「BeReal」と「setlog」が流行る本当の理由とは?若者心理を解説

Minimal modern flat illustration, wide 1200x630 composition. A smartphone held in one hand showing a plain, unfiltered everyday snapshot, next to a second phone showing an over-edited glossy photo being gently faded out. Generous white space, off-white background (#FAFAF8), monochrome grey line art with a single accent color of muted deep blue (#2B4C7E). Thin clean lines, no text, no logos, soft flat shadows, editorial tech-blog aesthetic.

 

BeReal」や「setlog」。

 

ここ最近、若い人たちの間で急に名前を聞くようになった2つのアプリです。

加工はできない。フォロワー数も出ない。

 

一見するとかなり不便です。

それなのに、なぜここまで流行っているのでしょうか?

 

この記事では、2つのアプリの仕組みを整理したうえで、その裏側にある若者の心理と、現代社会の変化を掘り下げます。

「編集できないSNS」BeRealとsetlogとは?

Clean minimal infographic, square 1:1, comparing two mobile app mechanics side by side in two vertical columns divided by a thin hairline. Left column: a single clock face with one highlighted moment and a dual-camera phone icon. Right column: a row of 24 tiny film-frame squares merging into one single film strip. Off-white background (#FAFAF8), grey line icons, one accent color muted deep blue (#2B4C7E), thin 2px strokes, lots of white space, flat vector, no text, no letters, no numbers.

BeReal」や「setlog」とは一言で言うと、どちらも「その場の自分を、加工せずに、親しい人だけに見せるSNS」です。

BeRealとは

1日1回、ランダムな時間に通知が届きます。

2分以内に、前と後ろのカメラで同時に撮影して投稿する仕組みです。

加工機能はなく、撮り直しにも制限があります。

setlogとは

韓国発のVlogアプリです。

Vlogとは、動画で残す日記のこと。

1時間に1回、2秒だけ動画を撮ります。1日の終わりにそれが自動でつながり、1本の動画になります。

 

編集できるのはキャプション(短い文字)程度。撮り忘れた時間をあとから足すこともできません。

BeRealとsetlogの共通点

共通しているのは、次の3点です。

  1. 加工・編集ができない
  2. 見せる相手が狭い(setlogは1グループ最大20人)
  3. 「いいね数」や「フォロワー数」で競わない

数字で見る勢い

setlogは2025年12月にiOS版が登場し、2026年4月にAndroid版が出ました。

そして2026年5月には、日本で月間133万ダウンロードを記録しています。

2026年1〜5月のダウンロード数シェアでは、開発元の韓国(38%)に次いで日本が2位(23%)。

日本は世界で2番目の市場です。

 

さらに同じ期間の日本では、1日の平均使用時間(約11分)と平均セッション数(16回)の両方でBeRealを上回りました。(出典:Sensor Tower)

 

BeRealのほうも、すでに定着しています。

Z世代(18〜24歳)を対象とした調査では、認知度96%、現在も利用している人は65%でした。(Z-SOZOKEN調査、n=255)

 

Clean minimal data visualization, 16:9, a steeply rising line chart with five plotted points ascending sharply at the right end, plus two small comparison bars beside it. Off-white background (#FAFAF8), light grey gridlines, the main line in muted deep blue (#2B4C7E), thin strokes, flat vector, editorial report style, generous margins, no text, no letters, no numbers.

なぜ流行るのか?若者心理を動かす3つの鍵

結論から言うと、この2つが支持されるのは「うまく見せなくていい」からです。

心理面から3つに分けて見ていきます。

鍵1:「盛る」コストからの解放

社会学者のアーヴィング・ゴフマンは、人は日常を舞台のように演じ、自分の見え方を管理していると論じました。

これを「印象管理」と呼びます。

 

SNSはこの管理を、24時間ずっと続くものに変えました。

どの写真を選ぶか。どう加工するか。いつ投稿するか。

 

楽しみである一方で、ずっと気を使う作業でもあります。

たとえるなら、写真を撮るたびに証明写真を撮り直しているようなもの。疲れて当然です。

 

実際、Z世代がBeRealを支持する理由の1位は「キラキラした投稿を作る『SNS疲れ』からの解放」で42%でした。

BeRealもsetlogも、加工機能をあえて持たせていません。

この不自由さが「がんばらなくていい」という許可証になっています。

鍵2:比較しなくて済むという安心

支持理由の2位は「他人と自分を比較しなくて済む、精神的な楽しさ」で25%でした。

「いいね」やフォロワー数が見えるSNSでは、投稿が数字で採点されます。

数字は同時に、自分と他人を並べて比べる装置にもなります。

 

だから若い世代は、その装置が持ち込まれることを強く嫌います。

BeRealに「いいね数やフォロワー数が表示されたら」という問いに対しては、合計54%が「使わなくなる」「とても残念に思う」と回答しました。

加工・編集機能が追加された場合も、57%が「使わない・使わなくなるかも」と答えています。

 

つまり、彼らが守りたいのは「リアル」そのものではありません。

評価と比較が入ってこない場所です。

調査を行ったZ-SOZOKENは、これを「聖域(サンクチュアリ)」と表現しています。

鍵3:「生存確認」というゆるいつながり

BeRealがどんな存在かを聞くと、1位は「生存確認ツール」(35%)でした。次いで「ドキュメンタリー」(26%)、「交換日記」(25%)です。

 

会話の内容はなくても、相手が今日も普通に生きていることは分かる。

この感覚は研究の世界で「アンビエント・アウェアネス(周辺的な気づき)」と呼ばれます。

たとえばシェアハウスで、同じ部屋にいなくても物音で相手の存在を感じている状態に近いです。

 

そして、この薄いつながりは実際に効いています。

調査では50%が「会話のきっかけが増えた」「友達の意外な一面が知れて親近感が湧いた」といった変化を実感していました。

 

Minimal modern infographic, 16:9, three equal panels in a horizontal row. Panel 1: a theatrical mask being set down gently. Panel 2: two bar-chart columns with an X mark over the comparison arrow between them. Panel 3: three simple person silhouettes connected by soft dotted lines. Off-white background (#FAFAF8), grey thin line illustration, single accent color muted deep blue (#2B4C7E), generous white space, flat vector, geometric, no text, no letters.

現代社会の何が変わったのか:「ハレ」と「ケ」の分業

もう少し引いて見ると、これはSNSの使い分けが進んだ結果だと言えます。

日本語には「ハレ(非日常・晴れの日)」と「ケ(日常)」という言葉があります。

今の若い世代は、この2つを別のアプリに分けています。

 

BeRealの登場によって「Instagramは『特別な時間』を載せる場所だと、より強く意識するようになった」と答えた人は31%でした。

InstagramやTikTokは「ハレ」の舞台。BeRealやsetlogは「ケ」の記録。

同じ人が、場面に応じて服を着替えるように使い分けているのです。

「広く発信」から「狭く共有」へ

もう1つの変化は、届ける輪の大きさです。

2010年代のSNSは、多くの人に届くことが価値でした。フォロワーが増え、投稿が拡散し、それが影響力になる。いわゆる承認経済です。

 

一方でsetlogのログ(グループ)は最大20人。BeRealも親しい友人が中心です。

届く人数を意図的に絞る設計が、いま支持されています。

 

背景にあるのは、誰が見ているか分からない状態のしんどさです。

学校の友人、親、バイト先、将来の職場。全部が同じ場所に混ざると、誰に向けて話せばいいのか分からなくなります。

小さな輪に戻ることは、その混雑からの避難でもあります。

記録として残る価値、そして「タイパ」

見落とせないのが、思い出としての価値です。

BeRealを「楽しい」と感じる瞬間の1位は「過去の投稿(メモリー)を見返して、思い出に浸った時」で29%でした。

 

飾らない日常だからこそ、あとで見返したときに「あの頃」が正確に残っています。

加工した写真では残らない質感です。

 

setlogが動画で伸びたのも、似た理由でしょう。

2秒の断片が積み重なって1日が1本になる。編集技術も時間もいらないのに、その日の空気が残ります。

時間対効果(タイパ)を大事にする感覚とも相性がいい仕組みです。

 

火付け役はK-POPアイドルの利用でした。

そこから広がり、Instagramのハッシュタグ「#setlog」の投稿は3.5万件を超えています(2026年7月時点)。

よくある誤解と、知っておきたい注意点

Q. 「リアルなSNS」だから、みんな素を出しているの?

A.いいえ、そうとは言えません。ここが最も面白いデータです。

 

BeRealの通知から2分以内に投稿する人は、27%だけでした。残りの内訳はこうです。

  • 投稿しないことが多い:29%
  • 通知を無視し、後から「面白いこと」があった時に投稿する:25%
  • 少しマシな状況になるのを待って投稿する:18%

合計73%が、コンセプトであるリアルタイム性に従っていません。

 

投稿をためらう瞬間も明確です。

「部屋が散らかっているなど生活感が出すぎている時」が31%、「顔が盛れていない時」が27%でした。

 

つまり「盛らないSNS」でも、若者はちゃんと盛っています。ただし盛り方が変わりました。

加工で顔をいじるのではなく、投稿する瞬間を選ぶという盛り方です。

Q. 保護者として、何に注意すればいい?

A.押さえておきたいのは3点です。

  1. 招待が番号やコードで行われるため、面識のない相手とつながる可能性がある
  2. 写り込みに注意。前後カメラや2秒動画には、家の中や制服など個人が特定できる情報が入りやすい
  3. 通知に反応しなければという感覚が、生活リズムや睡眠を圧迫することがある

 

禁止するよりも「誰と使っているの?」と聞くほうが、実際には効果があります。

使っている相手が親しい友人だけなら、リスクはかなり下がるからです。

 

Minimal modern flat illustration, 16:9. Three young people sitting casually on a floor in soft daylight, each holding a phone low and relaxed, no posing, no glamour. Simple geometric shapes, faces suggested with minimal features. Off-white background (#FAFAF8), warm grey tones, single accent color muted deep blue (#2B4C7E) on clothing details. Lots of negative space, calm quiet mood, thin clean lines, no text, no logos.

さらに深く知りたい人へ

若者とSNSの関係をきちんと理解したい人には、danah boydの『つながりっぱなしの日常を生きる』が参考になります。

依存や炎上といった語り方そのものを、丁寧に検証している一冊です。

 

自分のSNS疲れをなんとかしたい人には、カル・ニューポートの『デジタル・ミニマリスト』が向いています。

やめる技術の本ではなく、何を残すかを決めるための本です。

まとめ

  1. BeRealとsetlogは「加工できない・見せる相手が狭い・数字で競わない」SNS
  2. 支持理由の1位はSNS疲れからの解放(42%)、2位は比較しなくて済む安心(25%)
  3. 若者が守りたいのは「リアル」そのものより、評価と比較が入らない聖域
  4. Instagramは「ハレ」、BeRealやsetlogは「ケ」。使い分けが定着した
  5. ただし73%は即時投稿しておらず、盛り方が「瞬間の選択」に変わっただけ

 

自分が使っているSNSを「ハレ用」と「ケ用」に分けて見直してみてください。

どのアプリで疲れているのかが、はっきり見えてくるはずです。

 

【出典】

 

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A young person in their late teens sleeping peacefully in a cozy bed on a sunny weekend morning, soft natural morning light through linen curtains, warm earthy color palette (terracotta, sage green, cream, oatmeal), gentle and calming mood, natural textures, lifestyle editorial photography style, shallow depth of field, no text. Aspect ratio 1200x630.
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tetsuya
北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師資格を取得。月に5冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。