あなたは一日何分くらいスマホをイジってますか?
自分がスマホ依存だと気付いていない「隠れスマホ依存」の人は多いです。
では、なぜ人はスマホに依存してしまうのでしょうか?
実はそこには、人間の本能が関係していたのです。
【スマホ依存】人を夢中にさせる最新テクノロジーとは
僕は自分を「スマホ依存症」だとは思っていません。
しかし、先日画面が突然、真っ暗になって何も操作できない状態に陥りました。
急にスマホが使えなくなった僕はもうパニック!しており、その夜は「うわ~どうしよう」という不安でいっぱいになり、全然眠れませんでした。
僕のような自分で自覚していない「隠れスマホ依存」の人は多いです。
なぜ人はスマホに依存してしまうのでしょうか?
早速、スマホに依存してしまう原因を4つ解説していきます。
原因① スマホは人を惹きつけるように設計されている「A/Bテスト」「AI解析」
スマホで利用できるアプリやウェブサイトの多くは人を惹きつけるように設計されています。
例えば、記事のタイトルや動画のサムネイル、広告デザインなど、ついついクリックしたくなりませんか?
そういった広告やウェブサイトのデザインや文言を検討する時に使われるテクノロジーの一つが「A/Bテスト」です。
A/BテストはAパターン・Bパターン2つのデザインを用意し、一定期間ユーザーがウェブサイトにアクセスした時にどちらかの広告をランダムに表示します。
そして、Aパターン・Bパターンそれぞれのクリックされた回数を分析して、クリック数が多かったデザインを採用します。
このA/Bテストを繰り返すことによって、あなたのスマホはよりあなたを夢中にさせる広告やウェブサイトが表示されるようになるのです。
また、最近は「AI解析」も進化してきました。
AI解析はユーザーの膨大な行動データをAIに学習させて、各ユーザーの好みに合った商品や広告、ニュースなどを表示させる機能(レコメンド機能)があります。
例えば、ネットショッピングであなたと似た商品を買ったことがある別のユーザーの購入履歴から、まだあなたが買っていない商品を提案したりですね。
こういった最新テクノロジーは便利な反面、時に人をスマホに夢中にさせ、自分の意志ではコントロールできなくなるスマホ依存に陥らせるのです。
原因② ランダムな報酬が病みつきに!「間欠強化」とは?
「間欠強化(かんけつきょうか)」は毎回ではなく、ときどき報酬を与えることです。部分強化とも呼ばれます。
それに対して、毎回報酬を与えることを「全強化」または「連続強化」といいます。
人はいつも報酬をもらうよりも、もらえる時もあるしもらえない時もあるという間欠強化の方が*ドーパミンの分泌量が増えるということが分かっています。
アメリカの心理学者バラス・スキナーはマウスを使って実験を行いました。
【実験内容】
ボタンを押すとエサが出てくる箱を2つ用意し、それぞれの箱にマウスを1匹ずつ入れました。箱には少し工夫を施しました。
箱①‐ボタンを押すと毎回エサが出てくる
箱②‐ボタンを押すと時々エサが出てくる
それぞれの箱に入れられたマウスがどれくらいボタンを押すのかを観察しました。
その結果、時々エサが出てくる箱②に入れられたマウスの方がボタンを押したのです。
スマホも同様に「今回はイイネ付いてるかな?」「誰かからコメント来てるかな?」とランダムなイベントがあるから、ついついイジってしまうのです。
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原因③ 「承認欲求」他人から認められたい気持ちは人間の本能
原因2つ目は承認欲求です。
承認欲求は「他人から認められたいという欲求」です。
この承認欲求は人間が生き残っていくためにDNAに刻み込まれた本能です。
人類はもともと、多くても150人ほどの小集団で助けあいながら、暮らしていました。
その狩猟採集時代では、獲物は一人では捕まえられませんし、家だって建てられません。
自分勝手な行動ばかりして、他のメンバーから疎まれたら、生きていくことが出来なかったのです。
したがって、「他人からどう思われているか」「他人に認められているか」を気にする必要があったのです。
SNSで他の人からイイネやコメントをもらったり、リツイートされると「他の人から認められている」と承認欲求が満たされるので、ついついスマホをイジってしまうのです。
承認欲求はアメリカの心理学者エイブラハム・マズローが唱えた欲求階層説の中の一つです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
原因④ 「デフォルト・モード・ネットワーク」とは?
デフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network:DMN)はあれこれ思考しない、リラックスしているときに、無意識的に働く脳内のネットワークです。
アメリカの心理学者マシュー・リーバーマンによると、このデフォルト・モード・ネットワークが活発になっているとき、人は他人とコミュニケーションを取りたくなるそうです。
つまり、リラックスしていて、暇なとき、人はついついスマホをイジってしまうのです。
人は一人では生きていけない生き物なので、他人から嫌われることを非常に恐れます。
「他人から嫌われるのが怖い」という不安はいつも意識しているわけではありませんが、常に無意識下でくすぶっています。
そして、デフォルト・モード・ネットワークが活発になると、その不安を払拭しようとしてか「他人とコミュニケーションを取りたい」というスイッチが起動するのです。
ちなみにDMNが活性化しているときは「アイデアが生まれやすい」という特徴もあります。
DMNが活性化する以下の4つのシチュエーション
- Bus(バスなどの移動中)
- Bathroom(お風呂に入ってるとき)
- Bed(ベッドで横になってるとき)
- Bar(お酒を飲んでリラックスしてるとき)
から「創造性の4B」と呼ばれています。
原因⑤ 自分がいない間に楽しいことが起きてるかも「FOMO」
「FOMO(Fear Of Missing Out)」とは、自分がいない間に楽しいことや何かしらのイベントがあるかも、と何かを「見逃すことへの恐怖」です。
人間は社会的な動物で、狩猟採集時代は集団や共同体から排除されたり、のけ者にされると生き残ることができませんでした。
そのため、人間には「共同体の仲間とつながっていたい」という原始的な欲求が備わっています。
共同体の一員でいるためには、そこで起きていることを常に把握しておくことが大切です。
SNSを常にチェックしていないと、FOMOが生じるため、頻繁にSNSをチェックせずにはいられないのです。
こうしたFOMOの感情も、スマホ依存に陥る要因の一つになります。
スマホ依存は「行為依存」
スマホ依存は「行為依存」に分類されています。
行為依存とは、特定の行為・行動から得られる刺激や興奮、安心感にのめり込んでやめられなくなり、日常生活に支障をきたしている状態です。
行為依存はタバコ、アルコール、薬物などに依存する物質依存とは異なり、身体に影響はないと考えられていました。
しかし、最新の研究では、ギャンブル依存症者の脳の活動や構造に変化がみられることが明らかになりました。
つまり、スマホ依存も身体に何らかの影響を与える可能性があるということです。
ちなみに行為依存にはギャンブル依存、スマホ依存の他にも以下のようなものがあります。
- ゲーム依存症
- インターネット依存症
- 買い物依存症
- 性依存症
- 窃盗症(クレプトマニア)
- 自傷行為
誰でもすぐに実践できる「スマホ依存対策」
スマホを使い過ぎてるなぁと自覚されている人はスマホの使用時間制限にチャレンジしてみると良いと思われます。
以下に、誰でもすぐに実践できるスマホ使用時間の制限方法を上げます。
- プッシュ通知をオフにする
- スマホを目のつかないところに置く
- 起床時はスマホのアラームではなく、目覚まし時計を使う
- SNSを使用する目的を明確にする
- 1日のスケジュールを明確にする
- アプリを整理する
- スマホ画面をカラーからモノクロに変更する
時間設定でスマホを封印「タイムロッキングコンテナ」
自分の意志では、使用制限できなさそうという人には、「タイムロッキングコンテナ」がおすすめです。
タイムロッキングコンテナとは、時間設定で施錠できる容器です。
タイマーは分単位で設定可能で、設定した時間になるまでいかなる方法でも解錠できなくなります。
スマホだけではなく、ゲーム・タバコ・お菓子などなど、他の物でも利用できます。
スマホ依存には「代替行動」が効果的
また、スマホ依存から抜け出すには、代わりとなるもの(代替行動)を見つけることが有効です。
言い換えると、スマホをイジりたくなったら、行うほかの行動を見つけておくのです。
たとえば、スマホがイジりたくなったら、
- スクワットをする
- 読書をする
- 瞑想する
- コーヒーを淹れる
などです。
スポーツに打ち込んだり、新しい趣味を見つけたり、英会話教室に通ったり、資格の勉強するのも良いですね。
いままでずっとやってきたことを止めるのは大変なので、代わりとなるものを見つける方が依存症から抜け出しやすいのです。
これは物質依存でも同じです。
こちらの『デジタル・ミニマリスト』には、他にもスマホ依存から脱却する方法が書かれているので、良かったら参考にしてみてください。
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最後に
知らぬ間に陥りがちな「隠れスマホ依存」
一日に2時間も3時間も、SNSをぼんやりと眺めてしまう人もザラにいます。
もし、その2時間、3時間を他のことに有効活用できたら、どうでしょうか?
控えめに言って、人生変わります。
しかし、スマホに依存してしまうのは、人間の本能にも原因がある上、アプリを開発している企業もそういった人間の特性を巧みに利用して、利用時間や利益を増やそうとしています。
つまり、スマホ依存はあなたの責任ではありません!
ただ、スマホ依存で困るのは、やはり自分自身。
後悔しない人生を送るために、依存症から脱却して、時間を有効活用しましょう!
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