ということは多くの人が考えます。
しかし、なかには家の中で足の踏み場がないほど物で溢れてさせてしまう「ためこみ症」の人もいます。
この記事では、捨てられない病「ためこみ症」の3つの特徴や「ためこみ症」と「コレクター」の違いなどを分かりやすく解説します。
ためこみ症と似た「ためこみ行動」がみられる病気についてはこちらの記事をご覧ください。
捨てられない病「ためこみ症」の3つの特徴を分かりやすく解説
「ためこみ症(英語:Hoarding Disorder)」とは、日常生活に支障が出るほど物や動物を大量にためこんでしまう精神疾患です。
アメリカで報告された調査結果によれば、20歳以上の男女の2~6%、つまり約20人に1人がため込み症だと言われています。
ただ、ためこみ症は本人に自覚症状がないため、潜在的にはもっといると考えられています。
ためこみ症は2013年に発行された国際的な精神疾患の診断基準「DSM‐5」から、新たに分類された精神疾患です。
ちなみに、それ以前は「~をしないと不安だ」という強迫観念により特定の行動を繰り返してしまう「強迫性障害」の一つの症状として位置づけられていました。
ためこみ症には、以下の3つの特徴があります。
- 物を集めすぎる
- 物を手放せない
- 物を整理できない
それでは、3つの特徴を簡単に解説していきます。
【精神疾患の診断基準に関する記事】
物を集めすぎる
ためこみ症になると、物をたくさん集めることで喜びや心地よさを感じ、「物を入手したい」という衝動を抑えることが出来なくなります。
集めるものは価値のある・なし関係ありません。
お店やネットショッピングで購入することもあれば、無料の物やゴミを集めることもあります。
物を手放せない
ためこみ症になると、物に対して強い愛着を感じ捨てることができなくなります。
ためこみ症の人の中には、物がまるで自分の分身であるかのように感じるため、捨てるとなると自分の一部をもぎ取られているかのような苦痛を感じます。
上越教育大学大学院臨床心理コースの教授である五十嵐透子さんによると「ためこみ症の人は物を捨てることは、その物を使用していた思い出まで失うように感じる」と言います。
また、物であふれた空間は危険な世界から自分を守ってくれる“巣”や“繭”のようなものだと表現する人もいるそうです。
物を整理できない
ためこみ症になると、物の分類や整理・収納ができなくなります。
多くの人は衣類なら衣類、食器なら食器などと用途や目的に合わせて分類することができますが、ため込み症の人はそれが難しいです。
たとえば、スパゲッティを茹でる鍋とラーメンを茹でる鍋をそれぞれ別物と考えてしまうなど、「鍋」という同じカテゴリーに分類することが困難なのです。
ためこみ症の人は創造力が豊か
これまで多くのためこみ症の人と接してきた五十嵐教授は、ためこみ症の人は“創造的”だと言います。
五十嵐教授が出会った人の中には、トイレットペーパーの芯をたくさん集める女性や空き缶を集める男性がいました。
トイレットペーパーの芯は「望遠鏡」「ハブラシ置き場」「ハムスターが中に入って遊ぶための道具」として再利用するためでした。
空き缶を集めていた男性は、「空き缶でアートを創ろうと思っていた」と語ったそうです。
ただ、五十嵐教授が言うには、このような創造的なアイディアが実行に移されることはほとんどないそうです。
物を集めるとき、何かに利用できないかとアレコレ考えますが、何かしらの理由をつけて先延ばしにしてしまう傾向がためこみ症の人にはあるといいます。
「ためこみ症」と「コレクター」の違いとは?
僕は小さい頃よくペットボトルのジュースを買うと付いてくるフィギュアを集めていました。
他にも書籍や切手、骨董品などの特定の物を集める人を「コレクター」と呼びます。
「ためこみ症」と「コレクター」、どちらも物を集めるという行為をする人たちですが、その違いは集めた物を分類・整理できるかどうかです。
コレクターは集めた物を自分で整理して保管したり、かざったりします。
一方、ためこみ症の人は集めた物を生活空間に雑然と置きます。
それはためこみ症の人が、物が視界に入りやすい場所に並べて置いておく傾向があるためです。
まとめ
- ためこみ症は日常生活に支障が出るほど物をため込んでしまう精神疾患
- ためこみ症は本人が自覚することが難しい
- ためこみ症には「物を集めすぎる」「物を手放せない」「物を整理できない」という3つの特徴がある
- ためこみ症とコレクターの違いは物を分類・整理できるかどうか
ためこみ症は本人が自覚しずらい病です。
あなたの部屋を一度見渡してみてください。
- キッチンがキッチンとして使えていますか?
- ベッドの上に物がたくさんあって眠れないということはないですか?
もし、これらの質問に当てはまっている場合はためこみ症の可能性があります。
【参考文献】
科学雑誌「Newton」(2021/4)老いの教科書
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