僕は先日、ジーンライフの遺伝子検査「Genesis 2.0」を受けました。
Genesis 2.0は約360も検査項目があり、
- 自分の能力
- アレルギー
- 各種疾患にかかるリスクの高さ
などなど、あらゆることが分かります。
その遺伝子検査の結果、僕は遺伝的に「アルコール依存症になりやすい」ということが分かりました。
▼遺伝子検査に関する記事はこちら▼
自分がアルコール依存症になりやすいというのが、ちょっとショックだったので、本などを読み漁ってアルコール依存症になる原因・治療法を調べました。
- アルコール依存症になる原因を知りたい!
- アルコール依存症を治したい!
- 知人がアルコール依存症で悩んでいてその人の力になりたい!
という方にぜひ読んで頂きたいです。
そもそもアルコール依存症とは?
医学的に「依存症」の定義は「やめたくてもやめられない状態」です。つまり、自分の意志でアルコールを飲まない日を作れる人はアルコール依存症ではありません。
逆に、たとえ 350mlのビール1缶でも「飲まないと寝られないんだ」という方はアルコール依存症である可能性があります。
少し古い調査ですが、
2013年に厚生労働省が行った調査によると、国内のアルコール依存症の人の数は、100万人にのぼると推計されました。
しかし、同年において、医療機関で継続的に治療を受けているアルコール依存症の患者は5万人しかいませんでした。
つまり、アルコール依存症の人の95%が病院の治療を受けていないと考えられるのです。
引用:Newton 2019年7月号より
アルコール依存症に限らず、依存症になっている人は
と依存症であることを”否認”する傾向があります。
そのため、依存症でも病院に行かない人が95%もいるのです。
アルコール依存症になる原因
何かに依存してしまうのには脳の「報酬系」と呼ばれる神経回路が深く関係しています。報酬系とは簡単にいうと、「人に快楽をもたらす神経回路」です。
例えば、営業で自社の商品が売れて上司や同僚から褒められると、報酬系の神経細胞で「ドーパミン」のやりとりがおき、快楽(喜び)を感じます。
すると、”営業で頑張ること”と”快楽”が結び付き、「よし!もっと営業がんばるぞ!」とやる気が出てくるのです。
ちなみに 行動→快楽→行動の強化 という流れの学習はオペラント条件付けと言います。
動物に芸を仕込むときも、してほしい行動をした時にすかさずエサをあげることで、行動と快楽(エサ)を結び付けてその特定の行動をする頻度を上げますよね?それと同じ原理です。
オペラント条件付けについてはこちらの記事で詳しく解説してます。
依存症を引き起こすようなアルコール・タバコ・ドラッグなどの薬物を摂取すると、ドーパミンが分泌されるので、頑張らなくても快楽を得ることができます。
すると、薬物と快楽が結び付き、脳が
と思うようになってしまうのです。
しかし、人は同じ刺激に慣れてしまうという性質があります。
つまり、最初の頃はビール1缶で快楽を得られていましたが、次第に1缶では快楽を得られなくなり、どんどん飲む量が増えていくのです。
ドーパミンの増やす方の違い「アッパー系」と「ダウナー系」
依存性がある薬物は結果的にドーパミンを増やしますが、増やし方は薬物によって少し異なります。
コカインやタバコに含まれるニコチンなどは「アッパー系」と呼ばれ、ドーパミンを出す神経細胞に直接作用してドーパミンの量を増やします。
一方、アルコールやヘロインなどは「ダウナー系」と呼ばれ、ドーパミンの分泌を抑える神経細胞に作用してその働きを鈍らせることで間接的にドーパミンの量を増やします。
アルコールが止められない離脱症状
また、アルコール依存症には離脱症状があります。
- 手の震え
- 不安感
- イライラ感
重症化するると、
- けいれん発作
- 意識障害
などが起こります。
アルコール依存症患者は脳の一部が委縮する!?
そして恐ろしいことに、アルコール依存症の人は前頭葉が委縮するという特徴があります。
「前頭葉」とは、思考・判断・推論・計画などを司る「人を人たらしめる」脳の大切な部位です。
前頭葉が正常に機能していると、「お酒を飲みたい」と思っても「いや、最近飲み過ぎてるから今日は控えよう」と欲求を抑えることができます。
しかし、前頭葉が委縮すると欲求を抑えることができなくなります。
つまり、アルコール依存症になるのは、
・脳の報酬系
→アルコールと快楽が結び付くことで飲みたくなる
・離脱症状
→飲まないと不安感・イライラ感が出てくるので止められない
・前頭葉の萎縮
→飲みたい欲求を抑えることができなくなる
が原因です。
アルコール依存の治療法
治療法には薬物療法によるアプローチと心理的アプローチがあります。
薬物療法では、主に以下の3つが用いられます。
- 抗酒薬
- 断酒薬
- 減酒薬
心理的アプローチには「自助グループ」があります。
抗酒薬
アルコールはまず、有害な「アセトアルデヒド」に分解され、そのあとで無害な「酢酸」に分解されます。
「抗酒薬」はアセトアルデヒドから酢酸に分解されるのを妨げる効果があります。
アセトアルデヒドは吐き気、頭痛など気分が悪くなる原因なので、抗酒薬を飲むと少量のお酒でも気分が悪くなります。
すると、「お酒」と「不快感」が結び付いてお酒の量が減るのです。
断酒(嫌酒)薬
「断酒薬、または嫌酒薬」は、体内でアセトアルデヒド濃度を高めることで少量の飲酒でも悪酔いを引き起こし、アルコールに対する嫌悪感などを与えて「お酒を飲みたい!」という欲求を抑える薬です。
減酒薬
「減酒薬」はドーパミンを分泌する神経細胞の働きを抑えて、あまり”快楽”を得られないようにする効果があります。
海外では、減酒薬に似た構造の化学物質がアルコール依存症用の処方薬として認可され、それがギャンブルや自傷行為を抑えるという報告もあります。
しかし、これらの薬は決して特効薬ではなく、専門医の治療と組み合わせることではじめて効果を発揮します。
なので、医師の指導を受けながら適切に使用しましょう。
自助グループ
依存症の患者は
- 社会的に孤立している人
- 大きな不安やストレスを抱えている人
- 自分に自信が持てない人
などが多いと言われています。依存症は「心の病」でもあるのです。
心理的アプローチとしては「自助グループ」が有効です。
自助グループでは同じような依存症の悩みを抱えている人たちに悩みを打ち明け、またその人たちの悩みを聞くことで、「自分は1人じゃないんだ!」「自分の居場所はあるんだ!」と思うことができます。
自分1人だけでは依存症から抜け出すことが難しくても、同じ志を持った仲間と一緒なら頑張れます。
最後に
依存症は自分の意志ではもう止めることができなくなっている状態なので、「気合が足りない」とか「根性論」でどうにかなる問題ではありません。
治療には専門医や周囲の人の助けが必要です。
僕みたいにアルコール依存症に遺伝的になりやすい傾向の人はいますが、お酒を飲む人なら誰でもなる可能性があります!
- もしかして、自分アルコール依存症かも
- ○○さん、アルコール依存症っぽいな
と心当たりのある方は一度、医師に相談することをオススメします。
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【引用文献】
『Newton』 2019年7月号
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1.そもそもアルコール依存症とは?
2.アルコール依存症になる原因
2-1.ドーパミンの増やす方の違い「アッパー系」と「ダウナー系」
2-2.アルコールが止められない離脱症状
2-3.アルコール依存症患者は脳の一部が委縮する!?
3.アルコール依存の治療法
3-1.抗酒薬
3-2.断酒(嫌酒薬)
3-3.減酒薬
3-4.自助グループ
4.最後に