うつ病を患っている人は年々、増加しています。
男女比をみると、うつ病は男性よりも女性に多いです。
厚生労働省の平成29年度の調査によると、男性のうつ病患者数が49.5万人で、女性のうつ病患者数が78.1万人でした。
上の図から、どの年代でも女性の方がうつ病になってしまう人が多いことが分かります。
しかし、自殺者数は女性よりも男性の方が多いです。
厚生労働省の調査によると、平成30年の自殺者数が男性では14,125人で女性が6,473人と2倍以上も多いのです。
そもそも「うつ病」とは?
どんな人にも気分の浮き沈みがあります。
日常生活をおくる中で、何かに失敗したり、嫌なことがあればショックを受け、気分が落ち込んでしまったりしまうことは誰にでもあります。
こうした気分が落ち込んだ抑うつ状態が長期間強く続く場合は、うつ病の可能性があります。
うつ病だと自覚できる主な症状としては、
- 悲観的になる
- 気力や意欲がなくなる
- 不安で眠れない
などが挙げられます。
周囲から見て異変を感じる症状としては、
- 表情が暗い
- 反応が遅い
- 落ち着きがない
- 食欲や性欲のなくなる
- 特に理由がないのに疲れやすい
- 肩こりや頭痛がおこる
などがあります。
うつ病は「気分障害」の一種です。
近年の新たな分類では、ハイテンションな躁状態と抑うつ状態をくり返す「双極性障害(躁うつ病)と区別するために、「単極性うつ病」とも呼ばれます。
また、脳卒中や生活習慣病など、他の病気に伴って症状が現れる「身体因性うつ病」というのもあります。
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うつ病の原因ってなに?
うつ病は心の病気と思われがちですが、脳内に原因がある脳の病気です。
現段階では、明確な原因は分かっていませんが、今のところ「モノアミン仮説」と「神経可塑性仮説」が有力です。
モノアミン仮説
「モノアミン仮説」とは、脳内の神経細胞(ニューロン)同士の接続部分であるシナプス間隙で、モノアミンの量が減少してしまうことでうつ病が発症するという仮説です。
モノアミンとは、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの気分に関与する神経伝達物質の総称です。
神経細胞内では電気信号でやり取りされますが、神経細胞の接続部分には僅かなすき間(シナプス間隙)があるため、電気信号の代わりに神経伝達物質が使われます。
現在、一般的にうつ病患者に処方される薬として、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」というものがありますが、これは簡単に言うと、モノアミンの量を増やす薬です。
神経可塑性(かそせい)仮説
「神経可塑性仮説」とは、過度なストレスによって脳内の神経栄養因子が減少してしまうことがうつ病の原因だとする仮説です。
神経栄養因子とは、脳にとっての肥料のようなもので、新しい細胞をつくったり、成長を助けたりする働きがあります。
つまり、神経栄養因子が減少すると、神経細胞が減り、神経細胞から出るモノアミンの量も減るため、結果的に気分が落ち込んでしまいます。
神経栄養因子は運動することで増やすことができます!
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うつ病患者に女性が多い理由
女性がうつ病になる原因として、
- 女性ホルモンによる影響
- ストレスを受けやすい環境
が考えられます。
女性ホルモンによる影響
女性にうつ病患者が多い理由の一つに、女性ホルモンの影響が考えられています。
というのも、女性ホルモンのエストロゲンはセロトニンに作用するホルモンなのです。
生理や妊娠、閉経によってエストロゲンの量が減ると、結果的にセロトニンの量が減少し、抑うつ気分を引き起こしやすくなるという訳です。
ストレスを受けやすい環境
2019年の調査では、男女の格差を表した「*ジェンダーギャップ指数」は世界153か国中、日本は121位でした。
上位になるにつれて、男女の格差が少なくなるので、「日本は性差別が根強く残っている国」と言えます。
ちなみに1位2位3位はそれぞれ、アイスランド、ノルウェー、フィンランドと北欧の国々が並んでいます。
- 昔の日本にあった、女性は「男性の3歩後ろを歩くもの」という風潮
- 男性優位の社会
- 女性がやるべきとされる家事・育児・炊事などは無報酬
などが女性の社会進出を阻み、女性がストレスを受けやすい環境を作ってしまっていると考えられます。
自殺者に男性が多い理由「男らしさの呪縛」
統計上では、うつ病患者は男性よりも女性の方が多いのですが、男性も決して少ないという訳ではありません。
そして、男性は抑うつ症状が出てきても、病院に行かない傾向にあります。
昔からのステレオタイプで「男は弱音を吐かない」「男は強くなければいけない」といった固定観念があります。
その影響もあり、男性は精神的にキツくても、
と考えてしまい、苦しくても、病院に行かずに済ましてしまうことが多いです。
男性と女性の脳の働き
男性と女性の脳の働きも関係していると考えられます。
男女の脳の構造には大きな違いはありませんが、働きを調べてみると、
- 男性の脳は、右脳内、左脳内それぞれ別々での情報のやり取りが多い
- 女性の脳は、右脳と左脳間での情報のやり取りが多い
という違いがあります。
一般的に右脳は直感、左脳は言語化の働きがあると言われているので、右脳と左脳間のやり取りが活発だと、直観的に思ったことを言語化しやすいと考えられます。
つまり、女性は友人・家族などに悩みなどを相談しやすく、周りの人たちのすすめなどもあり、病院にちゃんと行くため、自殺にまで至る人は男性より少ないのだと考えられます。
一方、男性は辛くてもなかなか病院に行かない、友人・家族にもなかなか相談できないで重症化し、自ら命を絶ってしまうという傾向があると考えられます。
まとめ
女性は女性ホルモンやストレスを受けやすい環境などによってうつ病になる人が男性よりも多いですが、男性の方が自殺者数は多い。
それは「男ならこうでなければならない」というステレオタイプや男性の脳の働きに理由があると考えられている。
「男だからこう!」とか「女だからこう!」っていうステレオタイプ、なくなればいいのに。
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PRESIDENT Online 「うつ病に女が多く、過労死に男が多いわけ」
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