身近な精神疾患「適応障害」とは?症状や原因、うつ病との違いを解説

適応障害とは、はっきりとしていて、ありふれた生活上での事件(死別、退職、職場環境の変化、離婚、失恋、解雇など)が心理的ストレスとなり、何らかの心身の症状が出て生活に支障が出る病気です。

適応障害の有病率は5~20%と言われており、とても身近な精神疾患です。

 

2003年に皇后雅子さまが適応障害と診断されたことでこの病名が有名になりました。

最近では、女優の深田恭子さんも適応障害と診断され、休養を発表されましたね。

 

この記事では、適応障害とはどんな病気なのか?その症状や原因、うつ病との違いを簡単に解説していきます。

身近な精神疾患「適応障害」とは?

適応障害(英語;adjustment disorder)」とは、自分を取り巻く環境の変化などがストレス要因となり、そのストレスが原因となって感情面や行動面で何かしらの症状が出て生活に支障をきたす病気です。

生きていれば、人は何かしらのストレスに晒されます。

 

多くの人はストレスによって一時的に落ち込むことがあっても、立ち直ることができます。

しかし、環境の変化やある出来事がその人にとって非常に重大なもので、その結果普段の生活がおくれないほどの抑うつ気分や不安を抱くことあります。

その抑うつ程度や不安感が明らかに正常の範囲を逸脱している状態が適応障害に陥っている状態とされます。

適応障害の症状

適応障害の症状は、一般的にストレスとなる出来事が生じてまもなく始まります。

適応障害によって引き起こされる症状はさまざまです。

 

具体的には以下のようなものがあります。

  • 心理面:不眠、不安、気分の落ち込み、イライラetc
  • 身体面:胸のドキドキ、吐き気、便秘、めまい、ふるえetc
  • 行動面:お酒が増える、タバコが多くなる、口論が増えるetc
  • 作業能力:仕事や作業に集中できない、考えにまとまりがなくなる、ぼーっとしてしまう、もの忘れが酷くなるetc

症状の具体例を挙げましたが「適応障害なら必ずこの症状がおこる」という特別な決まりはありません。

特定のストレスが引き金になり、患者さん本人が強い苦痛を感じたり生活に支障をおよぼしたりする何らかの心身の変調は、すべて適応障害の症状と言えます。

原因となるストレス

適応障害を引き起こすストレス要因は単一の出来事(失業など)、複数の出来事(金銭的、失恋など)、持続的問題(強い障害のある家族の世話・介護など)の場合があります。

 

ストレスの感じ方は人によって違います。

たとえば、ある人が失恋したとしても

あ~振られちゃったな。悲しいけど、もっといい人見つけてやる!

とすぐに切り替えられる人もいれば、

うぁ~振られた...もう終わりだ...

と絶望に打ちひしがれる人もいます。

 

人によってストレス要因に対する感じ方やとらえ方が異なるのです。

「失恋」というストレスには耐性がある人でも、もしかしたら「失業」というストレスには過剰に反応してしまうかもしれません。

つまり、適応障害の発症には、個人のストレスに対する感じ方や耐性が大きな影響を及ぼすのです。

適応障害とうつ病との違い

適応障害とうつ病との違い

「適応障害」と「うつ病」は類似している症状が多いため、混合してしまう人も多いと思います。

しかし、適応障害とうつ病は異なる病気であり、治療法も違います。

ここでは、2つの疾患の違いを表でご説明します。

適応障害 うつ病
原因 失業、異動、離婚といった明確な発病の原因がある さまざまな要因が絡み合って発病するため、発病のきっかけが明らかでない場合が多い
ストレス要因から離れると... 発病の原因となったストレスから離れると良くなる ストレスに感じることから離れてもすぐには良くならない
趣味を楽しめる? 抑うつ状態でも、楽しめていたことは普通に楽しめる 以前楽しめていたことでも、楽しくなくなる
患者の性格 特に目立つ病前性格はない 生真面目、責任感が強い、義理堅いといった発病する人に比較的共通する性格がある
薬は効く? 薬はあまり効かない

※基本的に薬は使わないが、他の精神疾患への進展の可能性がある場合や強い症状に苦しんでいる場合は薬を使用することもある

薬がよく効く

 

【うつ病に関する他の記事】

知ってるようで知らない「うつ病」と「憂うつ」の違いとは?

 

適応障害の診断基準

心の病気は身体の病気とは異なり、見た目で疾患を判断することが難しいため、客観的な診断の基準(DSM、ICD)があり、それに基づいて判断されます。

判断基準は以下の4項目です。

  1. ハッキリとしたストレス因があって、3か月以内に症状が出現
  2. 著しい苦痛や生活に支障がある
  3. ほかの精神疾患でも、死別反応でもない
  4. ストレス因がなくなると改善し、6カ月以内によくなる

適応障害には明確な原因があるはずなので、「原因がよく分からない」という場合は適応障害とは診断できません。

 

また、適応障害と診断されるには、ほかの疾患や障害でないことが前提になっています。

つまり、統合失調症やうつ病といった気分障害や、パニック障害などの不安障害などの診断基準にあてはまる場合、気分障害や不安障害の方が診断結果としては優先されることになります。

 

【精神疾患の国際的な診断基準に関する記事はこちら】

 

まとめ

  • 適応障害とは、死別、退職、職場環境の変化、失恋などの明確なストレス要因が引き金となり、何らかの心身の症状が出て生活に支障が出る精神疾患である
  • 適応障害はとても身近な精神疾患で、有病率は5~20%と言われている
  • 「適応障害になると必ずこの症状が出る」という決まりはありませんが、例えば次のような症状がでる
  1. 心理面:不眠、不安、気分の落ち込み、イライラetc
  2. 身体面:胸のドキドキ、吐き気、便秘、めまい、ふるえetc
  3. 行動面:お酒が増える、タバコが多くなる、口論が増えるetc
  4. 作業能力:仕事や作業に集中できない、考えにまとまりがなくなる、ぼーっとしてしまう、もの忘れが酷くなるetc
  • ストレスの感じ方は人それぞれなので、適応障害の発症には個人のストレスに対する感じ方や耐性が大きな影響を及ぼす
  • 適応障害とうつ病の違いには、適応障害には病気を引き起こすきっかけとなった明確な原因があるが、うつ病になる原因はよく分からない、適応障害でも以前楽しめていたことは普通に楽しめるが、うつ病の場合は楽しめなくなる、などがある

 

【参考文献】

飯田橋メンタルクリニック「うつ病と適応障害との違いについて」

一般社団法人 全国地域生活支援機構「適応障害とは?うつ病との違い」

MSDマニュアル「適応障害」

元住吉こころみクリニック「適応障害の症状・診断・治療」

 

【あわせて読みたい】

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北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師を取得。月に10冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。