たとえば、「男性よりも女性の方が共感能力が高い」という仮説を立てたとします。
と主張する人がいたら、どうでしょう?
同意する人もいると思いますが、反対する人もいるでしょう。この人の主張には「客観性」が欠けているのです。
では、この人の主張はどうでしょうか?
この人の主張の方が信憑性がありますよね?
このように心理学の研究が科学的研究だと言うためには“客観性”という条件を満たす必要があるのです。
この記事では、心理学に統計が必要な理由をもう少し詳しく説明し、記述統計と推測統計の違いについて解説していきます。
心理学に「統計」が必要な理由
心理学はもともと哲学の流れをくんでいました。
しかし、その頃の心理学は自分自身を内省したり、主観的な意見を言い合うだけで、社会の中で起きている問題の解決につながるものではありませんでした。
人が抱える悩みや社会で起こっている問題を解決するためには、主観的ではなく客観的な指標を取り入れた「自然科学」へと発展させる必要があったのです。
客観的な指標として、以下のような様々な尺度や心理検査が開発され、客観的に評価されるようになったのです。
- 抑うつや不安に関する尺度
- 自己肯定感・自己受容に関する尺度
- 対人関係に関する尺度
- ストレス対応に関する尺度
- 知能検査
- 性格検査
記述統計と推測統計の違いとは?
統計は大別すると「記述統計」と「推測統計」に分けられます。
それぞれどういった統計なのかを解説していきます。
記述統計(descriptive statistics )
記述統計とは、調査によって得られた手元にあるデータを分析して、そのデータの特徴や要約を図表・グラフなどを用いてまとめることです。
【例】
男性と女性ではどちらが共感度の高いのかを調べるために、A地域に住む男女100名ずつに共感度を調べる質問紙に答えてもらいました。
得られたデータから、男性よりも女性の方が3.0ポイント共感度が高いという結果になりました。
というように、手元にあるデータの情報・特徴をまとめて記述するのが、記述統計です。
推測統計(inferential statistics)
推測統計とは、記述統計によって得られたデータから、一般にも当てはまるのか否かを検定する、つまり得られたデータの外ではどうなのかを推測する統計です。
A地域に住む男女100名を対象に行った調査の結果は女性の方が3.0ポイント共感度が高いという結果になりましたが、A地域全体も同じことが言えるのか?A地域を含む県では?日本全体では?と一般的にも当てはまるのかを検討していきます。
心理学の目的は人が抱える悩みや社会で起こっている問題の解決に寄与することですから、“一般的にはどうなのか”ということが重視されます。
まとめ
【心理学に統計が必要な理由】
心理学が目指す人が抱える悩みや社会で起こっている問題の解決に寄与するためには、主観的ではなく、客観的な指標が必要だから。
【記述統計】
与えられた(手元にある)データを集計して、データをまとめて値を示すこと。
【推測統計】
記述統計によって得られたデータから、一般的にも同じことが言えるのかを検討すること。
僕は心理学を学び始めたころ、
と絶望していました。笑
今でも統計に対する苦手意識はありますが、順を追ってゆっくりと勉強すればだんだんと理解できるようになってきました。
この本は分かりやすかったです。
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