と僕は長い間、父親がハゲていたら、将来自分もハゲると思いこんでいました。
しかし、実際は父親がハゲているかどうかは関係なく、母方の祖父がハゲているかが重要だったのです!
この記事では、ハゲが隔世遺伝するメカニズムを簡単に解説します。
「メンデルの法則」と「染色体」のおさらい
オーストリアにある修道院の司祭であり、かつ研究者でもあったグレゴール・ヨハン・メンデル(Gregor Johann Mendel,1822-1884)は、えんどう豆を観察しているときに親から子どもへと形質がつながることを発見しました。
「メンデルの法則」とは、遺伝の仕組みを解き明かすきっかけとなった法則で、
- 優性の法則
- 分離の法則
- 独立の法則
の 3つからなっています。
ハゲの隔世遺伝を説明する上で③「独立の法則」は関係ないので、①「優性の法則」と②「分離の法則」だけ説明します。
「優性の法則」性質や特徴には優劣がある!
「優性の法則」とは、えんどう豆の豆の色を緑色にする性質・黄色にする性質のように対照的な性質のうち、優性にある遺伝子の方の特徴が現れるという法則です。
遺伝子にはその特徴が現れやすい「優性遺伝」と特徴が現れにくい「劣性遺伝」の2つがあります。
豆の色の場合は、緑色にする遺伝子が優性で黄色にする遺伝子が劣性になります。
豆の色が緑色のえんどう豆と黄色のえんどう豆を交配すると、緑色と黄色が5:5ではなく、すべて緑色になります。
これは、豆の色を緑色にする遺伝子が黄色にする遺伝子よりも、その特徴が現れやすいからです。
ちなみに、2017年の遺伝学の学会で、この「優性」「劣性」という言葉はそれぞれの特徴が「優れている」または「劣っている」という誤解を招きやすいことから、別の言葉を用いるように変わってきています。
特徴が現れやすいか、隠れやすいかという意味で優性を「顕性」、劣性を「潜性」としています。
「分離の法則」性質や特徴は一定の比率で分離する!
「分離の法則」とは雑種第二代では、優性(顕性):劣性(潜性)の形質をもつものの割合が3:1に分離して現れるという法則です。
豆の色を緑色にする遺伝子と黄色にする遺伝子の両方を持った雑種第一代を掛け合わせると、
- 緑色‐緑色→豆の色は緑色
- 緑色‐黄色→豆の色は緑色
- 緑色‐黄色→豆の色は緑色
- 黄色‐黄色→豆の色は黄色
がそれぞれ1:1:1:1の割合で生まれます。
しかし、緑色‐黄色の組み合わせは緑色が優性なので、結果的に豆の色が緑色:黄色=3:1になります。
遺伝子は染色体となって細胞の核に収められている
遺伝子は「デオキシリボ核酸(DNA)」という物質でできています。
DNAを構成するのは、
- アデニン(A)
- グアニン(G)
- チミン(T)
- シトシン(C)
というたった4つの塩基です。
この4つの塩基の並び方だけで、遺伝情報のすべてが司られているのです。
「染色体」は、DNAとタンパク質がつながったひも状物質がらせん状になったものです。DNAは染色体となって、細胞の核に収められているのです。
人間は22対の「常染色体」と1対の「性染色体」の合計46本の染色体を持ちます。
性染色体には、「X」と「Y」の2種類あり、組み合わせが「XX」だと女性になり、「XY」だと男性になります。
「優性の法則」「分離の法則」と「染色体」のおさらいが終わったので、ハゲの隔世遺伝の話に移ります。
ハゲは隔世遺伝する!?遺伝のメカニズムを簡単に解説!
ハゲは隔世遺伝します。
これは紛れもない事実であり、遺伝のメカニズムできちんと説明できます。
ハゲ、すなわち「脱毛症」は、男性ホルモン「テストステロン」と「5αリダクターゼ」という酵素が結びついて生成される「ジヒドロテストステロン(DHT)」という物質が原因とされています。
ジヒドロテストステロンは別名「脱毛ホルモン」とも呼ばれていて、毛根に存在する「アンドロゲン受容体」に結合することで、髪の毛の成長を阻害したり、皮脂を過剰に分泌して毛髪の育成に悪影響を及ぼす物質です(五箇,2020)。
このアンドロゲン受容体の感受性が高ければ高いほど、ジヒドロテストステロンと結合しやすくなり、ハゲる確率が高くなります。
ハゲやすいかどうかはX染色体が命運を握る
アンドロゲン受容体の感受性の高さによって、ハゲやすいかが決まるわけなんですが、そのアンドロゲン受容体の感受性は遺伝子によって支配されていて、その遺伝子はX染色体にあります。
下の図をご覧ください。
祖父がアンドロゲン受容体の感受性が高い遺伝子を含むX染色体を有していたら、それは母親に遺伝します。
つまり、女性でも“ハゲやすくなる遺伝子”は持ちうるのですが、女性の場合はハゲません。
なぜなら、女性はもともと男性ホルモンが少ないからです。
ハゲやすい遺伝子を持たない父とハゲやすい遺伝子を持つ母との子どもは、
- XY‐男性(ハゲやすい遺伝子を持たない)
- XX‐女性(ハゲやすい遺伝子を持たない)
- XY‐男性(ハゲやすい遺伝子を持つ)→将来ハゲる確率が高い
- XX‐女性(ハゲやすい遺伝子を持つ)→もともと男性ホルモンが少ないためハゲない
が生まれる可能性があります。
冒頭で「父親がハゲているかどうかは関係ない」というお話をしましたが、それは子どもが男の子の場合、X染色体は必ず母親から受け継がれるからです。
このようにして、親がハゲていなくても祖父がハゲている場合、子どもがハゲるというハゲの隔世遺伝が起こるのです。
遺伝子検査で自分は大丈夫か調べてみよう!
少し前までは、子どもが生まれてからだんだんと成長していく中で遺伝というものが分かっていました。
しかし!この文明が発達した現代では、「遺伝子検査」なるものがあり、生まれる前から調べることが出来るようになってきました。
「遺伝子検査」と聞くと仰々しい感じがしますが、そこまで高くない費用で誰でも受けることができます。
実際に遺伝子検査を受けてみた!
僕は実際にジーンライフの「Genesis 2.0」という約360もの検査項目がある遺伝子検査を受けていました。
ちなみに僕のハゲる確率は...
高かった...笑 なんでだよ~笑
まぁまだ一番高いグループではなかったことを喜ぶべきなのかな。
ちなみに円形脱毛症になる確率は...
標準でした!!!㊗㊗㊗ ありがとう!神様!仏様!
ただ、円形脱毛症は肉体的・精神的なストレスによって、頭部に脱毛斑ができる疾患なので、たとえ遺伝子的には“標準”でも、環境によっては円形脱毛症になり得るので、注意が必要ですね。
男性型脱毛症を下の方へスクロールすると、予防と対策も親切に載ってました。
Genesis 2.0では、脱毛症以外にも、
- 各種がん
- 心筋梗塞
- 脳卒中
- 糖尿病
- 高血圧
といった疾患から、
- 買いだめしやすいか
- 太りやすいのか
- 匂いの感じやすさ
- 運動能力
- 計算速度
- 耳たぶの大きさ
- 耳垢のタイプ
- 永久歯の生える時期
などありとあらゆることが分かります。
自分はどんな疾患に罹りやすいのか、自分が得意なことなどが分かるので、新たな発見があります。
気になる方はぜひ遺伝子検査を受けてみてください。
遺伝子検査に関する詳しい記事はこちら
最後に
もしあなたの母方の祖父がハゲている場合は、あなたもハゲやすい可能性があります。
ハゲる可能性のある方ははGenesin 2.0のアドバイスにあったようにシャンプーをする時は、
- シャンプーを手でよく泡立てる
- 泡立てたシャンプーは爪を立てずに指の腹で優しく地肌を洗う
- 洗い残しがないようにしっかり流す
- リンス・トリートメントは地肌に付けるのではなく、髪の毛になじませるようにつける
- ドライヤーで髪を乾かす場合は、髪から15~20cmほど離す
を心がけましょう!
髪の毛がなくなってからでは遅いので、若いうちからしっかりケアしていきましょう!
【引用文献】
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