犯罪者になる人の生物学的な特徴はこれ!

犯罪者とそうでじゃない人の違いを調べるため、ホルモンや神経伝達物質、染色体などの生物学的な要因が研究されてきました。

その中でも特に注目されることが多いのが、ホルモン神経伝達物質です。

ホルモンは視床下部、甲状腺、副腎、すい臓などの内分泌器官で合成、分泌されて、他の器官の機能を促進・抑制し、外界の変化に対して内部機能の調整する役割を持つ物質です。

飲食をして血糖が上がると、すい臓で分泌される「インスリン」もホルモンの一種です。

 

神経伝達物質は脳の神経細胞の間で情報を伝える物質です。

神経細胞内は電気信号で情報が伝えられますが、神経細胞と神経細胞の間には若干の隙間(シナプス間隙)があり、そこは神経伝達物質が情報を伝えます。

引用:MEDDIC

 

この記事ではホルモン・神経伝達物質と犯罪との関係について説明します。

 

 

犯罪者はテストステロンが多い!?

犯罪との関連で最も多く話題にされるホルモンが、男性ホルモンのテストステロンです。

テストステロンは男性の場合、95%が金玉で、5%が副腎で作られます。男性の場合と言ったのは、女性でも卵巣や副腎で若干作られているからです。

テストステロンの効果としては、

  • 筋肉・骨格の形成
  • 性欲増進
  • ヒゲなどの体毛の発育
  • 意欲・モチベーションアップ

などがあります。

 

このようにテストステロンには「男性らしさ」を高める効果があるので、テストステロンが多いと攻撃的になるのではないか、と言われています。

実際、人間以外の多くの哺乳類では、テストステロンの量と攻撃性との間に強い関係があることが知られています。

 

良い質問する人
じゃあ、人間の場合はどうなの?

 

マインドパレッサー
気になりますよね。人間の場合のテストステロンと攻撃性については、ダブスが受刑者を対象に調査を行いました。

 

ダブスは113人の受刑者の唾液に含まれるテストステロンの濃度を調べました。

その結果、テストステロンの濃度が高い受刑者ほど、暴力的な犯罪を犯し、刑務所内の規則を破りがちということが明らかになりました。

しかも、この傾向は男性の受刑者だけではなく、女性の受刑者でもみられました。

 

また、別の調査で一般の市民を対象にして、血液中のテストステロンの濃度と非行の関係を調べたところ、テストステロンの濃度が高いほど、非行行動に走りやすいということが分かりました。

 

消防士もテストステロンが多い

テストステロンの濃度と攻撃性についての研究をご紹介しましたが、「テストステロンが多い人はみんな犯罪者になる」ということではありません。

 

例えば、消防士はテストステロンが多い傾向にあります。

というのもテストステロンには勇敢さなどの行動を促進する効果もあり、炎の中に飛び込むような勇気の必要な職業では必要なホルモンなのです。

 

つまり、テストステロンの「攻撃性が増す」という効果はたくさんある効果の1つであり、人の性格や状況などによっては「勇敢さ」という形で現れるのです。

 

犯罪者はセロトニンが少ない!?

セロトニンは気分を落ち着かせたり、リラックスの効果がある神経伝達物質です。

このセロトニンが少ないと攻撃性が増すのではないか、と考えられています。

 

これを実証した研究としては、ヴァン・グーゼン(Van Goozen ,2000)らが8~12歳の子ども88人を対象として行った研究があります。

セロトニンを直接、測定することは困難なので、彼らは子どもたちの血しょう中にあるセロトニンと関連する物質の濃度と攻撃性との関係を調べました。

その結果、セロトニン関連物質と攻撃性の間には相関関係があることが分かりました。

 

また、モッフィットらは781人の男女を対象にセロトニン関連物質の濃度と暴力犯罪の数を研究したところ、それらが関連していることが明らかになりました。

さらに、攻撃的なパーソナリティ障害の患者はセロトニン濃度が低いこと、セロトニンの量を増加させるSSRIなどの薬物が衝動的な攻撃性を低下させることなどが示されました。

 

犯罪の原因を探るアプローチには、

  1. 犯罪者の生物学的な特徴を調べる生物学的アプローチ
  2. 犯罪者の性格や生まれ育った環境などを調べる心理学的アプローチ
  3. 社会の構造や社会環境を調べる社会学的アプローチ

の3種類あります。

 

この記事では1の生物学的アプローチをご紹介した訳ですが、様々な側面から「犯罪」を捉えるのは重要です。

消防士の例でもご説明したように、テストステロンが多いから犯罪者になるという訳ではなく、その人物の性格特性や社会環境などの影響も多分に受けるからです。

 

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