最近、電子書籍が充実してきました。
電子書籍には、本を置いておくスペースがいらない、持ち運びが楽、書店まで行かずにすぐダウンロードできるなどなど多くのメリットがあります。
一方で、紙の本の方が良い!という方もたくさんいらっしゃいます。
2022年に昭和大学の研究チームから電子書籍と紙の本で「どちらが読解力が高くなるのか」を調査する研究が行われました。
その結果、電子書籍(スマホで読書)は紙で読むよりも、読解力が低くなりました。
この記事では、なぜ電子書籍は紙の本よりも読解力が低くなるのかについて解説していきます。
電子書籍vs紙の本 ○○は読解力を低下させる!?
電子書籍と紙の本では、どちらの方が内容を深く理解できるか。
結論から言うと、電子書籍よりも紙の本の方が読解力が上がります。
2022年に昭和大学の研究チームが、34人の健康な大学生を対象にスマホか紙かで村上春樹の「ノルウェイの森」「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の一部を読んでもらい、読み終わった後に小説に関する質問への正答率を調べました。
すると、スマホで読むよりも紙で読んだ方が正答率が高かったのです。
電子書籍は脳の前頭前野が過剰に活性化する!
昭和大学の研究チームは、「光トポグラフィー」という脳の血流量を測定する機器を使い、読書中の脳活動を調べました。
その結果、スマホ読書は紙の読書に比べて、脳の前頭前野が過剰に活性化した状態になっていました。
前頭前野は記憶や学習などの認知機能を司る「人間を人間たらしめる脳の最高中枢」です。
【脳の部位や記憶に関する記事はこちら】
電子書籍は「深い呼吸」が抑制される?
では、なぜスマホ読書中に前頭前野が過剰に活性化したのでしょうか。
昭和大学の研究チームは、「呼吸の状態」が関係していると考えました。
過去に行われた研究によると、「深い呼吸(ため息)」が集中力を高めるなど、脳の認知機能に良い影響を与えることが知られています。
実験に参加した人の呼吸の状態を確認したところ、紙の読書ではため息の回数が平均3.3回だったのに対し、スマホ読書ではため息の回数が平均1.8回でした。
つまり、スマホ読書では何らかの要因によって、「深い呼吸」が抑制されて、呼吸が浅くなっていたのです。
【意識的に呼吸をすることによる健康効果に関する記事はこちら】
電子書籍と紙の本のメリット・デメリット
電子書籍と本のそれぞれには、良い点と悪い点があります。
以下に、それぞれのメリットとデメリットを簡単にまとめます。
電子書籍(e-book)のメリット
- 移動や旅行中の持ち運びが楽
- 本をたくさん保管するスペースが不要
- フォントサイズや背景色を変更できるので、視力が弱い人や暗い場所で読む人にとって便利
- 読んでいる本を素早く変えることができるので、複数の本を同時に読むことが可能
電子書籍のデメリット
- 電子機器が壊れたり、バッテリーが切れると読むことができなくなる
- 本の内容の理解度が紙の本よりも下がる恐れがある(昭和大学の研究より)
- 紙の本と比較して、文字が小さいと感じることがある
紙の本のメリット
- 壊れたり、バッテリーが切れることがないので、安心して読むことが可能
- 電子書籍よりも、本をより深く理解することが可能
- 積読として本棚などに飾ることが可能
紙の本のデメリット
- 持ち運ぶのが面倒
- 本をたくさん保管するのにスペースが必要
- 視力が弱い人や暗い場所で読むのが困難
どちらを選ぶかは、個人の好みや使い方によって異なります。
移動や旅行中に本を持ち運びたい場合や、本を深く読みたい場合は、紙の本を選ぶことができます。
一方で、電子書籍は、複数の本を同時に読むことができるので、複数の本を読むことが多い人には向いているかもしれません。
また、本をたくさん保管するスペースがない場合や、視力が弱い人には、電子書籍の方が便利です。
あと、すきま時間をより効率よく活用して読書したい方には、耳で聴く読書「オーディオブック」がオススメです。
- 電子書籍は紙の本よりも読解力が落ちる
- 電子書籍で読書すると、脳の前頭前野が過剰に活性化し、読解力が低下しやすい
- 「深い呼吸」は脳の認知機能にポジティブな影響を及ぼすが、スマホ読書では、その深い呼吸が抑制され、呼吸が浅くなってしまう
【引用文献】
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1.電子書籍vs紙の本 ○○は読解力を低下させる!?
2.電子書籍と紙の本のメリット・デメリット
3.まとめ