という疑問にお答えします。
現代のストレス社会において、多くの人々がリラックスや癒しを求めてASMR動画に注目しています。
この記事では、最新の研究をもとに、ASMRが脳活動や気分にどのように影響を与えるのかを解説していきます。
【この記事を読んで分かること】
- ASMRはリラックス感をもたらす一方、脳波と気分への影響には個人差がある
- 活気が低下し、リラックスと眠気が減少することもある
- 緊張感が増すこともあり、ASMRの効果は必ずしもリラックスに繋がらない
ASMRとは?
ASMRの定義
ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)は、視覚や聴覚への特定の刺激により感じる、頭や首にかけてのチクチクとした静電気のような感覚を指します。
たとえば、誰かが耳元でささやく音や、髪を優しく梳かす音を聞くと、ゾクゾクしたり、心地よさやリラックス感を感じることがありますよね。
それです。
トリガーとなる要素
ASMRのトリガーとなる要素は、ささやき声、咀嚼音、水の流れる音、さらには紙を切る音や指で物をなぞる音など、さまざまです。
これらのトリガーは、人それぞれ感じ方が異なるため、ある人には心地よくても、別の人には効果がないこともあります。
たとえば、音楽と同様に、ある人はクラシック音楽でリラックスし、別の人はロックを好むのと同じです。
つまり、同じASMRでも、心地よく感じる人もいれば、不快に感じる人もいるかもしれないということですね。
最新研究で分かった脳と気分への影響
脳波測定の結果
ASMRが脳波にどのような影響を与えるのかを研究するために、動画を視聴している間に脳波を測定しました。
結果として、ASMR動画はリラックスを誘発するどころか、脳の緊張状態を高めることがあることが判明しました。
ASMRが単純にリラックスを促すものではなく、脳に一時的な刺激を与えることが影響している可能性があります。
これは、人が感覚に集中しすぎると逆にストレスを感じることがあるためです。
たとえば、静かな図書館で周りが静かすぎると、少しの音でも敏感に反応してしまい、逆に緊張してしまうことがあります。
ASMR動画も、視聴者が特定の音に過剰に反応することで、緊張してリラックスできなくなっている可能性があります。
気分状態への影響
気分状態についても、ASMR動画を視聴した後に活気が低下し、リラックス感や眠気が減少するという結果が得られました。
これにより、ASMRが必ずしもリラックスをもたらすわけではなく、逆に活動的でない状態を引き起こすことがあることがわかります。
疲れた時に一杯のエナジードリンクを飲んで元気になろうとしても、実際には体が重く感じることがあるのと似た感じですね。
まとめ
ASMRが脳や気分に与える影響について、今回の記事では最新の研究結果をもとに紹介しました。
リラックス効果が期待される一方で、緊張感が増す場合もあるなど、ASMRにはさまざまな反応があります。
ストレスの多い社会です。
自分に合ったASMR体験を見つけ、日常のストレス解消に役立ててみてください。
【あわせて読みたい】
【参考文献】
内田 壱成, 福塚 咲良, 矢野 朋美, 吉村 耕一(2021)ASMRが脳活動と気分状態に及ぼす影響 科学・技術研究 第10巻2号 2021年