眠れないのは本当につらいですよね。
特に不眠症と睡眠時無呼吸症候群を併発する場合、症状はさらに悪化する可能性があります。
今回は、不眠症に対する認知行動療法(CBTi)が不眠症と睡眠時無呼吸症候群の併発に対してどのように効果を発揮するかについて解説します。
【この記事を読んで分かること】
- 不眠症と睡眠時無呼吸症候群の併発は、治療が複雑になる。
- CBTiは不眠症の改善に有効であり、睡眠時無呼吸症候群の患者にも適用される。
- CBTiを行うことで、PAP療法への受け入れや使用率が向上する。
- 治療法には個別セッション、グループ療法などがあり、効果は長期的にも持続する。
夜間の目覚めを減らす! 不眠症と無呼吸症候群に効くCBT-i
不眠症と睡眠時無呼吸症候群は、どちらも非常に一般的な睡眠障害です。
これらが併発すると、治療が難しくなることがあります。
しかし、近年では不眠症に対する認知行動療法(CBT-i:Cognitive Behavior Therapy for Insomnia)がこの併発症状に対して効果的であることが示されています。
特に、PAP療法(持続的気道陽圧療法)との併用により、治療の効果が高まることが期待されています。
不眠症と睡眠時無呼吸症候群の併発について
不眠症と睡眠時無呼吸症候群は、どちらも睡眠に深刻な影響を与えます。
睡眠時無呼吸症候群は気道の閉塞によって呼吸が妨げられることが特徴ですが、不眠症は寝つきや眠り続けることに問題があります。
これらが併発する原因はまだ完全には解明されていませんが、ストレスや肥満、遺伝的要因が関連していると考えられています。
併発した場合、睡眠の質はさらに悪化します。
睡眠時無呼吸症候群によって夜間に何度も目が覚めることが多く、これにより不眠症の症状も悪化します。
その結果、昼間の眠気や集中力の低下、さらには心血管疾患のリスクも高まると言われています。
不眠症に対する認知行動療法(CBT-i)とは
CBT-iは、不眠症の原因となる行動や思考パターンを改善するための心理療法で主に、以下のような技術が用いられます。
- 刺激制御療法: ベッドは「寝る場所」と認識させるために、他の活動を控える。
- 睡眠制限療法: 睡眠時間を意図的に減らし、睡眠圧を高める。
- リラクゼーション技法: 心身をリラックスさせ、寝つきを良くする。
不眠症に対する効果
CBT-iは複数の研究で、不眠症の症状を改善し、昼間の機能を向上させることが示されています。
まず、CBT-iのアプローチは、睡眠に対する不安や誤った認識を改善し、健康的な睡眠習慣を取り戻すことを目的としています。
具体的には、以下のような効果が挙げられます。
寝つきが良くなる
CBTiでは、睡眠に対するストレスや心配を減らすため、思考のパターンを修正します。
CBTiではこのような考え方を変えることで、寝る準備がよりスムーズに進むようになります。
夜中に目が覚める回数が減る
CBTiには「睡眠制限療法」という手法があり、これは睡眠の質を高めるために、一時的にベッドにいる時間を短くするものです。
これにより、睡眠の圧力が高まり、眠りにつくときに深く眠ることができ、夜中に目が覚めることが少なくなります。
昼間の疲労感が軽減される
不眠症によって十分な睡眠が取れないと、昼間の活動に支障が出ることが多いです。
CBTiは、夜の睡眠を改善することで、日中の集中力や活力も向上させます。
実際、CBTiを受けた患者の多くが、昼間の疲労感が軽減されたと報告しています。
長期的な効果
他の一時的な治療法とは異なり、CBTiは短期間で効果を実感できるだけでなく、その効果が治療終了後も長期間持続することが多いです。
これは、CBTiが単に不眠症の症状を緩和するだけでなく、根本的な原因となる行動や思考のパターンを修正するからです。
併発する患者に対するCBTiの効果
不眠症と睡眠時無呼吸症候群が併発する患者に対しても、CBT-iは有効です。
治療後の睡眠の質や昼間のパフォーマンスが改善されるだけでなく、PAP療法を受け入れる意欲が高まることがわかっています。
PAP療法との組み合わせ
PAP療法(持続的気道陽圧療法)は、気道を広げることで睡眠中の呼吸を助ける治療法です。
しかし、多くの患者が装置の不快感から使用を中断してしまいます。
CBTiを併用することで、不眠症の症状が軽減され、PAP療法の受け入れがスムーズになるため、治療全体の効果が高まります。
まとめ
不眠症と睡眠時無呼吸症候群を併発している方にとって、CBT-iは非常に有効な治療法です。
眠れないと様々な精神疾患や身体的な病気のリスクが上がりますし、何よりも辛いですよね。
睡眠の質を向上させ、日々の生活をより良くするために、適切な治療を受けることが大切です。
眠れなくて悩んでいる方、「自分はそこまで深刻じゃないから。」と思わずに、一度専門家への相談をお勧めします。
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【参考文献】
AlexanderSweetman, SeamasFarrell, DouglasM.Wallace, MeganCrawford(2023)The effect of cognitive behavioural therapy for insomnia in people with comorbid insomnia and sleep apnoea:A systematic review and meta-analysis Journal of Sleep Research