場の飲み会で酔いつぶれ、翌日に「もうお酒は飲まない!!」と言っている人がいました。

しかし、その人は翌週になると、職場で「またお酒飲み過ぎてしまった。」という話をしていました。

 

さて、あなたはこの人のことをどう思いますか?

自分も似たような経験があるという方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、自閉スペクトラム症の人は「もうお酒は飲まないと言っていたのに、なぜ飲むのか。」と考えます。

というのも、自閉スペクトラム症の人は一度に二つの側面に注目することが難しいという特性があります。

つまり、事実の側面(もうお酒を飲まないと言った)に注目すると、それ以外の側面、特に相手の感情の側面には目が届かなくなってしまうのです。

 

発達障害ではない人はむしろ感情に関しての問題解決をしてから、事実に関する問題解決をするという場合が少なくありません。

そのため、事実にだけ注目する自閉スペクトラム症の人は発達障害ではない人に合わせることが難しいのです。

⑤可愛げがない

自閉スペクトラム症の人の中には、上司や同僚から「可愛げがない」と思われてしまう人がいます。

それは、先ほどの「④相手に合わせることができない」でもご説明したように、相手の感情の変化には気付かず事実にだけ注目してしまうという特性が一つの要因です。

相手の感情の変化に気付ける自閉スペクトラム症の人もいますが、合理的な考えから、感情の変化に対する反応を返さず、さらに状況を悪くしてしまう場合もあります。

 

また、自閉スペクトラム症の人は自分自身の感情や態度などを振り返る自己モニタリングが苦手という傾向があります。

話すときに無表情で相手から「何を考えているか分からない」と不安を抱かせてしまったり、逆に感情をあからさまに態度に出してしまい、相手を困らせてしまうこともあります。

⑥ミスや失敗が何を引き起こすか分かっていない

自閉スペクトラム症の人は、遅刻や挨拶をしないとどうなるかが予測できていないことがあります。

それは、自閉スペクトラム症の人はルールを守らないということではありません。

むしろ、法律や条例など、明確に言葉で定義されている社会規範については発達障害ではない人よりも厳格にルールを守ろうとします。

 

ところが、顔を洗わない、歯を磨かない、髭を剃らない、髪に寝癖が付いているのは相手に失礼に当たる、といったはっきりと示されない日常生活レベルでの社会規範については、無視してしまうことがあります。

ぶっちゃけ、多少不潔でも異臭がするほどでなければ、他人に迷惑はかからないと思います。

でも、社会はそうではありませんよね。

汚い恰好をしていたら「自分のことを軽んじている」と思うのが普通です。

 

このようないわゆる“非常識”は、社会に出るととても目立つようになります。

この非常識は「行為そのものの物質的な結果と、その社会的なインパクトとの区別がよくわかっていない」ということになります。

まとめ

自閉スペクトラム症をはじめとした発達障害は生活障害なので、生活を送る上で支障がなければ、必ずしも治さなければいけないものではありません。

現に各業界で活躍されている方の中には、発達障害の特性がある方もたくさんいます。

 

大切なことは、自分自身の特性を理解することです。

その上で、周りに自分の特性を説明したり、自分の苦手とする部分について配慮を求めたり、することが社会に適応していくのに必要になります。

 

そして、周りの人は発達障害の人を「空気の読めない人」「不愉快な人」などと排除するのではなく、理解する姿勢が大切です。

 

【引用文献】

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