【心理検査】東大式エゴグラム(TEG)とは?分かることや特徴を解説

エゴグラムは精神科医のエリック・バーンが創始した「交流分析理論」を基に、バーンの弟子で同僚でもあったデュセイが考案した心理検査です。

エゴグラムはその人のパーソナリティ行動パターンを推測することができる検査となっています。

日本では10数種類のエゴグラムが開発されましたが、最もポピュラーなものが「東大式エゴグラム(Tokyo University Egogram:TEG)」です。

この記事では、TEGで分かることや特徴を分かりやすく解説していきます。

【心理検査】東大式エゴグラム(TEG)とは?分かることや特徴を解説

東大式エゴグラム(TEG)は文字通り、東京大学が開発したという意味ですが、エリック・バーンが創始した「交流分析理論」をもとにしています。

交流分析は“誰にでも納得のいく治療法”を目指して、難しい理論をこねくり回すのではなく、人間関係に悩みを抱えている人にとって効果があることを目標とした実際的な心理療法です。

交流分析では、人の思考や感情、行動パターンをひとくくりにして「自我状態」と呼び、人には5つの自我状態があるとしています。

5つの自我状態
  1. 批判的な親(Critical Parent : CP)-父親的な厳しさと権威をもつ面
  2. 保護的な親(Nurturing Parent : NP)-母親的な共感と理解に満ちた面
  3. 理性的な大人(Adult : A)-理性的で合理的、冷静な計算に基づき行動する面
  4. 自由な子ども(Free Child : FC)-親のしつけを受けていない生まれたままの自然な面
  5. 順応した子ども(Adapted Child : AC)-成長する過程で親の影響を受けて形作られた面

TEGでは質問紙法(アンケート式)によって、その人がどの自我状態が優位か(または低位)なのかをはかります。

 

交流分析に関してはこちらの記事をご覧ください。

 

TEGで何が分かるの?

TEGを実施しどの自我状態が優位かを知ることで、その人の性格傾向行動パターンが分かります。

性格傾向や行動パターンが分かると、陥りやすい思考パターンや思考の偏りが分かるため、治療方針などを決める際の指針になります。

また、自分自身の性格傾向を知ることにより、周囲とのコミュニケーションの取り方や自分自身を見つめなおし、気づきを得るきっかけになったりします。

TEGは正常or異常を判断するものではない

エゴグラムは正常or異常を判断するものではありません。

あくまでも自分の自我状態に気づき自己分析するためのツールとして使われます。

 

たとえ自我状態に偏りがあっても、その人が良好な人間関係を築けている、あるいはその人の個性が強調されることでかえってメリットがある場合には、その人の性格傾向は尊重されるべきです。

もし、社会にうまく適応できていないと感じているなら、TEGを活用して、

うーん。自分はACが高めで周りに合わせるのは得意だけど、他人からの評価が気になったり、自己肯定感が低い傾向があるのか。もうちょっとFCを高めるように伸び伸びと振舞ってみようかな。

などと、自己成長や対人関係の改善に役立てることができます。

エゴグラムの基本的なパターン

エゴグラムの基本的なパターン

それではエゴグラムの基本的なパターンを5つ「CP優位型」「NP優位型」「A優位型」「FC優位型」「AC優位型」をご紹介します。

CP優位型

CP優位型には以下のような特徴があります。

  • 理想を追求する
  • リーダーシップをとる
  • 責任感が強い
  • 自他ともに厳しい

社会的には責任ある仕事を担当する反面、頑固で融通が利かないといった面があります。

NP優位型

NP優位型には以下のような特徴があります。

  • 他人に優しく温かく接する
  • 他人の気持ちを理解する
  • 世話を焼く

面倒見の良い人によくみられるタイプです。

過保護・過干渉・おせっかいにならないように注意する必要があります。

A優位型

A優位型には以下のような特徴があります。

  • 論理的に物事を考える
  • 知的で計画的な行動が多い

仕事を進めるうえで、有能な人が多いタイプです。

理屈っぽい、人間味に欠けるといった面があります。

FC優位型

FC優位型には以下のような特徴があります。

  • 自由で陽気
  • 好奇心旺盛

ネアカな人に多いタイプです。

周りへの気遣いが少ない、わがままといった面があります。

AC優位型

AC優位型には以下のような特徴があります。

  • 協調性がある
  • 他者を優先する

“よい子”に多いタイプです。

他人に気遣いして「NO」と言えない、依存的といった面があります。

まとめ

  • 東大式エゴグラム(TEG)はアメリカの精神科医エリック・バーンが創始した「交流分析理論」をもとにしている
  • 交流分析では、人の思考や感情、行動パターンをひとくくりにして「自我状態」と呼び、人には5つの自我状態があるとしている
  • TEGによってその人の性格傾向や行動パターンが分かるので、人間関係がうまくいかない人などは自己分析し改善するのに役立つ
  • TEGは正常か異常かを判断するものではなく、あくまでも自分の自我状態に気づき自己分析するためのツール

質問紙法のデメリットととして、「こう答えた方が好ましそうだな」とある程度、回答を操作できてしまいます。

ただ、それでは結果が歪んでしまいますので、TEGを受ける際はありのままの状態を記入しましょう。

 

【参考文献】

東京大学医学部心療内科TEG研究会 (2002)新版TEG解説とエゴグラム・パターン 金子書房

窪内節子・吉武光世(2003)やさしく学べる心理療法の基礎 培風館

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tetsuya
北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師を取得。月に10冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。