【体験記】異業種から公認心理師になる上での苦労や大変なこと

僕は大学卒業後、ホテルで5年ほど勤めたのち、一念発起して心理士になろうと思いました。

そして、大学で心理学を学び、公認心理師という心理学で初の国家資格を取得しようと決意しました。

 

公認心理師の受験資格を得るためには、主に2つのルートがあります。

一つ目は、4年制大学で心理実習を含む各種心理学や公認心理師の職責といった施行規則で定められた科目を履修したあと、大学院で施行規則で定められた科目を履修するルートA。

二つ目は、1つ目と同じく4年制大学で定められた科目を履修したあと、厚生労働省が指定した施設で2年間の実務経験を積むルートB。

 

僕は現在、ルートBで大学院へは行かず、実務経験を積みながら公認心理師を目指しています。

この記事では、宿泊業という全くの異業種から心理士を目指している中で感じる苦労や大変なことなどを赤裸々に語りたいと思います。

異業種だけど、心理士になりたいと思ってる方の参考になればと幸いです。

 

 

【体験記】異業種から公認心理師になる上での苦労や大変なこと

【体験記】異業種から心理士になる上での苦労や大変なこと

僕は2019年から大学の通信制に通って定められた科目を履修・卒業し、2021年から現在まで厚生労働省が指定する施設で勤務しています。

そんな僕が異業種から心理士に転職して、感じたことや苦労なんかを語りたいと思います。

 

セミナーや参考書などの出費が多い

平成28年の総務省の社会生活基本調査によると、日本人で就業している方の学習および自己啓発のための時間は1日6分でした。

令和3年の同調査では、割合が上がっていましたが、諸外国と比較してまだ勉強時間が短いのが現状です。(参照:社会生活基本調査データ

ここまで勉強時間が短いのは、95%以上の人の勉強時間が0時間だからです。

では残り5%ほど人たちはというと、一日平均160分ほど勉強しています。

社会人で勉強しない人が大半ですが、勉強する人はしっかり勉強しているという状況です。

 

これは僕の肌感覚ですが、心理士の人たちはめちゃくちゃ勉強する5%に入っていると思います。

公認心理師法 第43条に「資質向上の責務」というものがあります。

第43条では、「公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容に適応するため、第2条各号に掲げる行為に関する知識及び技術の向上に努めなければならない」と規定されています。(厚生労働省 公認心理師法

 

生き方や考え方は多様化し、取り巻く環境も日々変化しているので、心理士もその変化に対応できるように自己研鑽を積まなければならないのは、当然だと思います。

それを覚悟して、心理士という道を歩み始めた訳ですが、実際にその世界に入ってみると、これが予想以上に大変です。

日々、慣れないことをして、疲弊し切ったあとに勉強をする気力が湧かないんです。

それはもうこれっぽっちも。

 

そんな気力の問題もありますが、あとはお金の問題です。

セミナーやワークショップは頻繁に開催されているのですが、これがけっこう家計を圧迫します。

最近はZOOMでの研修も増えてきましたが、実開催だとそこまでの交通費や宿泊代などもかかります。

 

そして、ビジネス本は1500円くらいで購入できると思いますが、専門書って高いんですよね。図書館の偉大さを痛感します。

お金を払って、貴重なオフの時間に研修を受ける。

ホント、心理士の方々の勤勉さには頭が上がりません。

 

目に見える成果があまりない

そんな自己研鑽をしても、心理士は目に見える成果というものがほとんどありません。

人はそんなにすぐ変わるものではありませんし、心の中は見えませんから、変わってるのか分かりません。

 

様々な心理療法や支援方法を勉強して、実践したとしても、それが正しかったのか分かりません。

例えば、抑うつ度を測る心理検査をカウンセリング前後で実施し、その値が下がっていたとしても、それはカウンセリングの影響なのか、薬の効果なのか、それ以外の要因による影響なのか、知る由もありません。

 

自分が進んでいる方向は間違ってないという保証がないのは、不安になります。

あと、僕は表面上は「誰かに認めてもらったり、感謝されたり、褒められたいがために心理士になったわけじゃない!」と思っていますが、心の底ではそういった思いが少なからずあるんだと思います。

なので、たまには誰かに褒めてもらいたいものですね。笑

 

「心理士は人の心が読めるんでしょ?」と過剰な期待を持たれがち

人から「仕事は何?」と聞かれて、「心理士だよ。」と答えると、ほとんどの確率で「えっ!人の心が読めるの?」と言われます。

本当に人の心が読めるなら、僕ならもっと別の事をしてお金を稼ぐと思います。笑

当然、心は読めません。

 

その人の発言や行動パターンなどからその人の性格傾向や思考回路を推測することはできますが、それはあくまでも仮説です。

また、その人のことを理解するために、さまざまな心理検査を用いることもありますが、それが間違いないかというとそうでもありません。

その人が質問に回答する形式の質問紙だと、嘘の回答することが可能なので、正確な結果が得られないことがあります。

インク模様を見て何に見えるかを答えるロールシャッハ検査などの投影法では、嘘の回答をすることは難しいですが、検査者の熟練度や解釈によって、所見が異なることもあります。

 

ちょっと話がずれてきましたが、つまり、何が言いたいのかというと、心理士も人の心は読めないということです。

でも、心理士の実情を知らない方の多くは、心理士に対してそういった過剰な期待を寄せていて、心が読めないと分かると、ちょっとガッカリします。

自分は悪くないと思いつつ、若干申し訳ない気持ちになります。

心理士を目指す方は人からガッカリされる覚悟も必要です。

 

心理士を目指して良かったと思うこと

心理士を目指して良かったと思うこと
Image by Pexels from Pixabay

ここまで大変だと思ったことを話してきましたが、もちろん心理士を目指して良かったと思うこともあります。

ここからは、僕が個人的に思う心理士を目指して良かったと思うことを2つ紹介します。

 

自分自身の性格や特徴などを振り返られる

僕は心理士になって、これほどまでに自分自身と向き合ったことはないと思いました。

就活をしていた時よりも自己分析していると思います。

 

というのも、患者さんを支援する上で、自分自身のことを理解しているということが重要になるからです。

カール・ロジャーズらが提唱した来談者中心療法では、「無条件の肯定的関心」「共感的理解」「自己一致」の3つが治療者の基本的態度として重要だとしています。

自己一致は純粋性や真実性とも呼ばれていて、噛み砕いて言うと、「本当の自分」と「自分の言動」が一致していることを意味します。

治療者はありのままの自分を受け入れ、自分の感情を否定したり、捻じ曲げることなく理解し、必要があればクライエントに伝えることができる状態にあると良いとロジャーズさんは説いてます。

 

なので、僕も認知行動療法の3コラムなんかを使って自分自身の考え方の傾向を分析したり、患者さんの言動で生じた気持ちの変化などをモニタリングしています。

自分と向き合うのは楽ではありませんが、自己分析をすることは仕事だけではなく、人間関係や人生においても大切なことなので、良かったと思っています。

 

【来談者中心療法に関する記事はこちら】

 

話を聞くのが上達していく

心理士は積極的にアドバイスせずに傾聴します。

 

傾聴とは、患者さんが困っていることや話したいことに対して丁寧に耳を傾け、肯定的な関心を寄せたり、共感的な理解を示すコミュニケーションの技法です。

 

別に意識をしているわけではありませんが、日常生活においても以前より丁寧に相手の話を聞くようになりました。

「自分、人の話聞くのが苦手だな。」と思う方は傾聴のテクニックを学ぶのがオススメです。

 

【オススメの記事】

 

まとめ

僕個人が感じた異業種から公認心理師になる上での苦労や大変なこととしては、以下のようなことがあります。

  • 自己研鑽のための、セミナーや参考書などの出費が多く、経済的に結構厳しい。
  • 目に見える成果があまりなく、ちゃんと自分は前に進めているのか、不安になることがある。
  • 「心理士は人の心が読めるんでしょ?」と過剰な期待を持たれがち。

 

一方で、心理士を目指して良かったと思うこととしては、以下のようなことがあります。

  • 患者さんの支援を通じて、自分自身の性格や特徴などを振り返られる。
  • 話を聞くのが上達していくので、私生活でもけっこう役立つ。

 

心理士は僕が当初考えていたよりも、大変な職業でした。

でも、やりがいはすごくあります。

「自分に心理士が務まるのか。」という不安は今でもありますが、やれるだけやってみようと思っています。

 

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