- いまいち、やる気が出ないと悩む人
- 子どもに勉強をさせたい親
といった人たちが探し求めているもの。それは押せば意欲が湧いてくる魔法のスイッチ「やる気スイッチ」。
スイッチ一つでやる気を自在に操れたら、どんなに素敵なんでしょう。
残念ながら、やる気を自由にON・OFFできるスイッチがカラダのどこかにあるわけではありませんが、やる気を出させる部分があるのは事実です。
この記事では、やる気スイッチの正体とは何なのか、そして、やる気スイッチを押すにはどうすれば良いのかについて解説します。
「やる気スイッチ」の正体とは!?
やる気が出るきっかけは、「動機付け(モチベーション)」と呼ばれる欲求です。
たとえば、私たちが毎日当たり前のように行っている「食事」は、“食べたい”という食欲がなければ、食材を買いに行ったり、料理をしたりしないはずです。
このモチベーションを保たせる「やる気スイッチ」を押すのが、神経伝達物質であるドーパミンです。
たとえば、欲求にしたがって食事をし、食欲を満たすと、脳は
と判断し、中脳の腹側被蓋野(ふくそくひがいや)という部位からドーパミンを放出します。
ドーパミンは食事に限らず、脳が“良いことをした”と判断すると放出され、同時に「気持ち良さ」ももたらします。
私たちは良いことの「報酬」としてもたらされるこの快感を再び味わうために、同じ行動をとります。
つまり、ドーパミンが「やる気スイッチ」をオンにする役目を担っているのです(池谷,2018)。
【神経伝達物質に関してはこちらの記事をご覧ください。】
実は依存症とも深い関係がある
タバコ、アルコール、薬物などを摂取せずにはいられなくなる依存症。
実は依存症もドーパミンとは深い関係があります。
というのも、タバコ、アルコール、薬物などはドーパミンを増加させる働きがあり、人はそれらを摂取することで快楽を感じるのです。
そして、「タバコ、アルコール、薬物などを摂取すること=快楽」と脳が学習し、自分ではコントロールできないくらい、それらの物質を欲してしまうのです。
人には、どんな快楽もずっと続けば、慣れてしまうという性質があります。
この性質を「快楽適応(ヘドニック・トレッドミル現象)」と言います。
快楽適応によって、最初は快楽を得られていた量ではもう満足できなくなってしまい、どんどん摂取する量が増え、自分をコントロールできなくなっていきます。
【依存症、快楽適応に関してはこちらの記事をご覧ください】
やる気スイッチを入れる方法とは?
つまり、子どもに勉強をさせたいのなら、勉強をするとドーパミンが出るようにすれば良いのです。
「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」
ドーパミンを分泌されるポピュラーな方法が「褒める」「ご褒美をあげる」などです。
これは子どもを持つ多くの親がやっていることではないでしょうか。
テストで良い点数を取ったことで褒められると、
と子どもの脳は判断するようになり、勉強をしたいと思うようになります。
このように外部から働きかけてモチベーションを引き出すことを「外発的動機づけ」と言います。
しかし、外発的動機づけによってやる気を出している子どもは、勉強しても褒められなかったり、ご褒美がもらえなくなった途端にやる気がなくなってしまいます。
また、すでにやる気がある子どもに対して外発的動機づけをすると、やる気を削いでしまう可能性もあります。
心理学的に外発的動機づけよりも優れていると考えられているのが「内発的動機づけ」です。
内発的動機づけとは、外部からの報酬の有無に関係なく、その行動を取ること自体に楽しさを見出していて、自ら積極的に行動を取ることです。
「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」に関してはこちらの記事をご覧ください
最後に
「やる気スイッチ」の正体は、中脳の腹側被蓋野から分泌されるドーパミンです。
やらなけらばいけないことが山積みなのに、「今日はやる気がでないなぁ」と感じる日があるのは、みんな一緒です。
そんな時は、「これが終わったら、好きなものを食べるぞ!」と自分に対して外発的動機づけをして、乗り切りましょう!
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【引用文献】
池谷裕二(2018)【大人のための図鑑】脳と心のしくみ 新星出版社
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