SCT(文章完成法)はどんな心理検査?特徴や解釈方法を簡単に説明

SCT(文章完成法)とは、不完全な文章を完成させるという課題による心理検査です。

検査の目的は、被験者のパーソナリティの理解です。

 

パーソナリティを測定する検査には様々な種類がありますが、内田クレペリン精神検査を除くと「質問紙法」と「投影法」に分類されます。

質問紙法と投影法は測定しようとするパーソナリティの側面が微妙にずれていて、質問紙法は被験者も意識できる比較的表面的な部分をターゲットとしています。

一方、投影法は日頃は理性によって抑えられている無意識に近い内面をターゲットとしています。

 

SCTは投影法に分類される検査ですが、質問紙法・投影法の両方の性質を併せ持っています。

というのも、SCTは投影法の代表的なものであるロールシャッハほど、回答の自由度は低いですが、SCTで用いられる刺激文は多岐にわたっているため、被験者の様々なことが分かります。

つまり、投影法よりは浅く、質問紙法よりも幅広い情報を収集することができる心理検査と言えます。

 

この記事では、そんなSCT(文章完成法)の特徴や解釈方法を簡単に説明していきます。

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文章完成法(SCT:Sentence completion Test)は「子供の頃、私は__」「私の母__」などの文章の書き出しに続く文章を被験者が自由に記載するという検査です。

 

文章完成法の種類

SCTは未完成な分を作成すれば良い非常に簡単な形式なので、さまざまな種類が作成されています。

その中でも日本で主流なSCTとしては、「精研式文章完成法」と「法務省式文章完成法」が挙げられます。

 

「法務省式文章完成法(MJ式文章完成法)」は、法務省管轄の矯正機関などで用いられているもので、一般の心理臨床家が利用できるようにはなっていません。

そのため、心理臨床の現場では、佐野・槇田(1972)による精研式文章完成法が用いられることがほとんどです。

 

なので、この記事では、精研式文章完成法について解説していきます。

 

診療報酬について

SCTは保険で請求できる検査です。

心理検査には「操作が容易なもの」「操作が複雑なもの」「 操作と処理が極めて複雑なもの」の3段階に分けられていて、それぞれ料金が異なります。

 

SCTは検査そのものは複雑ではありませんが、解釈はやや複雑で、経験を積んでいないと正しい判断がつけられない検査です。

そのため、「操作が複雑なもの」にカテゴリーされます。

点数は280点(2,800円)で、3割負担だと840円になります。

 

実施方法について

SCTの実施は比較的簡単で、集団でも個別でも施行することができます。

検査は小学生用から成人用まで用意されていて、若干の制限はありますが、最低限の教示を理解する能力と筆記能力があれば、ほぼすべての人に対して実施できます。

 

検査はPartⅠとPartⅡの二部構成になっていて、成人用はPartⅠ・PartⅡそれぞれ刺激文が30で合計60の文章、小学生用と中学生用は合計50の文章から構成されています。

用意するものは検査用紙と筆記用具のみ。

検査の所要時間は被験者の年齢や知能、性格などによって異なりますが、大体40~1時間ほどです。

 

教示については以下の3点を伝えます。

  1. 不完全な文章を完成させること。
  2. 時間の制限はないが、あまり深く考えずに、思いついたことを素早く書くこと。
  3. もし書けなかったら残して、あとで書いても良いこと。

 

SCTの解釈方法とは

SCTの解釈方法とは

SCTでは、被験者が完成させた文章を見て解釈していく訳ですが、大きく分けて「形式」「内容」という2つの注目するポイントがあります。

では、それぞれ簡単に解説していきます。

 

形式分析

形式分析は、文章の内容ではなく、「どのように書いているか」に着目します。

具体的には、以下のような点を見ます。

文章の長さ

文章が短文か、長文かを見ます。

短文を書く人は、あまり自分のことを話したがらない防衛機能が高い、もしくは早とちりで粗雑な傾向の人が多いです。

 

反応時間

一つの文章を書きあげる時間をみます。

熟考するタイプであれば、長くなる傾向があります。

 

文法的な誤り

文法的な間違い、文として読みやすいものを書いているかなどをみます。

知的な問題もありますが、注意深いタイプの人は正しい文章を書く傾向があります。

 

筆跡

字の大きさや筆圧などをみます。

 

字が大きい人はおおらかですが、線や用紙からはみ出す人は自己中心的な人が多いです。

 

内容分析

内容分析
Image by Gerd Altmann from Pixabay

SCTでは、文章の内容から被験者の「パーソナリティの側面」とパーソナリティがどのように形作られてきたのかという「パーソナリティの決定要因の側面」が分かります。

 

下位項目として、パーソナリティの側面には「知的側面」「情意的側面」「指向的側面」「力動的側面」の4つ。

パーソナリティの決定要因の側面には、「身体的要因」「家庭的要因」「社会的要因」の3つがあります。

それぞれの要因がどんなものなのか、簡単に解説していきます。

 

パーソナリティ‐「知的側面」

知的側面は一般的に言われる“知能”とは異なり、環境適応に必要な能力がどの程度あるかという側面をみます。

具体的には、「精神的分化」「時間や場面の見通し」「評価の客観性」などが評価されます。

 

精神的分化とは、簡単にいうと精神的な発達レベルをみており、論理的な考え方や現実に即した考え方ができているか、などが評価されます。

次に「時間や場面の見通し」では、この先どんなことが起こるのか、この場面はどう展開していくのか、などについてどの程度先を見通す能力が備わっているかが評価されます。

 

「評価の客観性」はある事柄をどの程度客観的にとらえることができているか、が評価されます。

人間はいつも主観的に物事を判断する傾向がありますが、主観と客観がかけ離れていると適応的に社会生活を送ることは難しくなります。

パーソナリティ‐

パーソナリティ‐「情意的側面」

情意的側面は被験者の性格が「分裂気質(S)」「循環気質(Z)」「粘着気質(E)」「ヒステリー気質(H)」「神経質(N)」のどれに分類されるかをみます。

  • 分裂気質:孤独を愛しているかのように物静かで引きこもりがち、非社交的な人物像。
  • 循環気質:社交的で親しみやすく、気軽に付き合える。些細なことで落ち込んだりもする。
  • 粘着気質:粘り強く頑固。思考に柔軟性がなく、融通が利かない側面がある。
  • ヒステリー気質:負けず嫌いで見栄っ張り、知ったかぶり。子供っぽい特徴を備えている。
  • 神経質:心配性で物事を悪い方へ考えがち。自分に自信がなく、自分を責めがち。

 

パーソナリティ‐「指向的側面」

指向的側面は被験者の生活態度や価値観、人生観、好き嫌いなどをみます。

 

パーソナリティ‐「力動的側面」

力動的側面は不安や緊張、攻撃性、劣等感など適応上問題となりそうな心理的傾向をみます。

 

決定要因‐「身体的側面」

身体的側面は容姿、体力、健康の3つの観点から測定します。

 

「私の顔__」などの刺激文に続く反応から解釈していきます。

それらの反応から、被験者のパーソナリティ形成にどのような影響を与えているのかを読み取ります。

 

決定要因‐「家庭的側面」

家庭的側面は育ってきた家庭の雰囲気や家庭内での人間関係、経済状況などを解釈していきます。

 

決定要因‐「社会的側面」

社会的側面は被験者の人間関係のもち方やどんな人と付き合いがあるのか、社会的地位はどの程度か、それらにどの程度満足しているのか、などを解釈していきます。

 

まとめ

SCT(文章完成法)では、これまでの自分、今の自分、これからの自分、などをどのように意識し、パーソナリティを形成しているかを推察することができます。

60の不完全な文章を完成させることで、その人のパーソナリティの特徴やそのパーソナリティがどのように形作られているのかなど解釈することを目的としています。

 

【参考文献】

黒田 浩司 (2017)「SCT(Sentence Completion Test:文章完成法)の臨床的活用について」山梨英和大学紀要 16(0), 44-64, 2017

佐野勝男・槇田仁(1972) 精研式文章完成法(成人用). 金子書房

元住吉こころみクリニック「【専門家が解説】SCT(文章完成法)」

願興寺礼子・吉住隆弘(2011)「心理検査の実施の初歩」ナカニシヤ出版

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