発達障害(ASD・ADHD)の人に向いている仕事・職場とは?

発達障害のある人の特性の一つとして、「能力の凸凹が大きい」ことが挙げられます。

つまり、自分の能力や特徴に合う仕事と合わない仕事の差が大きく現れるということです。

例えば、自閉スペクトラム症(ASD)の人は「人とコミュニケーションをとるのが苦手」という特性を持っていますが、そういった人がわざわざ苦手分野の営業職などを頑張ることは果たして適切でしょうか?

苦手な職種で無理をすることは、会社にとってもプラスになりませんし、何より本人が大きなストレスを感じ、うつ病などの二次障害も生じかねません。

 

苦手な職種に就くよりも、ASDの人の「自分の興味関心があることを追求できる」などの特性を生かせる仕事に就く方が、本人にとっても会社にとっても、win-winです。

そのためには、発達障害のある人と仕事・職場とのマッチングが非常に重要になります。

この記事では、マッチングのヒントになるように発達障害(ASD・ADHD)の人に向いている仕事・職場をご紹介します。

【ASD・ADHDの症状についてはこちらの記事をご覧ください】

 

発達障害(ASD・ADHD)の人に向いている仕事とは?

同じ発達障害の人でも“能力の凸凹”は異なるため、自分にマッチした仕事を探すには、まずは、その人の適性や特性を理解する必要があります。

ここでは、一般的に言われているASDとADHDの人に向いている仕事と向いていない仕事をご紹介します。

自閉スペクトラム症(ASD)の人に向いてる仕事と向かない仕事

自閉スペクトラム症(ASD)」の人は、人とコミュニケーションを取るのが苦手、マルチタスクが苦手、抽象的な表現を理解しにくいなどの特徴があります。

そんなASDの人に向いている仕事と向かない仕事は以下の通りです。

向いている仕事
  • 自分の興味関心を追求する仕事(研究職、特定分野のスペシャリストなど)
  • ルールや決まり事が明示的な仕事
  • ルールや決まり事が厳しく変化しにくい仕事
  • 定型的な業務
  • 自分のペースがある程度維持できる仕事
向いていない仕事
  • 変化が多く、不測の事態への対応が求められる仕事
  • 高い管理能力が求められる仕事
  • 接客業や営業職など高度な協調性やコミュニケーション能力が求められる仕事
  • 企画立案、調整や対人折衝が多い仕事
  • マルチタスクが求められる仕事

 

注意欠陥多動性障害(ADHD)の人に向いてる仕事と向かない仕事

注意欠陥多動性障害(ADHD)」の人は、注意力の乏しかったり、集中できる時間が短い、過剰な活動性や衝動性などの特徴があります。

そんなADHDの人が向いている仕事と向いていない仕事は以下の通りです。

向いている仕事
  • ユニークな発想が評価されるクリエイティブな仕事
  • 迅速な判断や決断が求められる仕事
  • 新規性があり、まだ多くの人が取り組んでいない仕事
  • 積極的なコミュニケーション力を生かす仕事
  • 短期的でも素早くエネルギッシュに行動することが求められる仕事
向いていない仕事
  • 継続した集中力が求められる仕事
  • 毎日あまり変化のない定型業務
  • 自由度が低く、決まられたことをこなしていかなけらばならない仕事
  • マルチタスクが求められる仕事

 

発達障害のある人が働きやすい職場とは?

Photo by Toa Heftiba on Unsplash

発達障害のある人が働き続けていくためには、ジョブマッチングと同様に「職場とのマッチング」も大切になります。

言い換えると、その職場が自分に合っているのかを考慮する必要があります。

 

日本国内には何百もの会社があり、社風や業務、企業理念、働いてる人など、一つとして同じ会社はありません。

発達障害のある人は多かれ少なかれ、周りのサポートや障害に対する理解が必要になります。

そのため、自分に合っている仕事を見つけてもその会社のサポート体制や障害に対する理解が不十分という場合もありますし、逆に場合もあります。

 

自分に完璧にマッチした職場を見つけることは難しいと思いますが、「どうしても譲れないもの」「ある程度は譲歩できるもの」などのバランスを上手くとる必要があります。

最後に

発達障害のある人はない人に比べて、マッチする仕事や職場は少ないかもしれない。

テトリスで例えると、発達障害のない人は「割とどこにでも置ける四角形」で発達障害のある人は「置き場所が限られる形」といった感じでしょうか。

Image by Tobias Kozlowski from Pixabay

でも、仕事や職場なんてそんなコロコロ変わるものでもないですし、多ければ良いってものでもありません。

たとえ少なくても自分に合う仕事・職場があれば良い。そして、それは必ずあります。

仕事をする上で重要なコミュニケーション方法や社会的なスキルを学んだり、自己理解を手伝ってくれる発達障害の方専門の就労支援施設もたくさんありますので、相談してみるのも良いかもしれません。

 

【参考文献】

渡辺 慶一郎(2020)大人の発達障害の理解と支援 金子書房

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tetsuya
北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師を取得。月に10冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。