子どもが生まれてすぐに、適切な行動がとれる人はいません。
誰もが試行錯誤しながら、親や友人などのサポートを受けて、親として成長していきます。
この記事では、親として最も必要な資質とは何なのか、そして、親になるとは一体どういうことなのかについて解説していきたいと思います。
なお、この記事は『家族の心理』を参考に執筆しています。
僕は大学の心理学科に通っており、人の心理に関する本をたくさん読んでいます。
その中でも、「サイエンス社」が出版している本はとても読みやすいと感じました。
よくありがちなのが、訳の分からない専門用語がたくさん並べてあって、「読者に理解させるつもりある?」ってくらいの分かりずらい言いまわしをする本です。
しかし、サイエンス社の本は心理に関する本を読み慣れていない人でも理解できる言葉で書かれているし、右側のページはその説明を補足するデータや図、コラムなどが書かれているので、より理解が深まります。
「心理について学びたいけど、どの本を読めばいいのか分からない」という方はサイエンス社が出版している本が良いと思います。
親として最も必要な資質とは?
あなたは親として必要な資質はなんだと思いますか?
子どもを養う経済力?
子どもに勉強を教えられるだけの学力?
子どもを優しく包み込む包容力?
これらの資質も必要ではありますが、一番ではありません。
最も必要な資質とは、自分中心から他者中心の生活に身を投じる能力です。
つまり、他者を中心に据えて他者の感情や必要性に自分を沿わせる行き方をするということです。
多くの人は生まれてずーっと自分中心の生活をしていて、自分が食べたいものを食べ、遊びたいときに遊び、寝たい時に寝ています。
しかし、子どもが生まれるとそうはいきません。
赤ちゃんの夜泣きで睡眠時間は削られますし、好きなときに遊びにいくことも出来なくなります。
親になるとはどういうことなのか?
かつて、女性には母性が生まれながらにして備わっていて、妊娠・出産をきっかけにそれが自動的に機能し始めると考えられていました。
しかし、現在では他者と関わる経験を通して後天的に学習する部分が大きいと考えられるようになりました。
親になると起こる変化
白百合女子大学の柏木恵子さんと東京女子大学の若松素子さんが1994年に出した『「親となる」ことによる人格発達・生涯発達的視点から親を研究する試み』によると、以下の変化がみられました。
柔軟さ
- 角がとれて丸くなった
- 考え方が柔軟になった
- 色々な角度から物事を見るようになった
- 他人に対して寛大になった
- 精神的にタフになった
自己制御
- 他人の迷惑にならないように心がけるようになった
- 自分のほしいものなどを我慢できるようになった
- 他人の立場や気持ちをくみとるようになった
- 自分本位の考えや行動をしなくなった
- 倹約するようになった
視野の広がり
- 日本や世界の将来について関心が増した
- 環境問題(大気汚染・食品公害など)に関心が増した
- 児童福祉や教育問題に関心をもつようになった
- 一人一人がかけがえのない存在だと思うようになった
- 協力することの大切さがわかるようになった
運命・信仰・伝統の受容
- 物ごとを運命だと受け入れるようになった
- 運の巡りあわせを考えるようになった
- 常識やしきたりを考えるようになった
- 伝統や文化の大切さを思うようになった
- 人間の力を越えたものがあることを信じるようになった
生きがい・存在感
- 生きている張りが増した
- 長生きしなければと思うようになった
- 自分がなくてはならない存在だと思うようになった
- より計画的になった
- 一人前になった気がした
自己の強さ
- 多少他の人と摩擦があっても、自分の主張は通すようになった
- 自分の立場や考えはちゃんと主張しなければと思うようになった
- 物ごとに積極的になった
- 目的に向かって頑張れるようになった
- 妥協しなくなった
最後に
今年、僕の友人家族に赤ちゃんが生まれました。
色んな話を聞かせてもらいましたが、めちゃめちゃ大変そう。
赤ちゃんの写真を見せてもらって、「可愛い~」って言ってる自分には想像できないくらい苦労しているんだろうな。
頑張れ!友人!
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参考文献
『「親となる」ことによる人格発達・生涯発達的視点から親を研究する試み』柏木恵子・若松素子 発達心理学研究 1994年
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親としての資質は後天的に備わる部分も多いのですね!勉強になりました!ありがとう!