「恐怖」を感じないと人はどうなってしまうのか

この世には、SM-046と呼ばれている女性がいます。

彼女の本名も住んでいる地域も明かされていません。

 

彼女は三児の母としてごく普通の生活を送っているが、ただ1つ他の人と違うところは、彼女は恐怖を感じません

 

SM-046は非常に珍しい遺伝性脳疾患のウルバッハ・ビーテ病を患っています。

この病を患うと、”恐怖”という感情だけがなくなります。

 

この記事では、ウルバッハ・ビーテ病とはどういった疾患なのか、「恐怖」を感じないと人はどうなってしまうのかについて解説していきます。

 

 

 

 

 

 

ウルバッハ・ビーテ病とは

ウルバッハ・ビーテ病Urbach–Wiethe disease)は1908年に発見されて1929年に正式に報告されて以来、今までに400例ほどしか報告されていない非常に珍しい遺伝性疾患です。

この病に罹ると脳の一部が石灰化してしまい、その石灰化した部位は硬化して死滅してしまいます。

多くの場合、石灰化するのは”恐怖”を生み出す扁桃体です。

 

引用:「むーびんぐ」より

 

SM-046の例でいうと、「恐怖を感じない」こと以外は他の人と変わらない。

正常なIQを持ち、喜び、悲しみなどのあらゆる感情を感じられる。

ただ、この病に罹った人はしわがれ声、乾燥肌という特徴があります。

 

「恐怖」を感じないと人はどうなってしまうのか

SM-046は生まれてから恐怖を感じたことがないので、研究者から「怯えた顔を描いてみてください」とか「恐怖という感情を説明してみてください」と言われても、彼女には出来ません。

研究者たちは彼女をどんな場合でも恐怖を感じないのかを調べるために、あらゆる手を尽くしました。

 

まず、彼女をペットショップにつれていき、蛇を触らせました。

すると、彼女は恐がるどころか「まぁ、カッコイイ!」と歓声を上げ、より大きくて危険な蛇やタランチュラを触ろうとして止められる始末でした。

 

次に彼女は”世界最恐の幽霊病院”と呼ばれる「ウェイバリー・ヒルズ・サナトリウム」に連れていかれました。

「ウェイバリー・ヒルズ・サナトリウム」はアメリカのケンタッキー州にあり、テレビ番組『ゴースト・ハンターズ』をはじめ、超常現象を扱う番組では幾度となく取り上げられてきた心霊スポットです。

現在は廃墟となっていますが、20世紀初めまでは結核患者の施設で多くの人がここで亡くなったそうです。

毎年ハロウィンの季節になると、不気味な音楽をかけ、怪物に扮装した役者たちが来た人を驚かす幽霊屋敷として人気があります。

SM-046はそんな場所に連れていかれましたが、驚かされるどころか怪物に扮装した役者たちを逆に脅かす始末でした。

 

一見、痛みを感じない無痛症と同じ様に、「恐怖を感じない」のは良いと思うかもしれませんが、実は恐ろしいことなんです。

「恐怖を感じない」ということは、本能的に身を守ることができず、しばしば危険な目に遭います。

ウルバッハ・ビーテ病患者は見知らぬ人を信用して、近づいていく傾向が強いです。

 

実際、SM-046は何回も犯罪の被害に遭っています。

喉元にナイフを突きつけられたり、銃で脅されたり、最初の夫には危うく殴り殺されるところでした。

そんな場面でも彼女は恐怖を微塵も感じなかったとそうです。

 

恐怖を感じることが出来ないと、自分の身を守ることが出来ず、危険な目に遭ったり、詐欺の被害者になりやすいのです。

そのため、研究者たちは彼女を保護するために本名など一切の個人情報を明かすべきではないと判断し、彼女をSM-046と呼ぶようにしました。

 

 

最後に

僕はかなりのビビりです。

 

後ろから声をかけられると、信じられないくらいビビります。

普段は感情をあまり表に出さない平熱系人間として活動しているので、そのギャップに周りの人は動揺を隠しきれません。

 

少し前に、前から興味のあった遺伝子検査を受けてみました。

検査項目は約360もあり、色々なことが分かったのですが、どうやら僕は扁桃体が大きめだそうです。

マインドパレッサー
なるほど!だからビビりなのか!

と妙に納得してしまったという話です。

 

最後にくだらない話、失礼いたしました。

 

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参考文献

 

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tetsuya
北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師を取得。月に10冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。