あなたが日頃、感じるストレス・不安・怒りはあなたの思考・信念が原因です。
たとえば、接客業でお客さんにクレームを言われました。
そのときの受け止め方は人によって違います。
同じ出来事なのに、Aさんはお客さんからクレームを受けたことでストレス・怒りを感じ、Bさんは前向きな気持ちで捉えました。
つまり、何らかの出来事(A)があって、結論(C:ストレス・怒り・前向きな姿勢)になるのではなく、その間にある思考・信念(B)が結論を導きだしているのです。
ストレスを引き起こすような不合理な考え方・思考を「イラショナル・ビリーフ(irrational belief)」と言い、出来事を前向きでクリエイティブに対処できる考え方・思考を「ラショナル・ビリーフ(rational belief)」と言います。
イラショナル・ビリーフについてはこちらの記事をご参照ください。
論理情動行動療法(REBT:rational emotive behavior therapy)では、クライエントが持っているイラショナル・ビリーフについて話し合い、ラショナル・ビリーフに変えていくという心理療法です。
この記事では、論理情動行動療法(REBT)とは何なのかについて詳しく解説し、ラショナル・ビリーフに変えていくにはどうすれば良いのかについて説明していきます。
ストレスはあなたの思考が原因!論理情動行動療法(REBT)とは?
論理情動行動療法(REBT)は心理療法家のアルバート・エリスによって、生み出された心理療法です。
元々は1955年にアルバート・エリスが哲学的洞察と行動療法を合わせた理論に端を発します。
この理論の趣旨は、「自分自身を説得させる文章が論理的で事実に即していれば、健康な行動が取れるが、文章が論理的矛盾があったり、事実に即していなければ、悩みが生じる」というものです。
当初は論理療法(RT:rational therapy)と呼ばれていましたが、「感情を重視しない理論」という批判を受け、1961年に論理情動理論(RET:rational emotive therapy)に名称を変更しました。
そして1996年に現在の論理情動行動療法(REBT)になりました。
論理情動行動療法では、人間の思考・感情・行動は相互に深く関わっていると捉えていて、心理療法家はクライエントが持っている不合理な信念(イラショナル・ビリーフ)を指摘し、クライエントに気づかせることで感情や行動の問題を改善していこうとします。
イラショナル・ビリーフは小さい頃からの出来事や経験、親の教えなどによって生み出された信念・思考で普段は意識しない、言わば「思考のクセ」のようなものです。
その本人では気づきにくい思考のクセを心理療法家が指摘し、ラショナル・ビリーフに変えていきます。
ラショナル・ビリーフを身に付けると、健康的で程よい幸福感や欲求を求めるもので、自分を傷つけたり必要以上に悩んだり落ち込んだりしなくなります。
ラショナル・ビリーフに変えるにはどうすれば良いのか?
論理療法家の菅沼 憲治らがラショナル・ビリーフを取り入れ、精神的に健康になるにはどうすれば良いのかを13個のリストにまとめているので、そちらをご紹介したいと思います。
- 自己受容
- リスクを冒す
- 現実感覚
- 高い欲求・不満耐性
- 惑乱への自己責任
- 自己感覚
- 共同体感覚
- 自己指向
- 耐性
- 柔軟性
- 不確かさへの受容
- コミットメント
- 科学的指向
引用文献
自己受容
自分のありのままの存在を許す勇気を持つ。
生きていることに喜びを感じ、外的成功や他人がどう思っているかなどで、自分自身に対する価値づけや評価などはしない。
人生を楽しもうとする。
リスクを冒す
ワンパターンとマンネリ生活を打破して柔軟な生き方を身に付ける。
リスクを冒すことを辞さない。
自分がしたいことに挑戦する冒険心を持つ。
現実感覚
目標設定したことに対して目標値があまりにも簡単であれば、もう少し高い目標に修正し、目標が困難な場合は少し目標を下げる。
この上方修正、下方修正を目標に合わせて柔軟に変えるというのが現実感覚である。
欲しいものが全て手に入る訳ではないし、嫌なことを全て避けることも非現実的。
全く到達できない目標や非現実なものに時間を浪費するようなことはせず、ありのままの現実を受け入れる。
高い欲求・不満耐性
自分や他者が、失敗をする存在であることを認める。
自分自身にしろ、他人にしろ、過ちを犯す権利がある。
変えられる不快な状態は変え、変えられないことは受容する。
人生ですべてのものが手に入るわけではないことを受入れる。
惑乱への自己責任
悩み・苦悩は自分が作り出している。
したがって、その結果・責任は自分でしか背負えない、ということを自覚する。
自分の心理的混乱に対して、責任を持つ。
自分の思考・感情・行動に対し、それ相応の責任をとる。
自己感覚
自分を大事にする。
たとえば、人からの助言があったとしても、それに振り回されないで、最終的には自分が腹をくくる。
自分自身に関心を持ち、自分の関心ごとを他者のそれよりもわずかながら優先させる。
共同体感覚
社会奉仕する。
私たちは人に支え・支えられ生きている。
社会の平穏無事を意識し、他人の権利を尊重する道徳的な行動をとる。
それは自分が居心地よく安全で幸せに暮らせる世界を想像する助けになるからであり、自分を社会の一員として認めることが重要になる。
自己指向
自分を大事にし、お人好しにならない。
自分独自の人生に対して責任を負い、自分の問題はほとんど独力で解決する。
耐性
我慢をする。
ときに嫌なことが起こる社会だが、私たちはユートピアに住んでいる訳ではない。
人は誤りやすい存在であることを認め、他者を人間として非難しない。
柔軟性
凝り固まった考えを捨て、柔軟な発想を持つ。
いつも知的に柔軟で、変化に心を開き、周囲に偏見を持たない。
不確かさへの受容
私たちが住む世界は不確かで、「絶対的に確実」ということは、今までも、これからも、無いという事実を受入れる。
その世界に生きることは、決して恐ろしいことではないと受け入れる。
コミットメント
損得勘定を度外視して、没頭して何かに夢中になる。
人は自分以外の何かに心底夢中になっているとき、幸せになっていると実感できる。
科学的指向
科学的根拠に基づいて考える習慣を身に付ける。
まとめ
何らかの出来事が、結果(ストレス・嫌な気持ち)につながっているのではなく、その間にある小さい頃から作り上げてきた思考・信念が結果を生み出しています。
歪んだ思考・信念(イラショナル・ビリーフ)があれば、ネガティブな結果になるし、健康的な思考・信念(ラショナル・ビリーフ)なら、自分も他者も尊重するアサーティブな行動がとれるようになります。
次に何かあなたがストレスを感じたり、嫌な気持ちになることがあれば、
と自分の無意識の思考・信念に意識を向けてみましょう!
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引用文献
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