犯罪は遺伝する!?「犯罪遺伝子」は存在するのか?

 

犯罪を犯す人はなぜそのような行動に走ってしまうのか。

昔から「犯罪行動は遺伝するのか、それとも生まれ育った環境で学習するのか」ということが研究されてきました。

 

この記事では「遺伝」の方に焦点を当てて、解説していきます。

「犯罪は遺伝するのか」を検討するための方法は

  1. 家系研究
  2. 養子研究
  3. 双生児研究

の3つあるので、1つずつ簡単に説明していきます。

 

 

犯罪は遺伝する!?

犯罪の原因について初めて実証的な研究を行ったのは、刑務所や精神病院で長い臨床の経験を持つイタリア人医学者のロンブローゾ(Lombroso:1836-1909)です。

 

ロンブローゾは刑務所にいる犯罪者と犯罪者じゃない人を比べて、その違いを明らかにすることで、犯罪の原因を突き止めようと考えました。

当時はまだ心理テストも心理学の理論もありません。そこで彼が注目したのが、身体的な特徴です。

 

彼は犯罪者はそうでない人たちと比較した時に、以下のような身体的特徴を持っていると示しました。

  • 小さな脳
  • 厚い頭蓋骨
  • 大きな顎
  • 狭い額
  • 大きな耳
  • 異常な歯並び
  • 鷲鼻
  • 長い腕

現代からみたら問題だらけですが、ロンブローゾが「犯罪」という現象を実証的な方法で研究したことで今日の犯罪心理学に繋がっているのです。

 

家系研究

家系研究」とは、犯罪者が出た家系を分析することで、犯罪が遺伝するのかを調べようという研究です。

犯罪者を出しやすい家系があるのかを調査したところ、実際にいくつかの犯罪者家系が発見されました。

 

有名なところだと、ダグデイル(Dugdale)が報告したジューク家です。

ダグデイルがマックスジュールという男性と、アーダヤルクスという女性の子孫709名を調査したところ、その中の140人が犯罪者になっていました。

 

このように犯罪者を多く出す家系は実際に存在します。

ただ、家系が同じということは育った環境も同じ訳で、犯罪者が多く出るのは遺伝ではなく、環境の影響の可能性もあり、これだけでは「犯罪は遺伝する」とは言えません。

 

養子研究

養子研究」とは、幼い頃に養子に出された子どもを追跡調査して、その子どもが犯罪者となったかということと、生みの親の犯罪傾向、育ての親の犯罪傾向を比較・検討するというアプローチです。

子どもの犯罪傾向が生みの親と似ていたら遺伝の影響が強く、育ての親の犯罪傾向と似ていたら環境の影響が強いと言えます。

 

養子研究で最も大規模でかつ精度の高い研究が、デンマークにおいて行われたメドニック(Mednick)らのグループによって実施されたものです。

メドニックらは第一研究では、1927~1941年にコペンハーゲン付近で生まれ、親族以外と養子縁組した男子1,145組を追跡調査しました。

第二研究では1924~1947年にデンマークで養子縁組した14,427件の養子について研究を行いました。

その結果、育ての親による影響も存在するものの、生みの親の影響の方が断然大きいということが明らかになりました。

 

最も犯罪者が多く発生するケースは、生みの親も育ての親も両方とも犯罪者であるケースで、この場合は犯罪率が急増していました。

 

同様の研究がボーマン(Bohman,1996)をはじめとして、いくつか行われましたが、その多くが生みの親の影響の方が強いという結果になりました。

つまり、養子研究においては犯罪は遺伝するということが示されたのです。

 

双生児研究

双生児研究」とは、一卵性双生児と二卵性双生児の類似性を調べることで、犯罪は遺伝・環境どちらの影響が強いのかを調べる研究です。

 

一卵性双生児は遺伝子が全く同じですが、二卵性双生児は共通する遺伝子が兄弟と同じで2分の1です。

同じ環境で育った一卵性双生児と二卵性双生児を比較して、もし一卵性双生児の片方が犯罪者となり、もう片方も犯罪者になるという類似性が二卵性双生児よりも強かったら、遺伝の影響が強いということになり、特に差がなかったら環境の影響が強いということになります。

 

双生児研究を最初に行ったのは、ランゲ(Lange,1929)で、彼は双生児の一方に刑務所収容歴がある場合、もう一方も収容歴がある確率は、一卵性双生児で77%、二卵性双生児で12%ということを示しました。

また、クリスチャンセンは1881~1910年の間にデンマークで生まれた双生児のペアを対象に調査を行ったところ、一卵性双生児では一方が犯罪者でもう一方も犯罪者になる確率が33%、二卵性双生児では12%となりました。

 

これらの結果から、一卵性双生児の方が二卵性双生児よりも犯罪一致率が高い、つまり、犯罪は遺伝するということが示されました。

 

犯罪遺伝子は存在するのか?

 

 

鋭い人
家系研究・養子研究・双生児研究で、犯罪は遺伝するという結果が出てたけど、これは「犯罪遺伝子が存在する」ってこと?

 

マインドパレッサー
確かに「犯罪と遺伝子」には何らかの関係があることを示していますが、多くの研究者は犯罪遺伝子は存在するとは考えていません。なぜなら、人間の行動はある特定の遺伝子があるから行動を起こすのではなく、環境と相互作用する中で現れるものだからです。

 

犯罪を起こす人は、

  1. 攻撃性
  2. 衝動をコントロールする能力が低い
  3. 刺激を求める傾向
  4. 他人に共感する能力が低い

などの特性を持っていると考えられますが、これらの特性を持っているからといって必ずしも犯罪者になる訳ではありません。

 

なぜなら、例えば「攻撃性」という特性にしても、状況によっては「勇敢さ」という特性として現れ、犯罪とは逆の優れた業績に結び付く場合もあるからです。

 

つまり、犯罪と結びつきやすい特性を持っているからといって「犯罪者になるように運命づけられている」という訳ではなく、状況・環境によって特性は変わりますし、学習によって変化させることも可能なのです。

 

最後に

自分にどんな特性があるのかを客観的に知るのは重要です。

自分のことを良く知る友人に聞くという手もありますが、僕がオススメするのは「遺伝子検査」です。

遺伝子検査キット GeneLife Genesis2.0(ジーンライフ ジェネシス2.0)疾患リスク 肥満 肌美容 祖先ルーツ など約360項目解析

 

費用もそこまで高くなく、本当に細かく自分の特性・アレルギー・様々な病気のなりやすさなどを知ることが出来ます。

 

僕はジーンライフの「Genesis 2.0」という検査項目が約360項目もある遺伝子検査を受けました。

▼詳しくはこちらの記事に書いるので覗いてみてください▼

 

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【引用文献】

「犯罪心理学」越智啓太 サイエンス社 2012年3月25日発刊

 

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4件のコメント

>これらの結果から、一卵性双生児の方が二卵性双生児よりも犯罪一致率が高い、つまり、犯罪は遺伝するということが示されました。

犯罪と遺伝の関係について、西南女学院大の新谷恭明教授(教育学)は「成育環境などを無視した昔からある優生思想を基にした研究で、根拠はなく、これを持ち出すのは無知と言える」と述べている。

>その結果、育ての親による影響も存在するものの、生みの親の影響の方が断然大きいということが明らかになりました。

この調査は、明らかにインチキだ。「自殺したければ夜道を歩け」と言われるほど犯罪の多いヨハネスブルグでもない限り、13%以上もの人が有罪判決を受けるわけがない。検挙率の高い日本でさえ、国民が生涯に有罪判決を受ける確率はわずか1.38%に過ぎない。

関西人が犯罪を犯す確率は東北人の2倍強で、大阪府民が犯罪を犯す確率に至っては何と秋田県民の5倍強だが、これも遺伝の影響だろうか?

バファナバファナさん

記事を読んでくれた上にコメントまで送っていただき、ありがとうございます。
この記事では、犯罪行動に走ってしまう人は遺伝の影響が強いのか、それとも生まれ育った環境の影響の方が強いのかという昔からある疑問の「遺伝」の方の研究を紹介しました。今回ご紹介した研究は比較的昔のもので現在よりも実施法なども確立されていなかったはずなので、研究者の「こういう結果であって欲しい」という期待が結果に影響を与えた可能性は否定できません。ただ、これらの研究すべてを「インチキだ」と決めつけるのは違うと思います。バファナバファナさんの言うように成育環境ももちろん大切ですが、少なからず遺伝の影響もあると思います。犯罪の場合、攻撃性・自己コントロール力の低さ・共感性の低さなどの犯罪につながる可能性のある性格特性が遺伝して、それらがある環境の中で犯罪行動と結びついていると考えられます。つまり、遺伝だけ、環境だけの影響ではなく、遺伝と環境の相互作用で犯罪が生み出されるということです。

>今回ご紹介した研究は比較的昔のもので現在よりも実施法なども確立されていなかったはずなので、研究者の「こういう結果であって欲しい」という期待が結果に影響を与えた可能性は否定できません。

それがお分かりなら、記事の中にきちんと書いておいていただきたいものだ。

鈴木伸元『加害者家族』(幻冬舎新書)をお読みになったことがあるだろうか。
犯罪者の家族が凄惨な嫌がらせを受けている(宮崎勤の父親は自殺している)ことを考慮していただきたい。

バファナバファナさん

僕の記事が不快な気分にさせてしまったようですみません。

ただ、科学というのは加害者の家族の気持ちを考慮するのでも、被害者の立場に立つのでもなく、あくまでも客観的な視点に立ち、事実を検証していく学問です。

まだ「加害者家族」という本は読んだことはありませんが、殺人事件というものは被害者はもちろん、加害者の家族にとっても辛いものだということは分かります。

だから、誰もそんな辛い思いをしないように事件を減らしていくことが大切です。そのために科学があります。

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tetsuya
北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師を取得。月に10冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。