うつ病などの精神疾患に高い効果があるとされる「認知行動療法」
認知行動療法には、認知的アプローチと行動的アプローチがあります。
現実の受け取り方を「認知」と言いますが、認知に働きかけてココロのストレスを軽くしていくアプローチを認知的アプローチと呼びます。
一方、行動的アプローチでは「行動パターン」に焦点をあてます。
人は何らかの状況になると、習慣化された行動パターンをとりますが、その行動パターンを望ましいものへ変えていくことでネガティブな気分を変えていきます。
この記事では、認知行動療法の行動的アプローチの一つ「行動活性化」について簡単に解説していきます。
【認知行動療法】行動を変えれば気分が変わる「行動活性化」とは?
行動活性化とは、行動を通してココロを元気にする認知行動療法の一つです。
人が行動をするとき、そこには必ず動機があります。
仕事をするのは生活費を稼いだり、社会に貢献するため。友人と飲みに行くのは日頃のストレスを解消したり、楽しい時間を過ごすためといった具合に。
そして人は辛いことがあったとき自分を守ろうと閉じこもる(回避行動)ことがあります。
これも閉じこもることで、「辛い状況から逃れることができる」という動機があります。
ただ、こういった回避行動を繰り返していると、現実に目を向けて問題解決をすることが難しくなり、「自分なんかどうせダメだ...」と自己肯定感も低下していきます。
自己肯定感が低下すると、さらに回避行動をとるようになるという悪循環が生まれます。
行動活性化ではこういった悪循環を打破するために、回避行動ではなく、ココロが晴れるような行動を意識的に増やしていきます。
行動活性化の特徴と効果
特徴
行動活性化は「行動パターン」に目を向けるので、客観的に見ることができ、具体的でわかりやすいという特徴があります。
また、理解しやすい分、認知的アプローチと比べると時間がかかりにくいです。
効果
行動活性化の効果が報告された論文があるのでご紹介します。
2006年に発表されたランダム化比較試験では、中等度~重度のうつ病の方では、薬物療法と行動活性化は同等に効果があったと報告されています。
ちなみにランダム化比較試験とは、被験者をランダムで「治療を施すグループ」と「治療を施さないグループ」に分けて比較し、治療の効果を調べる実験です。
治療の効果などを調べる実験の中でも、信ぴょう性が高い実験です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
行動活性化の進め方
人は通常、落ち込むと少し休んで気分転換することで立ち直ります。
行動活性化では、これを意識的に行っていきます。
行動活性化には以下のステップがあります。
- 活動記録表をつける
- 行動を計画する
- 行動の結果を振り返る
それぞれを簡単に説明していきます。
活動記録表をつける
まず、行動活性化では自分の行動を客観的に振り返るために「活動記録表」を用いて、いつ、どこで、誰と、どんなことをして、どう感じたのかを記録します。
行動を計画する
自分の行動が分かってきたら、望ましくない行動を減らし、望ましい行動を増やすように行動を計画します。
ただ、ある行動を減らしたり止めたりすることは大変なので、望ましい行動を増やす方が良いとされています。
行動の結果を振り返る
適応的な行動をとってみて、その結果を振り返っていきます。
「思ったよりも外出したら楽しかった、怖くなかった」などと思えたら、行動活性化が進んでいきます。
今までの生活に近づいていくことで、自信がついていきます。
このように行動活性化は、「行動」という外側から「認知」という内側に働きかける(アウトサイドイン)ようにして、治療をすすめていきます。
まとめ
- 認知行動療法には、認知的アプローチと行動的アプローチがあり、行動的アプローチの一つが「行動活性化」
- 行動活性化では行動パターンに焦点をあてて、意識的に望ましくない行動を減らし、望ましい行動を増やすようにする
- 行動活性化では、活動記録表を用いて自身の活動を客観的に振り返り、適応的な行動を計画・実行する
日々の小さな選択が行動となり、行動は習慣となる。そして、習慣はその人がどのような人生を歩むかを決めます。
あなたはどんな人生を送りたいですか?
【参考文献】
元住吉こころみクリニック「うつ病に効果的な行動活性化療法とは?」
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1.【認知行動療法】行動を変えれば気分が変わる「行動活性化」とは?
2.行動活性化の進め方
3.まとめ