「うつ病」と誰もが経験のある「憂うつ」って、どちらも“落ち込む”状態があるため、見た目からはなかなか判断できないですよね。
しかし、うつ病は病気であり、単なる憂うつとは全然違います。
「うつ病と憂うつは似たようなもの」と考えている人の中には、
という偏見を持ってしまっている人も見受けられます。
そこでこの記事では、「うつ病」と「憂うつ」の違いを簡潔に説明していきます。
知ってるようで知らない「うつ病」と「憂うつ」の違いとは?
「うつ病」と日常生活の中で起こる「憂うつ」は一見似ていますが、全然違うものです。
その違いを理解していないと、本当はうつ病できちんとした治療が必要なのに、
と無理をしてしまい、症状がもっと重くなってしまう可能性があります。
そこでここできちんと「うつ病」と「憂うつ」の違いを学習しておきましょう。
うつ病 | 憂うつ | |
日常生活 | 普段こなせていたことも大変で、日常生活が辛くて仕方がない。 | 何とか日常生活が過ごせる。 |
うつ状態の持続期間 | 2週間以上毎日続き、後を引く。 | 1日ないし数日以内。 |
考え方 |
|
|
周囲のサポート | 周囲の援助を受け入れず、一人で抱え込む。 |
|
周囲との接触 | 人に会うと気疲れするので避ける。 | 人に会って相談できる。 |
良いことがあったとき | 良いことに思えない。 | 良いことがあれば気分が改善する。 |
気晴らし | 興味も持てず、楽しめない。 | 気晴らしで気分転換ができる。 |
食事 | 好きな食べ物でも美味しいと思えず、美味しいものを食べたいと思わない。 | 美味しいと思えて、美味しいものを食べたいと思う。 |
男性と女性、どちらがうつ病になりやすい?
女性の方が男性よりもうつ病になりやすいです。
男性は約10人に1人、女性は約5人に1人が人生のうちに一度はうつ病にかかるとされています。
しかし、女性よりも男性の方が自殺者が多いです。
女性がうつ病になりやすい原因としては、
- 女性ホルモンによる影響
- 男性よりもストレスを受けやすい環境
が挙げられます。
女性は生理や妊娠、閉経によって女性ホルモンのエストロゲンの量が減ると、結果的にセロトニンの量が減少し、抑うつ気分を引き起こしやすくなります。
また、社会では女性に対する差別が根強く残っているため、女性は男性よりもストレスを受けやすいです。
一方、男性に自殺者が多い理由としては、昔から「男は弱音を吐かない」「男は強くなければいけない」といった固定観念があるため、辛いのに無理をしてしまうことが挙げられます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
うつ病の診断基準とは?
国際的な精神疾患に診断基準には、アメリカ精神医学会が出版している「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)」と世界保健機関(WHO)が出版している「国際疾病分類(ICD)」があります。
ここでは臨床現場でよく用いられているDSMの第5版であるDSM‐5の診断基準をご紹介します。
以下の9つの項目のうち、①と②のどちらかに当てはまり、合計5つの症状が2週間以上続く場合、うつ病と診断されます。
- 自分の言葉か、まわりから観察されるほとんど毎日の抑うつ気分
- ほとんど毎日の喜びの著しい減退
- 著しい体重の減少、あるいは体重増加、ほとんど毎日の食欲の減退または増加
- ほとんど毎日の不眠または過眠
- ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止(他者によって観察可能)
- ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退
- ほとんど毎日の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感
- 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日
- 死についての反復思考、反復的な自殺念慮、または自殺企図
当てはまる方は精神科や心療内科を受診することをおすすめします。
精神疾患の国際的な診断基準について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
「うつ病」と誰もが経験のある「憂うつ」とでは、うつ状態の持続期間や考え方、周囲の援助を受け入れるかどうかなどが異なります。
うつ病の場合はうつ状態が2週間以上毎日つづきますが、憂うつの場合は1日あるいは数日以内には改善していきます。
また、うつ病の場合は何事も否定的に捉え、周囲の援助も受け入れようとしませんが、憂うつの場合は物事の良い点・悪い点の両方を捉えることができ、周囲の援助も受け入れることが出来ます。
最近は、知り合いの中にうつ病の人が一人はいるような時代ですから、自分の知り合いにこの記事で紹介したようなうつ病の症状がある方がいれば、それとなく話を聞いて医療機関を受診することをすすめてみてください。
【参考文献】
秋山 剛(2009)うつ病リワークプログラムのはじめ方 弘文堂
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