契約書が読みにくいのはなぜ?専門用語ではなく○○が原因!

 

契約書や利用規約を読んでも、内容が理解しにくいと感じたことはありませんか?

 

実はその原因は、難解な専門用語ではなく、文章そのものにあるのです。

本記事では、なぜ契約書が理解しにくいのか、その理由と対策について詳しく解説します。

契約書を読みやすくするためのヒントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

【この記事を読んで分かること】

  • 契約書が難解なのは、専門用語よりも文章構造が原因。
  • 難解な文章の特徴として、中心に埋め込まれた節や受動態、低頻度の単語が多い。
  • これらの要素は理解力や記憶に悪影響を与える。
  • シンプルな文章に改善することで、読みやすさが大幅に向上する。

 

この記事は、イグノーベル賞を受賞した論文を基に書いてます。

Eric Martínez, Francis Mollica, Edward Gibson (2022)「Poor Writing, Not Specialized Concepts, Drives Processing Difficulty in Legal Language」 Cognition, vol. 224, 105070.

 

 

契約書が読みにくいのはなぜ?専門用語ではなく○○が原因!

契約書が読みにくいのはなぜ?専門用語ではなく○○が原因!

契約書や法律文書は、専門知識がないと理解できないと思われがちです。

 

しかし、実際には、難解さの主な原因は専門用語ではなく、文章の書き方にあります。

契約書には、読みにくい文章構造が多く含まれており、これが理解力を低下させる要因となっています。

 

難解な文章の特徴

難解な文章の特徴
Image by Gerd Altmann from Pixabay

契約書の文章には、いくつかの共通した難解な特徴があります。

中心に埋め込まれた節

文章の中に、別の文が挿入されることで、構造が複雑になります。

たとえば、「会社が支払う全ての給付金(以下‘総支払額’という)は、特定の税金の対象となる場合、現金の退職手当が減額される」というように、一つの文の中に説明が重ねられることで、読む人の理解力が低下します。

受動態の使用

受動態の文は、能動態に比べて理解が難しくなります。

「当事者により裁判の権利が放棄される」という受動態よりも、「当事者が裁判の権利を放棄する」と能動態で表現すれば、、よりシンプルでわかりやすくなります。

低頻度の単語

契約書には日常生活であまり使われない単語が多く含まれています。

たとえば、「ここに」「これに基づく」など、日常的に使わない表現が多いと、読者が内容を理解しにくくなります。

 

実験で明らかになった事実

実験で明らかになった事実

研究では、複雑な構造を持つ文章は、シンプルな文章よりも理解や記憶に悪影響を与えることが確認されました。

 

たとえば、中心に埋め込まれた節が多い契約書の文章は、そうでない文章に比べて、内容を覚える力が大幅に低下するという結果が出ています。

また、受動態の多い文章も、理解力を低下させることがわかっています。

 

契約書を読みやすくするためには?

契約書を読みやすくするためには?

契約書を理解しやすくするためには、次のような改善が有効です。

シンプルな文に分割する

複雑な文をシンプルに分割するだけで、理解力が大幅に向上します。

たとえば、「支払額が税金の対象となる場合は現金の退職手当が減額される」と一文で表現することで、内容をスムーズに理解できます。

能動態を使う

受動態を避け、能動態を使うことで、文の意味が明確になります。

これにより、読み手は誰が何をしているのかをより簡単に理解できます。

高頻度の単語を使う

日常的によく使われる単語に置き換えることで、文章の難解さが減少します。

たとえば、「ここに」を「この場で」に置き換えるだけで、内容がぐっとわかりやすくなります。

まとめ

契約書が難解に感じるのは、専門用語ではなく文章の構造が原因です。

シンプルで読みやすい文章に改善することで、理解力が向上し、契約内容を正しく把握できるようになります。

法律文書も、読み手のことを考えて書かれるべきであり、簡単な言葉や構造にすることで、より多くの人が法律を正しく理解できる社会になることが期待されます。

 

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【参考文献】

Eric Martínez, Francis Mollica, Edward Gibson (2022)「Poor Writing, Not Specialized Concepts, Drives Processing Difficulty in Legal Language」 Cognition, vol. 224, 105070.

 

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tetsuya
北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師を取得。月に10冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。