連続殺人の定義!シリアルキラーはどんなタイプに分けられるのか?

犯罪の中でも、最も凶悪で捜査が困難なものとして連続殺人があります。

連続殺人とは、1人(たまに2人)のシリアルキラーが連続して多くの被害者を殺害するという犯罪です。

一度に殺害されるのは1~2人程度で、それからしばらく間をおいて、次の殺害が行われる、というのを繰り返すのが特徴です。

殺人と殺人の間の期間を冷却期間と言います。

 

一般の殺人事件の多くは、被害者と加害者の間に金銭・恋愛など何らかのトラブルがあって犯行に及ぶので、犯人を探し出すのはそこまで難しくありません。

 

ところが、連続殺人の場合はそうはいきません。なぜなら、被害者は加害者と全く面識がない、たまたま出会った人が多いからです。

そのため、連続殺人の捜査は難航しがちなのです。

 

連続殺人は犯行パターンによって分類され、シリアルキラーもその動機から4つのタイプに分けられます。

この記事では、それらをご紹介したいと思います。

 

 

連続殺人の分類

1970年代にアメリカ連邦捜査局:FBI(Federal Bureau of Investigation)はシリアルキラーを検挙するために、その特性について研究を行いました。

FBIのベテラン捜査官がすでに検挙されているシリアルキラーとその犯行の状況を分析しました。

その結果、連続殺人は大きく以下の2種類の犯行パターンに分けられることが明らかになりました。

秩序型

秩序型の連続殺人事件では、

  1. 遺体や証拠は現場から持ち去られる
  2. 凶器や犯行道具は事前に用意されている
  3. 現場は綺麗に片付けられている
  4. 殺害は事前に計画され、コントロールされている

という特徴がみられます。

秩序型のシリアルキラーは頭が良く、職に就いており、配偶者がいることが多いです

 

秩序型の連続殺人事件で有名なのが、ロバート・ハンセンのケースです。

ロバート・ハンセン(Robert Hansen)は、少なくとも17人の売春婦を殺害したシリアルキラーです。

彼は高校卒業後、陸軍に入隊し、除隊後はアラスカ州アンカレッジに移り住みました。

彼はそこで、身も凍るような連続殺人事件を起こします。

まず、彼は売春婦やストリッパーをターゲットにして、彼女らを部屋に連れ込んで、手錠をかけて乱暴をします。

そして、彼女らを自家用飛行機に乗せて山奥まで運んだあと、彼女らを森の中に放ち、自分のライフルや銃、ナイフを使って彼女らを「人間狩り」したのです。

幸い、1人の女性が逃げることに成功し、事件が明るみになりました。

彼には461年の刑が言い渡されました。

 

無秩序型

無秩序型の連続殺人事件では、

  1. 遺体や証拠を現場に残す
  2. 現場は汚く、荒れている
  3. 凶器は現場で調達したものを使用する
  4. 無計画で行き当たりばったり

という特徴があります。

無秩序型のシリアルキラーは、頭が比較的悪く、無職で、1人暮らしなどの特徴がみられます。

 

無秩序型の連続殺人事件で有名なのが、ハーバート・マリンのケースです。

ハーバート・マリン(Herbert Mullin)は1972~73年にかけて、13人を殺害したシリアルキラーです。

彼は妄想性の精神疾患を患っており、「自分はアルバート・アインシュタイン博士から選ばれた特別な人間で、世界を救済するために、人間を殺し続けることが使命なのだ」と妄想していました。

彼はこの妄想に従い、まずヒッチハイクしていた55歳のホームレスをバットで殺害します。続いて同じくヒッチハイクしていた24歳の女性を車の中でめった刺しにして、殺害し遺体を車から投げ捨てました。

その後、神父や麻薬密売人、子どもなどを次々に殺害していきましたが、最終的に目撃証言がきっかけとなって、検挙され、終身刑が言い渡されました。

 

シリアルキラーの4つのタイプ

FBIが行った連続殺人事件の分類は、犯行現場の状態をもとにして分けただけであって、シリアルキラーの動機については明らかにしていませんでした。

そこで、ホームズ(Holmes ,R.M)は動機的な側面を含めて、連続殺人事件を分析し、シリアルキラーを以下の4つのタイプに分類しました。

幻覚型(visionary)

幻覚型のシリアルキラーは、妄想性の精神疾患を患っており、その妄想によって次々と殺害していきます。

例えば「誰かが自分を殺そうとしてる!」などの妄想が生じ、自己防衛のために他人を殺害することがあります。

このタイプのシリアルキラーは重度の精神疾患であるため、綿密な計画を立てることはあまりなく、犯行も隠蔽せずに遺体も放置したりするので、FBIの分類でいえば、無秩序型に当たります。

 

幻覚型のシリアルキラーでは、リチャード・チェイス(Richard Chase)が有名です。

彼は「血を飲まなければ生きていけない」という妄想があり、それを実行するために連続殺人を犯しました。

 

ただ、注意していただきたいのが、精神疾患を持つからといって連続殺人を犯しやすくなる、という訳では決してありません。むしろ、多くの精神疾患は犯罪を起こしにくくします。

 

使命型(mission)

使命型のシリアルキラーは、偏った信念によって連続殺人を犯します。

偏った信念とは、例えば

  • 「世の中を悪くしているのは若者だ!」
  • 「妊娠中絶をする人は絶対にダメだ!」

などです。

このタイプのシリアルキラーは、自分の正義感と価値判断に疑いを全く持っていないので、罪悪感を持つことはありません。

 

使命型のシリアルキラーで有名なのが、フロリダ州の元警察官、マニュエル・パラド(Manuel Pardo)です。

 

マニュエル・パラドは子どもの頃から正義感が強く、警察官になることを強く望みました。念願の警察官になると、警察学校の成績はトップクラスでした。

その後、結婚し、娘も授かりました。妻が彼のことを「良い父で良い夫」と言っていたそうです。

ある時から彼は仕事をしていく中で「町で売買されている違法ドラッグが少年たちを悪に追いやり、社会を悪くしている」と考えるようになりました。

正義感の強い彼は「自分の力でこの問題をどうにかしよう!」と考えるようになります。そして1986年、彼は町で発見したドラッグ中毒者を次々と殺害し始めました。

彼は逮捕されるまでに9人を殺害しました。

彼が殺害したのは単なる中毒者で売人ではありませんでしたが、彼は法廷で「自分はこの不正な社会を守るために兵士として戦っていた。家族もいつかは自分を誇りに思うだろう」と証言しました。

結局、彼は死刑を宣告されました。

 

快楽型(hedonistic)

快楽型のシリアルキラーは、性欲が傷害、暴行、殺人と結びつき、自分の欲求を満たすために犯行を繰り返していきます。

幻覚型・使命型の場合は殺害が目的なので、致死性が高い銃などの強力な武器を犯行で使用しますが、快楽型の場合は殺人行為そのものを楽しむため、拷問などを含む極めて残忍なものです。

 

快楽型のシリアルキラーではジョン・ゲイシーが有名です。

彼と次のパワー・コントロール型で有名なテッド・バンディの連続殺人事件についてはこちらの記事で紹介してます

パワー・コントロール型(power-control)

パワー・コントロール型のシリアルキラーの主な動機は支配と優越です。

このタイプのシリアルキラーは被害者の命を含むすべてを自分の思い通りにしたい、という欲求を持っており、これを実現するために行動します。

パワー・コントロール型も快楽型と同様、最終的には殺害に至りますが、そこまでのプロセスを楽しむという残忍なタイプです。

 

このタイプのシリアルキラーでは、テッド・バンディが有名です。

 

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参考文献

「犯罪心理学」越智啓太 サイエンス社

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tetsuya
北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師を取得。月に10冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。