赤ちゃんってどうしてあんなに可愛いのか、考えたことありますか?
実はあの可愛さには進化的な理由があります!
この記事では、何で赤ちゃんってあんなに可愛いのか、と知られざる赤ちゃんのスーパーパワーについて分かりやすく解説していきます。
赤ちゃんはなぜ可愛いのか。知られざる赤ちゃんの能力と秘密とは
赤ちゃんは生後8か月頃まで、以下のような驚くべき能力を持っています。
- サルやヒツジなどの他の動物の顔を見分けられる
- あらゆる言語を聞き分けられる
他の動物の顔を見分けられる!?
パスカリス博士らは6か月児と9か月児を対象に、それぞれの乳児にサルの写真を1枚提示し、見慣れたところで、もう一枚のサルの写真を提示しました。
見慣れた写真と新しい写真を提示されたとき、サルの顔を見分けられているとしたら、新しい写真の方を長く見るはずです。
その結果、6か月児は新しい写真の方を長く見つめましたが、9か月児はどちらの写真も同じくらい見つめていました。
「おさなごころを科学する」森口佑介 新曜社より
この研究から、「6か月児はサルの顔を判別できますが、9か月児になるとサルの顔を見分けることができなくなる」ということが言えます。
また、サルの写真ではなく、人間の写真に変えて、同じ行程で実験したところ、6か月児も9か月児も顔を判別できていました。
あらゆる言語を聞き分けられる!?
日本人の大人にとって、英語のLとRを聞き分けるのは難しいですよね?
しかし、パトリシア・クール博士によると、赤ちゃんは英語のLとRを聞き分けられるだけではなく、あらゆる言語を聞き分けられるそうです。
その理由を簡単に言うと、人間が生物として生き残っていくために進化していきたからです。
詳しくは次の章で説明します。
スーパーパワーを持っている理由
どうして赤ちゃんはこんなスーパーパワーを持っているのか。
その理由を話す前に人間という生物の特徴についてお話します。
人間の赤ちゃんは進化史上新たに発生した特殊な種
生物は自分の遺伝子を残して、種を存続させていくことが目的です。
そのために、生物はさまざまな工夫をしてきました。
生物は赤ちゃんの頃が最も無防備で天敵に狙われやすいので、子孫がなるべく生き残れるように、大きく分けて次の2つのタイプに分けられます。
①出生児数は少ないが、良く発達した状態で生まれてくる‐離巣性
→牛とか馬とか。 生まれた直後から走りまわったりできる種。
②出生児数は多いものの、未熟な状態で生まれてくる‐留巣性
→カエルとか鮭、ねずみとか。
ここで人間の赤ちゃんについて考えてみます。
人間の赤ちゃんは一気に何十人も生まれて来ないから、離巣性?
いやっ待てよ。生まれた直後は未熟で走り回ったりできないから、留巣性?
悩みますよね。そうなんです。
人間の赤ちゃんはどちらにも当てはまらない、進化史上新たに発生した特殊な種のため、二次的留巣性と言われています。
人間の赤ちゃんは他の哺乳類に比べると、1年ほど早く、未熟な状態で生まれてきます。これを発達心理学では、「生理的早産」と言います。
どんな環境でも生き残れるように進化してきた
赤ちゃんは自分がどこに生まれてくるのか選べません。
もしかしたら、アメリカかもしれませんし、中国かもしれません。
暑い地域かもしれませんし、極寒の地域かもしれません。
人間という種が赤ちゃんを未熟な状態で産むようになったのは、「あえて未熟な状態で産んで、周りの環境を学習させるため」だったのです。
ハッテンロッカー博士は不幸にも命を落としてしまった乳児、子供、大人の脳のシナプス密度を数えました。
※シナプスとは、脳の神経細胞(ニューロン)同士の接続部分のことで、大人の脳では、神経細胞が10兆個くらいあります。まさに気が遠くなるような作業です。
その結果、赤ちゃんのシナプス密度は出生後、凄まじい勢いで増大し、生後8か月頃がピークで大人の1.5~2倍になることが判明しました。
その後は徐々に減っていき、10歳頃には大人と同じ水準になります。
「おさなごころを科学する」森口佑介 新曜社より
例えば、赤ちゃんが生まれたのが、日本だったとします。
日本では、英語やフランス語、イタリア語など日本語以外の言語を聞き分ける能力は必要ありませんから、そのスーパーパワーは次第に失われていきます。
また、周りは人間ばかりなので、サルやヒツジなど他の動物を見分ける能力も要らないため、次第に失われ、生まれた環境に脳が最適化されていきます。
大人になってから他の言語を学ぶのは大変ですが、幼少期であれば神経細胞が大人よりもたくさんあるので学習しやすいんです。
メイントピックは以上になりますが、せっかくなんで、赤ちゃんがかわいい理由についても話したいと思います。
赤ちゃんの可愛さの秘密。なんであんなに可愛いの?
動物行動学者のコンラート・ローレンツ博士は「赤ちゃんが可愛いのは、養育者の行動を引き出すため」だと考えました。
赤ちゃんは外敵に狙われやすく、自分1人では食べ物を取ることもできないので、養育者に助けてもらう必要があります。
養育者が育てるのを止めてしまった途端に死んでしまいます。
そうならないために、赤ちゃんは養育者に
と思ってもらえるように、あのおでこが突き出ていて、全体的に丸みを帯びた愛らしい形態になったのではないかと考えられています。
このような形態的特徴をローレンツ博士は「ベビーシェマ」と呼びました。
最後に
発達心理学を勉強すると、子育てにも役立ちますし、自分自身の理解も深まるので、すごく良いと思います。
実際、僕が通っている大学の心理学部には、「子育てに活かしたい」と考える方がたくさんいらっしゃいますし、僕自身は発達心理学を学んで、自己理解が深まりました。
ぜひ、発達心理学の本を手に取ってみてください。
そして、子育てガンバレ友人!
【あわせて読みたい】
【参考文献】
▼このブログを応援する▼
[…] 赤ちゃんのスーパーパワー […]