うつ病になってしまう方は、認知に歪みが生じています。
その歪みのせいで、目の前の現実を不正確にとらえ、ネガティブな感情を強めてしまうのです。
「認知の歪み」とは例えば、
のような極端な思考パターンです。
この記事では、上記のようなうつ病の人が陥りがちな思考パターンを10つ解説します。
自分にも当てはまっていないかチェックしてみましょう!
うつ病の人に多い思考パターン10つを解説
生活をしていれば、誰しもストレスに感じることが起こります。
しかし、同じ出来事でもあまり気にしない人もいれば、出来事を深刻に受けとめて気分がヒドく落ち込んでしまう人もいます。
落ち込んでしまう人の多くは、次のような思考パターンを持っています。
白黒(オールオアナッシング)思考
「白黒(オールオアナッシング)思考」とは、「一つ間違えたら、すべておしまいだ」などと、物事を0(無)か100(全)かのどちらか両極端にとらえてしまう思考です。
過度の一般化
「過度の一般化」とは、たった一度や二度起こったことでも、それがいつ・どんなシチュエーションにおいても起こるかのように認識してしまう思考です。
心のフィルター
「心のフィルター」とは、物事の良いことをシャットアウトし、悪いことばかりを見てしまう思考です。
人生には良いことも悪いことも起こります。
しかし、この思考パターンを持っている人は、実際には良いことが起こっていても、悪いことにばかり目がいってしまうためにネガティブな評価を下してしまいます。
たとえば、会議で自分の意見に賛成していた人もいたのに、
と考えてしまう。
マイナス思考
「マイナス思考」とは、すべて悪いほうに悪いほうに考えてしまう思考です。
たとえば、テストで90点を取れたのに、
と良いことがあってもそれを良いことと考えず、マイナスの方向に考えてしまいます。
結論の飛躍
「結論の飛躍」とは、根拠もなしにネガティブな結論を導き出してしまう思考です。
結論の飛躍には、「読心術」と「先読みの誤り」の2つがあります。
読心術
と他人の考えていることを推測して、それが正しいと思い込んでしまいます。
先読みの誤り
と誰にも分かるはずがない将来を決めつけてしまいます。
拡大解釈・過小解釈
「拡大解釈・過小解釈」とは、ちょっとでも悪いことが起こると考えうる最悪の事態まで結び付けたり、逆に良かったことに関しては、別に大したことがないと感じてしまう思考です。
たとえば、仕事でちょっとでもミスをすると、
と必要以上に落ち込んでしまいます。
感情の理由づけ
「感情の理由づけ」とは、論理を無視して自分の感情を根拠に物事を決めつけてしまう思考です。
と自分の感情があたかも真実を証明するかのように考えてしまいます。
すべき思考
「すべき思考」とは、「~すべきだ」「~すべきではない」などと決めつけ、固定された理想を自分や他人に強く要求してしまう思考です。
レッテル貼り
「レッテル貼り」とは、他のさまざまな事実を考慮せずに、不十分な根拠から自分や他人にネガティブなレッテルを貼ってしまう思考です。
「過度の一般化」の行き過ぎた状態とも言えます。
過度の一般化では、一回失敗だけでずっと失敗すると結論づけますが、レッテル貼りはよりヒドく、
と思い込んでしまいます。
誤った自己責任化(個人化)
「誤った自己責任化(個人化)」とは、何か良くないことが起こったときに、自分とは直接関係ないことでも自分の責任に結び付けてしまう思考です。
認知の歪みを正す「認知行動療法」とは?
うつ病には急性期・回復期・維持期(再発予防期)という3つのステージがあります。
急性期はうつ病発症~3か月ほどで、不安や落ち込み、億劫感など症状が最も重くツライ期間です。
この期間は薬物療法を受けながら、自宅でゆっくりと休養を取ることが大切になります。
そして、回復期からは薬物療法と並行して、より柔軟な考え方ができるように「認知行動療法」が行われます。
認知行動療法は「どう考えるか(認知)によって感情が生み出される」と考え、認知を見直すことで感情をコントロールするという方法です。
うつ病治療において、認知行動療法は薬物療法と同等、またはそれ以上の効果があることが研究によって明らかになっています。
また、薬物療法と認知行動療法をそれぞれ単体で用いるよりも、2つの治療法を併用する場合は、さらに治療効果が高いことがわかっている。
認知行動療法を行うことで、うつ病を発症したときと同じような状況に陥ったとしても、考え方が柔軟になったことで対処可能になり、再発の可能性が低くなると考えられます。
自分の考え方(認知)を正すのは、簡単なことではありません。
しかし、再発の防止にはとても大切なことなのです。
【認知行動療法に関する記事】
まとめ
- うつ病になる人は物事をネガティブにとらえてしまう思考パターンを持っている
- ネガティブな思考パターンを柔軟なものにするために「認知行動療法」が行われる
- 薬物療法と認知行動療法を併用すると、それぞれ単体で用いるよりも治療効果が高い
うつ病には「無理のない適度な運動」が有効です。
“運動をしないことは、うつになる薬を飲むようなものだ”と言われるほど。
良かったらこちらの記事もご覧ください。
【参考文献】
うららか相談室「認知の歪みとは?代表的な10項目と具体例を紹介」
科学雑誌「Newton」(2020/10)精神の病気の取扱説明書
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