生まれてわずか数週間の赤ちゃんに向かって、笑いかけたり、舌を出したり、口をすぼめたりすると、赤ちゃんはその表情をマネすることがあります。
この現象をアメリカのワシントン大学心理学教授のアンドリュー・メルツォフらは「新生児模倣」と名付けました。
この記事では、新生児模倣が起きる理由について解説します。
新生児模倣とは?
「新生児模倣」とは、新生児期の赤ちゃんが目の前にいる人と同じ表情・動作をすることです。
- 笑う
- 口を開ける
- 舌を出す
- 口をすぼめる
といった表情を目の前の人がすると、新生児期の赤ちゃんもマネすることがあります。
人間の赤ちゃんだけでなく、サルの赤ちゃんでもみられる
上の写真では、マカクザルの目の前で舌を出す行動をすると、マカクザルも同じように舌を出しているのが分かります。
このように新生児模倣は、人間だけではなく、マカクザルやチンパンジーなどの他の霊長類でもみられます。
新生児模倣が起こる理由とは?
新生児期の赤ちゃんが表情や行動をマネるのは、共感を得るためだと考えられています。
というのも、生まれたばかりの赤ちゃんはあまりにも無力で保護者の世話なしでは生きられません。
赤ちゃんが自分と同じ表情をすると、
と思いますよね?
そうやって保護者に好意的な感情を抱いてもらい、ちゃんと自分の世話をしてもらうのです。
新生児模倣は反射的な反応!?
大人が笑いかけると赤ちゃんも笑うのは、必ずしも赤ちゃんが楽しいから笑うのではなく、反射的に起こる反応です。
新生児期の赤ちゃんはまだ上手く筋肉を動かすことができない状態のため、マネをしようとして意図的にマネしているわけではありません。
新生児模倣は赤ちゃんが目の前の人の表情・動作につられるように起こることから「共鳴動作(きょうめいどうさ)」とも呼ばれます。
最後に
まだ視力もそんなにない上、「口」「舌」など色々な概念がまだない赤ちゃんが大人と同じ表情・動作をマネできるなんてすごいですよね。
新生児模倣は人間が生き延びるために生まれつき備わった能力なのです。
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1.新生児模倣とは?
2.新生児模倣が起こる理由とは?
3.最後に