自分の世界を広げよう!「内集団ひいき」の罠

あなたは「自分が所属している集団は他の集団よりも優れている」と考えたことはありませんか?

 

そのことを社会心理学では「内集団ひいき」(内集団バイアス)と呼びます。

 

自分が所属している集団というのは、性別・年代・学校・学校の中の友人グループ・会社・宗教・市区町村・国など、捉え方によって様々です。

人はこういった自分が所属している集団(内集団)はその他の集団(外集団)よりも「素晴らしい人が多い」「優れている」など好意的に考える傾向があります。

 

内集団ひいき自体は多かれ少なかれ、ほとんどの人がやっているので悪いことではないですが、内集団ひいきが強すぎると人間関係を悪化させたり、他の国では内部紛争にまで発展したり、国同士では戦争にまで至る可能性があります。

 

そういったリスクを回避するために、もっと自分の世界を広げましょう!

 

1.なぜ人は内集団ひいきをするのか?

なぜ人が内集団ひいきをするのかは「社会的アイデンティティ理論」で説明することができます。

 

  • 自分は他の人に比べて頭が良い
  • 自分は他の人より身長が高い

など自分と他人との違いから見出される個人的な特徴による自己理解を個人的アイデンティティと言います。

 

一方、僕たちは自分が所属している集団の他のメンバーとの類似性を考え、自分と集団を同化することがありますが、そのような自己認識を社会的アイデンティティと呼びます。

 

そして、もう1つの重要なキーワードが自己高揚動機です。

自己高揚動機は「自分には価値がある」「自分は優れている」と自分についてポジティブに考えたいという欲求です。

人は少なからずこの自己高揚動機を持っています。

 

マインドパレッサー
何となく分かりましたね?

 

個人的アイデンティティで自分を捉えているときに、自己高揚動機を持つと、

 

自分はすごい!
君はとんだ落ちこぼれだね。

 

と自分を立場を上げたり、他人の立場を落としたりして相対的に自分を持ち上げます。

 

一方、社会的アイデンティティで自分を捉えているときに、自己高揚動機を持つと、

 

うちらって最強チームよね~
あの集団はとんだ落ちこぼれ集団だね。

 

と自分が所属している集団(内集団)の立場を上げたり、他の集団(外集団)の立場を落とすことで相対的に内集団を持ち上げます。

 

マインドパレッサー
何か自分を持ち上げたり、他人を下げることで相対的な立場を変化させるというシステムは日本語の敬語に似てますね。

 

引用:「えっそこ!?外国人がWhy…ってなる10の日本語」

画像引用:「えっそこ!?外国人がWhy…ってなる10の日本語」

 

内集団は自分の捉え方でコロコロ変わります。

 

学生の頃、部活に所属していれば自分と学校の部活仲間を同化し、「自分の学校 VS 他校ですが、オリンピックのときは自分と日本を同化し、「日本 VS 他国となります。

2.どんな人が内集団ひいきをしやすいか?

内集団ひいきはどんな人でも多かれ少なかれ、ほとんどの人がやっていますが、特に自己評価が低い人、他人の目を気にし過ぎる人がやりがちです。

 

これまで内集団ひいきと自己評価の関係を調べるために多くの実験がなされてきました。

実験

被験者を絵の好みを元に2つの集団に分けた。

 

こういったほとんど無意味な分け方で分けた集団であっても、内集団びいきが生じることが示されてきた。

その上で参加者は他の参観者とペアを組み、お互いに300円を元手に相手とやり取りをする囚人のジレンマゲームという課題を行った。

多くのお金を相手に提供すれば協力、手元に残しておけば非協力となる。

 

内集団びいきが生じるならば、同じ集団のパートナーには、他の集団のパートナーよりも多くのお金を提供し協力するはずである。

この差を内集団びいきの程度として、否定的評価への恐怖という心理傾向との関連を検証した。

 

実験の結果、他者からの否定的評価に恐怖を感じる人ほど、内集団びいきが強いという傾向が見られた。

つまり,他人の目を気にする人ほど、パートナーが身内かどうかでパートナーへと協力する金額を変えて、内集団びいきを行っていたのです。

 

さらにこういった関連性は、相手からは自分が所属している集団が見えない条件では起こりませんでした。

すなわち、内集団びいきしなくても、それが内集団のメンバーにバレない場合は、相手が身内だからといって多くの金額を提供してひいきしないようです。

 

以上の結果は「内集団ひいきは自分の評判を気にかけるために生じる」というということが言えます。

3.最後に

「内集団」は自分の捉え方で変わります。

 

内集団が「学校や会社の仲良しグループ」などと小さければ、それだけ対立する外集団も多くなり、ストレスが増えます。

内集団を学校・会社→都道府県→国→アジア→地球→・・・とどんどん広げていくとストレスが減り、おおらかな気持ちで過ごせるようになります。

 

自分の世界を広げるために、個人的にすごく良いと思うのが海外旅行です。

 

この記事でも少し書きましたが、海外で全く違う文化の人と過ごしたり、異文化の中で生活をすると色々と客観的に捉えられるので、自分の世界が広がります。

 

ただ、長期間の休み、お金がないとなかなか海外へ行くのは大変ですよね?

そこでオススメなのが「新しいことにチャレンジする」ことです。

どんな些細なことでもかまいません。

 

  • 帰り道のルートを少し変えてみる
  • いつもとは違うお店で買い物をする
  • 子どもの頃、苦手だった食べ物を食べてみる
  • 普段は自宅で飲んでいるけど、バーに飲みに行ってみる

など、いつもとは違うことにチャレンジしてみるんです。

 

すると、何かしら気づきがあったり、新たな自分の一面を発見できたり、と自分の世界がどんどん広がっていくのを感じるはずです。

 

僕らは地球人

 

そのくらい大きな枠組みで自分を捉えたら、ストレスフリーで生きていけそうですよね。

 

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tetsuya
北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師を取得。月に10冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。