何となく意味は分かるけど、具体的にどんな違いがあるのか分かりづらいですよね。
この記事では、そんな疑問を解決します。
「自己効力感」と「自己肯定感」の違いを分かりやすく解説
「自己効力感」とは
「自己効力感(英語:self-efficacy)」とは、自分が周りの環境に影響を与えることができていて、自分自身の行動と結果をコントロールできているという感覚です。
「自己効力感」という言葉は、カナダ人心理学者であるアルバート・バンデューラが提唱しました。
自己効力感は以下の2つの認知によって支えられています。
- 結果期待:「自分がある行動を起こせば、それに特定の結果がついてくるはずだ」という期待。
- 効力期待:「自分にはその行動を起こすことが可能だ」という自分の能力に対する期待。
例えば、「筋トレを継続すれば、マッチョになるだろう」という認知が結果期待、「自分には筋トレを継続する能力があるだろう」という認知が効力期待です。
自己効力感の3つのタイプ
- 自己統制的自己効力感:自分自身のコントロールに関わる自己効力感
- 社会的自己効力感:対人交流に関わる自己効力感
- 学習的自己効力感:学習に関わる自己効力感
「自己肯定感」とは
「自己肯定感(英語:self-esteem)」とは、自分の存在そのものを認める感覚で、ありのままの自分をかけがえのない存在として肯定的、好意的に受け止めることができる感覚のことです。
「自己肯定感」という言葉は、1994年に臨床心理学者である高垣忠一郎によって提唱されました。
高垣氏は自身の子どもを対象にしたカウンセリングの体験から、当時、没個性化が生じていた子どもの状態を説明する用語として「自己肯定感」を使いました(引用:ウィキペディア「自己肯定感」)。
自己肯定感は「自尊心」「自尊感情」とほぼ同じ意味で用いられる言葉です。
自己肯定感は、人と比べて優れているかどうかで自分を評価せず、ありのままの自分を認める感覚です。
この感覚を持てると、自分自身だけではなく、他人のことも尊重できます。
自己効力感は「自分に何がどの程度できるのか」を表すのに対し、自己肯定感は「自分自身の存在をどれだけ肯定的に受容できるか」を表す点で異なります。
自己効力感を高める方法
この章では、自己効力感を上げる方法について解説します。
バンデューラ氏は「観察学習(モデリング)」の理論でも知られていて、自己効力感を形成する一つの要因だと考えられています。
観察学習は誰かしらを見本(モデル)として、その人の言動を見て真似することです。
モデルとなる人の行動の観察によって、状況に対してどのような行動をとれば良いか(効力期待)、行動の結果どのような状況になるのか(結果期待)を得て、自己効力感が育まれます。
そして、最も自己効力感を形成するために効果的なのが「制御体験」です。
制御体験とは、自分自身で行動を決定して、その結果として成功・達成に導いた経験のことです。
まとめ
- 「自己効力感」とは、自分が環境に影響を与えることができ、自分自身の行動と結果をコントロールできているという感覚。
- 「自己肯定感」とは、自分の存在そのものを認める感覚で、ありのままの自分をかけがえのない存在として肯定的に受けとめる感覚。
- 自己効力感は「自分に何がどの程度できるのか」を表すのに対し、自己肯定感は「自分自身の存在をどれだけ肯定的に受容できるか」を表す点で異なる。
- 自己効力感を上げる方法としては、「観察学習(モデリング)」や「制御体験」が挙げられる。
【参考文献】
河合塾KALS監修 坂井剛・宮川純著 講談社『赤本 公認心理師(国試対策2021)』
一般社団法人 日本セルフエスティーム普及協会『自己肯定感とは?』
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