個人の物語への個別な支援「ナラティブ・アプローチ」を簡単に解説

ナラティブ・アプローチ」は科学的根拠を重視する「エビデンスベイスド・アプローチ」の対立概念として2000年代頃に提唱されたもので、“個人の物語への個別的な支援”を重視する臨床的な手法です。

エビデンスベイスド・アプローチの対立概念として提唱されたものですが、決して相反するものではなく補完し合うもの、いわば車の両輪のようなものだと考えられています。

 

この記事ではナラティブ・アプローチとはどんな手法なのか、なぜ導入されるようになったのか、基本的な5つのステップについて簡単に解説します。

 

【エビデンスベイスド・アプローチに関する記事はこちら】

 

 

個人の物語への個別な支援「ナラティブ・アプローチ」を簡単に解説

個人の物語への個別な支援「ナラティブ・アプローチ」を簡単に解説

ナラティブ・・アプローチ(英語:narrative approach)」とは、クライエントが語る物語からクライエントが抱える問題を理解し、支援に役立てようとする臨床的なアプローチです。

ナラティブ・アプローチは社会構成主義を基礎として、「エビデンスベイスド・アプローチ」の対立概念として提唱されたもので、“科学的で標準化された支援”ではなく、“個人の物語への個別な支援”を重視する立場です。

 

現在では医療や臨床心理、キャリアコンサルティング、司法の場など、さまざまな分野で取り入れられています。

ナラティブ・アプローチの基礎「社会構成主義」とは?

ナラティブ・アプローチは「社会構成主義」を基礎理論としています。

社会構成主義とは「社会のさまざまな事象は人々の頭の中で作り上げられたもの(認知)である」とする社会学の立場です。

 

たとえば、信号機で「進め」のサインを「あお」と言いますが、実際には「緑色」に近いですよね?

このように社会構成主義では、言葉と認識によって構成された世界に我々は生きていると考えるのです。

なぜ今、ナラティブ・アプローチなの?

かつて医療というものは医者の持っている知識と経験的技術に基づいたもので、客観性が乏しいものでした。

その後、「エビデンスベイスド・アプローチ(英語:evidence-based approach)」が提唱され、客観性が重視されるようになりました。

このアプローチは臨床研究に基づいて統計学的に有効性が証明された治療を選択することにより、より効果的で質の高い医療を提供することを目的としています。

 

ただ、エビデンスベイスド・アプローチもすべての人に有効な訳ではありません。

根拠になるデータが十分に揃っていない病気や治療が困難な病気、高齢者のケア、死に至る病気など、エビデンスベイスド・アプローチが適用できない場合があるのです。

 

そこで注目されるようになったのが、ナラティブ・アプローチです。

ナラティブ・アプローチでは、個人の物語に対して個別の支援を行っていくため、サイエンスとしての医学と人間同士の触れ合いとのギャップを埋めることが期待されています。

ナラティブ・アプローチとエビデンスベイスド・アプローチは決して相反するものではなく、お互いを補完し合う、いわば車の両輪のようなものです。

 

ナラティブ・アプローチの5つのステップ

ナラティブ・アプローチの5つのステップ

ナラティブ・アプローチの手法はおおむね、以下の5つのステップに分かれています。

 

ドミナント・ストーリーの受容

まずは、クライエントの話を傾聴します。

最初に語られる話には、本人がこだわりに囚われているストーリーが含まれている場合が多くあり、それをドミナント・ストーリー(思い込みの物語)と呼びます。

たとえば、「職場で誰も仕事を手伝ってくれない」などですね。

 

ドミナント・ストーリーは多くの場合、クライエントが抱える問題の源泉になっているため、ナラティブ・アプローチでは、まずドミナント・ストーリーを見つけます。

問題の外在化

問題の外在化とは、問題として語られる内容にタイトルをつけるなどして、客観しすることです。

クライエントの多くは、価値観や認知の偏りなどにより、マイナスな経験をつなぎ合わせた物語を作ることがあります。
例えば、病気の症状や問題を自分の一部として「ダメな自分」「問題のある私」と語ることが多々あります。
これは問題が内在化している状態です。
 
その問題に名前をつけるなどして、内在化している症状や問題などを本人と切り離していくのが問題の外在化です。
外在化により「本人=問題」という図式を離れ、問題の影響を客観的に考え、別の見方ができるようになります。

反省的質問

反省的質問とは、クライエントが抱えている問題にどのような人、出来事、経験が関わっているのかを尋ねる質問です。

反省的な質問をすることで、問題に関わっている要素を分析し、解決できる状態を目指します。

例外的結果の発見

クライエントが語る物語の中でドミナント・ストーリーから外れる例外的な出来事を見つけます。

例えば、「職場で誰も仕事を手伝ってくれない」と悩んでいる人でも、「そういえば、去年の繁忙期に○○さんは手伝ってくれたことあったな」と気づいたりですね。

オルタナティブ・ストーリーの構築

ドミナント・ストーリーから外れる例外的な結果があったがことを踏まえて、クライエントが納得して受け入れられるもう一つのストーリー(オルタナティブ・ストーリー)を作り上げます。

例えば、「職場で誰も手伝ってくれない訳ではなく、自分を手伝ってくれる人もいる」などですね。

まとめ

  • ナラティブ・アプローチとは、クライエントが語る物語からクライエントが抱える問題を理解し、支援に役立てようとする臨床的なアプローチ
  • ナラティブ・アプローチは「社会の様々な事象は人々の頭の中で作り上げられたものである」という社会構成主義を基礎理論としている
  • 個人の物語に対して個別の支援を行っていくため、サイエンスとしての医学と人間同士の触れ合いとのギャップを埋めることが期待されている
  • 実践方法として5つのステップがある
  1. ドミナント・ストーリーの受容
  2. 問題の外在化
  3. 反省的質問
  4. 例外的結果の発見
  5. オルタナティブ・ストーリーの構築

 

【引用文献】

リタリコ仕事ナビ「ナラティブ・アプローチとは?物語で問題を解決するってどういうことをするの?意味や手法など、わかりやすく紹介します」

【あわせて読みたい】

 

▼このブログを応援する▼

にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUT US
tetsuya
北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師を取得。月に10冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。