BDI(ベック抑うつ質問票)は、アメリカの精神科医アーロン T ベックが考案した抑うつの程度を客観的に測る自己評価表です。
ベックは抑うつの本質は「認知の歪み」で、うつうつとした気分や不安などの感情はその認知の歪みから二次的に生じてくるものだと考え、「認知療法」を発展させました。
認知の歪みは次のようなものです。
白黒思考(オールオアナッシング)‐「一つ間違えたら、すべておしまいだ」などと、物事を0か100かで考えてしまう思考
すべき思考‐「~すべきだ」「~すべきではない」などと、固定された理想を自分や他人に強く要求してしまう思考
こういった認知の歪みを修正する治療的アプローチとして、うつ病患者に対する認知療法を1963年に考案しました。
その研究に伴い、考案された心理検査がBDI(ベック抑うつ質問票)です。
この記事では、BDIとはどんな検査なのか?BDIで何が分かるのか?などについて解説していきます。
認知の歪みについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【心理検査】BDI(ベック抑うつ質問票)とは?何が分かるの?
「BDI(ベック抑うつ質問票)」とは、抑うつの程度を測るためにベックによって考案された質問紙法による心理検査です。
医療機関で患者さんの抑うつの程度を評価したり、定期的にBDIを行うことで治療の経過を観察したりします。
また、企業における従業員のメンタルヘルス管理にも活用されています。
BDIの形式
BDIでは過去2週間の自分の状態について、21項目の質問に答えていきます。
なお、質問は精神疾患の国際基準「DSM」に基づき作成されています。
- 実施時間‐およそ5分~10分
- 適用年齢‐13歳~80歳
精神疾患の国際基準についてはこちらの記事をご覧ください。
BDIは診療報酬の対象?
2021年4月現在、BDIは診療報酬の対象ではありません。
【参考】
厚生労働省「医科診療報酬点数表に関する事項」330ページ(D285 認知機能検査その他の心理検査)
結果の評価について
BDIの各質問は4つ選択肢があり、それぞれ 0点(症状がない)~3点(症状が重い)で評価されます。
合計点数が21点以上になると、病理的な抑うつである可能性が高いと考えられます。
しかし、21点以上になったからといって、すぐにうつ病だと診断される訳ではなく、あくまでも診断するための一つの指標です。
まとめ
- BDI(ベック抑うつ質問票)は、アメリカの精神科医アーロン T ベックが考案した抑うつの程度を客観的に測る自己評価表
- BDIは医療機関で患者さんの抑うつの程度を評価したり、治療の経過を観察したりするのに用いられる
- BDIは全部で21問、各質問には4つ選択肢があり、0点~3点で評価される
- 合計点数が21点以上だと、病理的な抑うつである可能性が高い
- BDIはあくまでも診断のための一つの指標
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