「障害年金」とは?要件や対象となる疾患、受給金額など簡単に解説

障害年金」とは、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受給可能な年金です。

 

内閣府の障害者白書によると、20歳以上65歳未満で障害がある人は約323万人(身体障害:約111万人、知的障害:約40万人、精神障害:約172万人)ですが、障害年金を受給している方は現在約194万人です(厚生労働省「年金制度基礎調査」)。

 障害年金を受給できる可能性がある人の中で約6割の方しか受給していないのが現状です。

 

その理由としては、障害年金の制度自体があまり知られていないこと、障害年金制度を知っていても年金制度の分かりずらさや書類を揃えられない、 といった理由が挙げられます。

そこでこの記事では、「障害年金」とはどんな年金制度なのか、その受給要件や対象となる疾患、受給金額などを簡単に解説していきます。

「障害年金」とは?要件や対象となる疾患、受給金額など簡単に解説

「障害年金」とは?要件や対象となる疾患、受給金額など簡単に解説

障害年金」とは、公的年金の加入者が所定の障害状態になった場合に支給される年金です。

障害状態になるきっかけとなった病気やケガで、初めて医師の診療を受けたとき(初診時)に加入していた公的年金で支給される障害年金が決まります。

 

国民年金の加入者であれば「障害基礎年金」、厚生年金の加入者であれば「障害厚生年金」が支給されます。

障害基礎年金と障害厚生年金

障害基礎年金

「国民年金に加入している間」「または年金制度に加入していない20歳前の間」「60歳以上65歳未満の期間」に初診日があり、また法令により定められた障害等級表(1級・2級)による障害の状態にあるときは「障害基礎年金」が支給されます。

障害厚生年金

厚生年金に加入している間に初診日があり、障害基礎年金の1級または2級に該当する障害の状態になったときは、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金」が支給されます。

 

また、障害の状態が2級に該当しない軽度の障害のときは3級の障害厚生年金が支給されます。

なお、初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときには障害手当金が支給されます。

受給要件

障害年金は病気やケガになった人全員が受給できるという訳ではなく、以下の3つの要件を満たしている人が対象になります。

  1. 障害の原因となった病気やけがの初診日において年金に加入していること
  2. 認定日の状態、もしくは現在の状態が障害等級表に定める等級に該当していること
  3. 保険料の納付要件を満たしていること

②の認定日(障害認定日)とは、障害の状態を定める日のことです。

障害の原因となった病気やケガについての初診日から1年6ヶ月を過ぎた日、または1年6ヶ月以内にその病気やケガが治った場合(症状が固定した場合)はその日をいいます。

 

対象となる疾患

対象となる疾患

障害年金の対象となる疾患は眼や聴覚の障害や呼吸器疾患、内臓疾患、肢体の障害など幅広いです。

基本的に傷病名ではなく、病気や障害で日常生活や仕事にどの程度支障があるかで判定されます。

 

ここでは、対象となる精神障害をご紹介します。

うつ病、双極性障害、統合失調症、気分障害、発達障害(広汎性発達障害、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム)、アルコール依存症、知的障害、ダウン症、てんかん、高次脳機能障害、非定型精神病、若年性アルツハイマー、認知症、トゥレット症候群(チック症)など

 

日本人に多い精神疾患に関する記事はこちら

受給金額

障害基礎年金

国民年金だけに加入している人に支払われる「障害基礎年金」は定額で、計算式は下記のようになっています(令和2年4月)。

なお、障害1級の人は、2級の人より25%増しです。

1級:781,700円×1.25+*子の加算
2級:781,700円+子の加算

<子の加算>
第1子・第2子 各 224,900円
第3子以降 各 75,000円)

 

障害厚生年金

障害厚生年金」の受給額は厚生年金に加入していた期間の長さと納めた保険料(給与の額)などによって、異なります。

定額の障害基礎年金に「報酬比例の年金額」と「配偶者のある場合はその加算額」が上積みされて支払われます。

おおよその目途は、障害基礎年金のざっと2倍程度です。

  • 1級:報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級(+配偶者がある場合は更に加算額)
  • 2級:報酬比例の年金額+障害基礎年金2級(+配偶者がある場合は更に加算額)
  • 3級:報酬比例の年金額 (最低保障額 586,300円)

<配偶者の加算額>

本人が1級または2級に該当する場合で、配偶者(生計維持関係にある65歳未満の方)がいる場合は配偶者加給年金額がつきます。

※ 障害厚生年金3級は配偶者加給年金の対象ではありません。

  • 1・2級:年間 224,900円

 

障害年金の申請方法

障害年金の申請方法

障害年金を受給するには、本人またはご家族による年金の支給申請の手続きが必要です。

申請の手続きは、加入している公的年金によって必要な書類や提出窓口が異なります。

必要な書類

障害基礎年金はお住まいの市区町村役場で申請手続きを行いますが、初診日が国民年金第3号被保険者期間中の場合はお近くの年金事務所や年金相談センターで行います。

一方、障害厚生年金はお近くの年金事務所や年金相談センターで申請を行います。

主に必要な書類は以下の通りです。

  1. 年金請求書
  2. 年金手帳
  3. 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
  4. 医師の診断書(所定の様式あり)
  5. 受診状況等診断書
  6. 病歴・就労状況等申立書
  7. 受取先の金融機関の通帳等(本人名義)
  8. 印鑑

申請から受給開始までの流れ

  1. 年金請求書などの必要書類を市区町村または年金事務所へ提出
  2. 日本年金機構が審査(支給決定・年金証書・年金決定通知書の送付など)
  3. 障害年金の支払開始

必要書類の提出から支給決定までの期間は約3ヶ月間で、支払い開始までの期間は年金決定通知書送付から約1~2ヶ月後ほどかかると言われています。

障害年金の手続きは複雑ですので、申請する前にあきらめてしまう人も少なくありません。

 

退職を予定されている方は「退職コンシェルジュ」に相談してみるのも一つの手です。

 

退職コンシェルジュとは、退職から再就職まで一貫したコンサルティングサービスです。

サービス内容には退職代行、引っ越しサポート、社会保険給付金サポート、転職・再就職サポートなど幅広く、その中に障害年金代行サービスもあります。

 

退職コンシェルジュに関してはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

  • 障害年金は病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受給可能な年金
  • 障害年金を受給できる可能性のある人の中で約6割の方しか受給していない
  • 障害年金は2種類あり、国民年金の加入者であれば「障害基礎年金」、厚生年金の加入者であれば「障害厚生年金」が支給される
  • 障害年金を受給するには以下の3つの要件を満たしていることが必要
  1. 障害の原因となった病気やけがの初診日において年金に加入していること
  2. 認定日の状態、もしくは現在の状態が障害等級表に定める等級に該当していること
  3. 保険料の納付要件を満たしていること
  • 障害基礎年金の支給額は定額で障害の状態によって異なり、子どもがいる場合は加算がつく
  • 障害厚生年金の支給額は定額の障害基礎年金に「報酬比例の年金額」と「配偶者のある場合はその加算額」が上積みされて支払われる
  • 障害年金の申請手続きは複雑なので、申請を諦めてしまう方も少なくない
  • 自分ひとりでは申請が難しいなと思ったら、「退職コンシェルジュ」に相談してみるのもアリ

 

【引用文献】

日本年金機構「障害年金」

LITALICOワークス「障害年金とは?もらえる金額は?申請に必要な条件や手続きについて解説」

 

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