自分を苦しくさせる考え方のクセと対処法

認知療法・認知行動療法において、気持ちが大きく動くような状況下で自然と頭に浮かんでくる考えを「自動思考」と言います。

人は自分が置かれている状況を絶えず主観的にほとんど意識することなく、判断し続けています。

ほとんどの場合は生活に大きな支障をきたすことはありませんが、強いストレスが掛かっっている状況などでは、考えがネガティブな方に偏ってしまうことがあります。

そういった認知の偏りは抑うつ、不安、怒りといった感情を生じさせ、非適応的な行動を取るようになり、さらに認知の偏りを強めてしまいます。

 

これを防ぐためには、ストレスが掛かる状況下で自分がどんな考え方をする傾向があるのかを認識することが大切です。

この記事では、陥りがちな考え方のクセを紹介し、それぞれの考え方への対処法も合わせて紹介します。

自分を苦しくさせる考え方のクセと対処法

人は一日に約5万回も何らかの決断をしていると言われており、自動思考は瞬間的に判断するのを助けています。

しかし、「失業」「上司からの叱責」などある人にとってネガティブな出来事が起こった時に、極端な思考が生じ、その自動思考が気分や行動にも悪影響を及ぼします。

 

ここでは自分を苦しくさせる主な認知のクセをご紹介します。

恣意的推論

恣意的推論とは、証拠が少ないにも関わらず、思いつきを信じ込む状態で「先走り」などの言葉で表現できる思考です。

例えば、地下鉄で正面に座る人と目が何度も合ったときに、「この人、自分のこと好きなのかな」と思い込んでしまうなど。

 

この思考パターンに対しては、「そう考える根拠はどこにある?」と考えるなど、具体的な証拠に目を向けるようにすると良いでしょう。

二分割思考

二分割思考とは、物事が曖昧な状態にあることが耐えられず、いつも白黒つけないと気がすまない状態で「白黒思考」「○✕思考」「オール・オア・ナッシング」と呼ばれる思考です。

例えば、「テストは100点じゃないと意味がない」「少しのミスも許されない」など。

 

こうした思考パターンに対しては、出来ていること、出来ていないことの両方をリストアップして、それぞれに点数をつけると良いでしょう。

選択的抽出

選択的抽出とは、自分が関心のある事柄にばかり目を向けて、抽象的に結論づける思考です。

例えば、嫌いな人がいるとその人の嫌な部分ばかりが目につくようになるなど。

 

こうした思考パターンに対しては、他に見逃している事実がないかどうかを確かめるようにすると良いでしょう。

拡大視・縮小視

 

拡大視・縮小視とは、自分の思い込みに合ったことは大きく、合わないことは小さく捉える思考です。

例えば、「自分は仕事ができない」と思っている人が仕事で失敗した時のことばかりを思い出し、上手くいった時のことを忘れてしまうなど。

 

こうした思考パターンに対しては、成功したこと、上手くいったことを意識的に思い出してもらうようにすると良いでしょう。

 

極端な一般化

極端な一般化とは、ごく僅かな事実を取り上げて、何事も同じように決めつけてしまう思考です。

例えば、一度仕事をミスしただけで「自分は全く仕事ができない人間だ」と結論づけてしまうなど。

 

こうした思考パターンに対しては、判断の基準を書き出してもらったりすると良いでしょう。

自己関連づけ

自己関連づけとは、良くないことが起こると何でも自分の責任だと考える思考です。

例えば、仕事が行き詰まった時に「自分の責任だ」と考えて、自分ばかり責めるなど。

 

こうした思考パターンに対しては、誰にどのような責任があるかを具体的に書き出すと良いでしょう。

情緒的な理由づけ

情緒的な理由づけとは、そのときの自分の感情状態から現実を判断するような思考です。

例えば、初めてする仕事で不安になっている時に「こんなに不安になっているんだから、難しい仕事に違いない」と思い込むなど。

 

こうした思考パターンに対しては、現実に目を向けて、客観的に評価し直すように勧めると良いでしょう。

自分で実現してしまう予言

自分で実現してしまう予言とは、自分が否定的な予測を行うことによって、行動が制限され、その結果としてその予測が実現してしまう状態です。

例えば、「同窓会では誰も声を掛けてくれないだろう」と暗い表情でいると、ますます周りから声を掛けられづらくなるなど。

 

こうした思考パターンに対しては、うまくいかなくなる要因について現実的視点から検討し直したり、予言することの悪影響を書き出してみると良いでしょう。

2.バランスの良い思考に切り替えるコツ

自分を苦しくさせる主な認知のクセを紹介してきましたが、ここからはバランスの良い思考に切り替えるコツについて解説していきます。

事実に基づいて考える

そう考える理由と、反対の根拠(反証)を考えます。

例えば、「同窓会で友人と目が合ったのに、素通りしていった」という出来事があり、「自分は嫌われた」と思ったとします。

このときの客観的な事実を考えます。

  • 本当に目が合って自分に気づいていたのか
  • 友人に似た違う人ではなかったのか

※「きっと〜だろう」は想像にすぎません。

 

そして、別の考え方が出来ないか考えます。

  • 急いでいて声を掛けられなかったのではないか
  • 自分の服装や髪型が変わっていて、気づかなかったのではないか

 

視点を変えてみる

バランスの良い思考に切り替える方法として、次のように自分に問いかけ、考え直してみることも有効です。

  • 他の人(家族、友人、同僚 etc)が同じ考えをしていたら、どんな助言をするだろう?
  • あの人ならどんな風に考えるだろう?
  • 自分がもっと元気な時なら違う見方をするのではないだろうか?

3.まとめ

  • 認知の偏りは抑うつ、怒り、不安などの感情を生じさせ、非適応的な行動へと繋がり、さらに認知の偏りを強めてしまう。
  • 認知の偏りには、「恣意的推論」「二分割思考」「選択的抽出」「拡大視・縮小視」「極端な一般化」「自己関連づけ」「情緒的な理由づけ」「自分で実現してしまう予言」などがある。
  • バランスの良い思考に切り替えるコツとしては「事実に基づいて考える」「視点を変えてみる」などが挙げられる。

 

【引用文献】

大野裕「認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアルガイド」(2010)星和書店


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