【夢研究の最前線】人が夢を見る理由やよくある疑問を簡単に解説

 

人は毎日、夢を見ます。

一般の意見
いやっ毎日は見てないなぁ

という方もいらっしゃると思いますが、それは目覚めたときに覚えていないか、目覚めた後すぐ忘れてしまうからです。

 

夢は誰もが毎日、経験する身近な現象でありながら、

  • どんな役に立つのか?
  • そもそも夢とは何なのか?

など、まだ解明されていない謎がたくさんあります。

 

しかし、最新の研究では、外部からその人が見ている夢の一部が分かったり、夢がどうやって生み出されているのかが解明されつつあるなど、興味深い進展もあります。

 

この記事では、そんな神秘のベールに包まれている夢の世界について話していきたいと思います。

 

 

「睡眠サイクル」を覚えよう!「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」

僕たちの眠りは「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という2種類があります。

 

レム睡眠の「レム(REM)」とは Rapid Eye Movement の頭文字を取ったものです。

その名の通り、眠っている間に眼球がグルングルンと素早く動くことからそう名付けられました。

 

一方の「ノンレム(Non REM)睡眠」は“REMがない状態“、つまり、素早い眼球運動がない睡眠です。

 

引用:Rapt Moll Magazine「今から、今年からの睡眠改善」

 

人は通常、眠りに入ると、まずはノンレム睡眠が始まって、徐々に眠りが深まっていきます。

 

ノンレム睡眠は眠りの深さによってステージ1~4に分けられることが多いです。

入眠して60分程経過すると、レム睡眠になり、そのあと再びノンレム睡眠に戻ります。

 

ノンレム睡眠とレム睡眠の1サイクルがおよそ90分で、これが一晩に4~5回ほど繰り返されます。

 

ノンレム睡眠のときに、脳は休んでいると考えられています。ただし、脳は完全に停止しているわけではなく、危険を察知する機能などは維持されています。

また、脳から身体へ送られる信号は残っているので、寝がえりをうったりします。

 

 

一方、レム睡眠のときは、脳はノンレム睡眠時よりも活動していますが、筋肉は弛緩しており、音などの刺激への反応は弱いです。

 

つまり、頭は目覚めているけど、身体は眠っているような状態です。

 

 

まとめ
  • ノンレム睡眠‐脳は休んでいる・身体はやや活動
  • レム睡眠‐脳は活動している・身体は休んでいる

 

人はいつ夢を見るの?

眠っている人をレム睡眠中にたたき起こすと、ほとんどの場合、「夢を見ていた」と話すことから、夢はレム睡眠中に見るものだと考えられていました。

 

しかし、その後の研究によって、ノンレム睡眠中でも頻度は少ないながら夢を見るということが明らかになってきました。

 

そして、興味深いことに、レム睡眠時に見る夢とノンレム睡眠時に見る夢は内容が異なるということが指摘されています。

 

レム睡眠時の夢は比較的明確なストーリーや喜怒哀楽などの感情が伴い、空を飛ぶなどの奇想天外な内容であることが多いです。

一方、ノンレム睡眠時の夢はぼんやりとした風景や抽象的な考えごとなど、漠然とした内容のことが多いです。

 

心理学の巨匠フロイトの「夢分析」

引用:精神分析学者フロイトの名言まとめ

心理学者フロイトは人間の奥底にある「無意識」には、本人にも気づいていない欲求が潜んでおり、それが形を変えて夢に現れてくると考えました。

特に、性的な欲求に注目し、「空を飛ぶ夢は性的興奮を象徴している」など独自の理論を展開しました。

当時は、夢分析を通じて人間の無意識にアプローチするという斬新な方法が反響をよび、心理学や精子医学の発展に大きな影響を与えました。

 

しかしながら、フロイトの理論は具体的な根拠があるというわけではありませんでした。

実際、潜在的な願望や性的欲求はさほど夢に出てこないことが実験的に確認されています。

 

夢が生み出されるメカニズム

夢が生み出される場所については長年、夢に関する研究に取り組んできた元フランス国立科学研究所リサーチ・ディレクターの北浜 邦夫博士がこのように述べています。

睡眠が深くなるにつれて、脳の奥深くにある「脳幹」という部位が大脳皮質を刺激する持続的な信号を出すようになる。

このため、大脳皮質は目覚めているときに近い状態になり、レム睡眠がはじまる。

大脳皮質の活動状態は部位によって異なるが、視覚野など一部の部位は、起きているときより活発になることも多い。

ただし、理性をになう「前頭前野」をはじめ、各部位がきちんと連携していないので、合理的な判断などはできない。

さらに、脳幹はレム睡眠中、「PGO波」と呼ばれるランダムな刺激を断続的に発する。

このPGO波によって、記憶が保存されている部位が活性化されることで、過去の思い出が視覚野で映像となって、夢の中に現れると考えられる。

引用:『Newton 2019/12』103~104ページ

引用:自己実現ラボ

大脳皮質」とは、脳の表面に広がる薄い層で思考・運動・推理・記憶などの高次脳機能を司る場所です。

脳の奥にある脳幹から大脳皮質に送られるPGO波が様々な部位を刺激することで、色んな夢を見るという訳です。

聴覚野が刺激される → 何かしらの音が聞こえてくる

感情を司る扁桃体が刺激される → 喜怒哀楽が生じる

といった具合に。

 

ただ、脳幹からの信号が発生していなくても夢を見ることがあることや脳幹を損傷した患者でも夢を見ることがあることから、近年では「そもそも脳幹からの信号とは無関係に夢が生じている」という説も出てきています。

 

夢が生み出されるメカニズムについては現在でも色々な意見があり、議論が続いています。

 

空を飛ぶ夢や落下する夢を見る理由

おそらく多くの人が「空を飛ぶ夢」や「どこかから落下する夢」を見たことがあるのではないでしょうか?

 

レム睡眠中は思考・推論などを司る脳の部位が休んでいるので、奇想天外な夢の内容になることが多いです。

その状態で、重力に対する感覚や平衡感覚に関係する脳の部位が働いていない場合、身体が宙に浮かんだり、落下したりする感覚が生じる可能性があります。

 

「重力に対する感覚の不具合」という意味では、「空を飛ぶ夢」と「落下する夢」は同じようなものです。

 

金縛りは心霊現象じゃない

眠りにつくとまずノンレム睡眠に突入し、およそ60分後にレム睡眠に移行します。

 

しかし、不規則な生活などで、眠った直後からレム睡眠が生じることがあります。

その場合に金縛りが起きやすいとされています。

 

眠ったばかりで意識が比較的はっきりとしていますが、レム睡眠中は筋肉が弛緩しており、身体は動かせません。

そのため、心霊現象のように感じてしまうのです。

 

夢遊病はなんで起こるの?

レム睡眠時は通常、筋肉が弛緩しますが、何らかの異常がありその筋肉の弛緩が起こらないと、夢を見ている通りに動き回ってしまう「レム睡眠行動障害」を発症します。

 

一方、ノンレム睡眠時に歩き回るなどの現象は「睡眠時遊行症」と呼ばれており、睡眠から覚醒へうまく移行できない症状と位置づけられています。

 

いわゆる「夢遊病」は「睡眠時遊行症」の方で、本人は何も覚えていないことが特徴です。

 

「自分は今、夢を見ている」と気づく「明晰夢」

夢を見ている最中に「あれっこれって夢だよな?」と自分が夢を見ていることに気づく夢を「明晰夢」と言います。

夢の中で自由に行動ができ、夢の内容を好きなように変えられるというまさに「夢のような夢」ですね。特別な訓練を行うと明晰夢が見やすくなると言われています。

 

僕は子どもの頃に何度か明晰夢を見たことがあります。

その時は、かめはめ波をうったり、空を飛んだり、好きな子を出現させたり、瞬間移動したりと好き勝手していました。

大人になってからも、「明晰夢がみたいな~」と思って、明晰夢に関する本をけっこう読んで色々試してみたのですが、大人になってからはまだ見れていません。

 

人が夢を見る理由

結局、人が毎晩欠かさずに夢を見る理由とは何なのか。

 

残念ながら、今のところ研究者の間で一致した結論は得られていませんが、代表的な見解としては「夢が記憶の整理と定着に役立っている」とされています。

少なくとも、睡眠が記憶の固定に重要なことは様々な研究によって、証明されてきました。

 

ただし、そこに夢がどのように関わっているのかがまだよく分かっていません。

近年の研究では、記憶の固定にはノンレム睡眠が大切という意見が多いのですが、鮮明な夢を見るのはレム睡眠の方なので、レム睡眠と記憶の固定との関係については議論されています。

 

他の説としては、

  1. 夢が感情の安定に役立っているという説
  2. 現実で想定される脅威を夢の中でシミュレーションしているという説

などがあります。

 

夢の内容の解読に成功!?夢研究の最前線

「夢の内容は見ている本人にしか分からない。」そんな時代が終わりを告げようとしています。

 

というのも、最新の研究で外部からの観測によって夢の内容の解読に成功したのです。

 

京都大学大学院情報学研究科の神谷教授らは、3人の被験者を対象に実験を行いました。

まず、脳波を測定しながら被験者に眠ってもらい、夢を見ていると考えられる脳波が出たら起こし、夢の内容を聞く、という作業を1人につき約200回繰り返しました。

 

マインドパレッサー
寝る→たたき起こされる→寝る→・・・っていうのを約200回も繰り返すって、被験者がんばりましたね。笑 まぁ「重大な発見に貢献できるかも!」って考えたら、やる意味は十分にありますよね。

 

被験者が語った夢の中に出てきた様々な単語を被験者ごとに約20項目に分類しました。

例えば、「少年」「男」は「男性」という項目、「バス」「自動車」は「車」という項目にまとめました。

次に、その20項目の物体の写真を起きている被験者に見てもらい、その時の脳の活動をfMRIという装置で計測しました。

※fMRIは脳内の血流を読み取って、どの部位が活発に働いているかを観測する装置です。

 

こうして得られたデータから、「ある物体を見ている時にどんな脳活動が起こっているかを人工知能に学習させました。

そして、被験者3人にfMRIに入って眠ってもらい、計測した睡眠中の脳活動のデータを人工知能で解析しました。

 

すると、約70%の確率でどんな項目が夢に出てきたのかを的中させることが出来たのです!

それまで、本人に報告してもらうしか夢の内容を知るすべがありませんでしたが、客観的に脳活動を解読できたことが、夢研究において大きな前進だと言えます。

 

また、睡眠中に夢を見ているときと、起きていて物を見ているときとで、視覚に関わる脳の同じような回路が働いていることを実験で確認できたのも、この研究が初めてでした。

 

ただし、夢に出てきた物体の色や形などの詳しい特徴や感情、身体の動きなどは解読できなかったので、今後の研究に注目ですね。

 

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【引用文献】

『Newton 2019/12』

 

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