物や動物などを問わず、色々なものを集めて日常生活に支障をきたしてしまう精神疾患「ためこみ症」
ためこみ症になると、部屋が本来もっている機能を使えなくなります。
たとえば、キッチンやクローゼット、ベッドの上が不要なもので埋め尽くされているため、料理もできなければ、衣類もしまえないし、ベッドの上で眠れないためどこか空いたスペースで眠るなど。
生活よりも物を優先したら、ためこみ症の疑いがあります。
しかし、他の精神疾患でもためこみ行動が見られる場合があります。
この記事では、ためこみ行動がみられる他の病気について解説していきます。
なお、ためこみ症の特徴、治療に関してはこちらの記事をご覧ください。
これってため込み症?ためこみ行動がみられる他の病気
ためこみ症は日常生活に支障をきたしてしまうほど物・動物をため込んでしまう精神疾患ですが、他にもためこみ行動がみられる病気があります。
【ためこみ行動がみられる他の病気】
- うつ病
- 強迫性障害
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 統合失調症
これらの病気の特徴とためこみ行動の特徴を解説していきます。
うつ病
「うつ病(英語:depression)」は不眠、食欲不振、意欲の低下、深い悲しみ、思考力の低下といった症状が2週間以上つづく精神疾患です。
好きな食べ物でも美味しいと思えなかったり、趣味をしているときも楽しいと感じなかったりします。
ちなみに、単なる“憂うつ”の場合は好きなものを食べると美味しいと思えますし、趣味をしている時は楽しいと感じることが出来ます。
「うつ病」と「憂うつ」の違いについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
うつ病になると、意欲や思考力が低下します。
そのため、物を処分したり、片づけたいと思っても、実行に移すことができず散らかってしまうことがあります。
強迫性障害
「強迫性障害(英語:obsessive–compulsive disorder)」とは、自分でもつまらないことだとわかっていてもそのことが頭から離れず、何度も特定の行動(強迫行為)をくりかえしてしまう精神疾患です。
特定の行動にはたとえば、何度も手を洗う、自宅のカギや火元を何度も確認するなどの行為があります。
他にも、物を集めたり手放せなくなってしまうことがあります。
それはあとで必要になって困ることへの不安や恐怖からくる、ためこみ行動です。
注意欠陥多動性障害(ADHD)
「注意欠陥多動性障害(英語:ADHD)」とは、物をよく失くすといった「不注意」やじっとしていられないといった「多動」がみられる精神疾患です。
ADHDになると、長時間におよぶ物の処分や片づけに集中することが難しくなります。
また、忘れてしまうことへの強い不安から、物を視界に入りやすいように並べて置く傾向がある。
【ADHDに関する記事】
自閉スペクトラム症(ASD)
「自閉スペクトラム症(英語:ASD)」とは、正常な社会的関係を構築することができず、言葉の使い方に異常がみられる、または全く言葉を使おうとせず、興味や行動のこだわり(かたより)がみられる精神疾患です。
こだわりが強いため、物の処分や整理を怠りがちになります。
また、ADHDとは異なり、物を並べるのではなく積み重ねて置く傾向がある。
統合失調症
「統合失調症(英語:schizophrenia)」とは、幻覚、妄想、脳の活動の低下、抑うつ状態になるといった症状がみられる精神疾患です。
幻覚や妄想によって、「この物を処分すると大変なことになる」などと考えて、物を処分しないことがあります。
また、脳の活動の低下によって意欲・気力も低下するため、片づけ自体が困難になる。
【統合失調症に関する記事】
ためこみ症は早期発見がむずかしい
ためこみ症は主に成人するまでの若い時期に発症することが多いとされています。
しかし、若い時期に発症したとしても使えるお金が限られているため買えるものが少ないし、部屋を散らかしても誰かが片づけてくれることが多いため、ため込み症だと発覚することが少ないのです。
また、ためこみ症は本人が「自分はためこみ症かもしれない」と自覚することがとても難しい。
なぜなら、ためこみ症の人は物を集めることで喜びや心地よさを得ており、物は片づけるもの・処分するものという認識がないため、部屋が物で溢れていても“普通”だからです。
ためこみ症の人はうつ病や注意欠陥多動性障害を併発する可能性が高いため、それらためこみ症以外の精神疾患で受診して初めて、自分がため込み症だと発覚することも多い。
まとめ
- ためこみ症は日常生活に支障をきたしてしまうほど物・動物をため込んでしまう精神疾患
- ためこみ症の他にも、「うつ病」「強迫性障害」「注意欠陥多動性障害」「自閉スペクトラム症」「統合失調症」などでためこみ行動がみられる
- ためこみ症は早期発見がむずかしい
- ためこみ症は本人が自覚することが困難で、併発している他の病気の診察で明らかになるケースが多い
【参考文献】
科学雑誌「Newton」(2021/04)老いの教科書
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1.これってためこみ症?ためこみ行動がみられる他の病気
2.ためこみ症は早期発見がむずかしい
3.まとめ