あなたが毎日食べている「超加工食品」が、体の老化を早めるかもしれないと聞いたらどう思いますか?
日常的に食べているスナックやインスタント食品が、実は健康に悪い影響を与えていることがわかっています。
この記事では、超加工食品と体の老化の関係について、わかりやすく説明します。
【この記事を読んで分かること】
- 超加工食品(UPF)をたくさん食べると、生物学的老化が早まる。
- 加工度の高い食品は栄養が少なく、体に悪い影響を与える可能性がある。
- 地中海食のようなバランスの良い食事をとることで、老化への影響を軽減できる。
- 健康的な食事を心がけることが、私たちの体を老化から守るための第一歩。
あなたの毎日の食事が老化を加速させている!超加工食品の落とし穴
あなたは朝食に何を食べていますか?
最近の研究でベーコンや甘いシリアルなどの超加工食品は老化を早める可能性があることがわかりました。
超加工食品って何?
超加工食品(Ultra-Processed Foods, UPF)は、工場で作られた食品で、味や保存性を高めるために多くの添加物が使われています。
以下は、超加工食品の代表的な例です。
- スナック菓子(ポテトチップス、コーンスナックなど)
- インスタント食品(インスタントラーメン、カップ麺など)
- 冷凍ピザや冷凍食品
- ソーセージやベーコンなどの加工肉
- 菓子パン(クリームパン、デニッシュなど)
- 甘いシリアル(チョコレート味や砂糖がまぶされたシリアル)
- 市販の焼き菓子(クッキー、マフィンなど)
- ソフトドリンクやフルーツジュース(人工甘味料や砂糖が多く含まれているもの)
- フレーバーヨーグルト(添加物や砂糖が多く含まれるもの)
- 即席スープ(カップスープ、粉末スープ)
- 調味料(市販のサラダドレッシング、マヨネーズ、ケチャップなどの加工品)
これらの食品は、多くの人工的な調味料や保存料を使って作られており、砂糖、塩、脂肪が多く含まれていて、ビタミンやミネラル、食物繊維が少ないのが特徴です。
つまり、体に必要な栄養がほとんど含まれていないのです。
超加工食品は、比較的安価で手軽に食べられる食品ですが、私たちの体にとってはあまり良くないことが多いのです。
加工食品と超加工食品の違い
1. 加工食品
加工食品は、新鮮な食品に何らかの加工が加えられた食品のことを指します。
この加工は、保存を長くしたり、調理を簡単にしたりするために行われます。以下が加工食品の主な特徴です。
加えられる加工がシンプル:食品に塩、砂糖、油などを加えたり、乾燥させたり、発酵させたりするなど、比較的シンプルな加工が行われます。
例:缶詰のトマト、冷凍の野菜、干し果物、ヨーグルト、漬物、チーズなどが該当します。
これらの食品には栄養素が残っており、比較的健康に良いとされています。
加工食品は新鮮な食品を少しだけ長持ちさせたり、調理を便利にしたりするために加工されていますが、基本的な栄養素が保たれていることが特徴です。
2. 超加工食品
超加工食品(Ultra-Processed Foods, UPF)は、工場での大量生産によって作られる、複雑な加工が施された食品です。以下が超加工食品の主な特徴です。
多くの添加物が使用される:人工的な保存料、香料、甘味料、着色料、増粘剤など、多くの添加物が含まれています。これにより、味をよくしたり、保存性を高めたりしています。
栄養が少ない:超加工食品には砂糖や塩、脂肪が多く含まれており、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養は少ないです。そのため、長期的に健康に悪影響を与える可能性があります。
例:スナック菓子(ポテトチップスなど)、インスタントラーメン、冷凍ピザ、クッキー、ソーセージ、ファストフード、甘いシリアル、ジュースのように、添加物を多く含む食品が該当します。
超加工食品は「すぐに食べられる」「味が良い」「長期間保存できる」といった便利さがありますが、その代わりに栄養価が低く、健康に悪影響を与える可能性が高いとされています。
生物学的老化とは?
生物学的老化とは、年齢の進行に伴う体の機能的な老化を意味します。
同じ年齢でも、人によって老化の進み方は異なります。
例えば、50歳の人でも、生物学的には40歳程度の健康な体を持っている人もいれば、逆に60歳以上の老化が進んでいる人もいます。
生物学的老化は、体の健康状態をより正確に示しているのです。
血液のバイオマーカーを使って生物学的年齢を測ることで、体の老化具合を知ることができます。
バイオマーカーとは、体の中で何が起こっているかを示す指標のようなもので、例えば血糖値やコレステロール値などがその一種です。
これらの値を基にして、生物学的年齢を計算することができます。
研究の目的と方法
研究の目的
この研究では、超加工食品を食べると体の老化にどんな影響があるのかを調べました。
また、地中海食のような健康的な食事がこの影響をどれだけ減らせるかについても検討しました。
超加工食品の摂取が体にどれほど悪影響を与えるのか、そして健康的な食事がその悪影響をどれだけ軽減できるのかを明らかにすることが目的です。
研究の内容と対象者
この研究は、2005年から2010年にイタリアで行われた「Moli-sani Study」という大規模な調査のデータを使用しています。
対象者は22,495人で、食事に関する質問票を用いて、超加工食品の摂取量を評価しました。
この調査では、参加者に日々どんな食品をどれくらい食べているかを詳しく質問し、その結果から超加工食品の摂取量を分析しました。
また、参加者の年齢や性別、生活習慣についても詳しく調査することで、食事の影響がどのように現れるのかをより正確に分析しました。
例えば、超加工食品を多く食べる人の生活スタイルや健康状態も合わせて調査し、より正確な結果を得ることができました。
生物学的年齢の測り方
生物学的年齢は、血液中の36種類のバイオマーカーを用い、深層ニューラルネットワークという技術を使って計算されました。
生物学的年齢と実際の年齢の差(Δage)を使って、老化の進み具合を評価しました。
Δageがプラスであれば生物学的に年齢より老化が進んでいることを意味し、マイナスであれば実際の年齢よりも若々しい体であることを示します。
深層ニューラルネットワークとは、コンピュータが人間の脳のように学習してデータを分析する技術です。
この技術を使うことで、多くのバイオマーカーのデータから生物学的年齢を正確に予測することが可能です。これにより、体の老化の進み具合を客観的に評価することができました。
結果(超加工食品と老化の関係)
研究の結果、超加工食品を多く食べると体の老化が早く進むことがわかりました。
具体的には、超加工食品の摂取量が10%増えるごとに、生物学的年齢が約0.34年早まるという結果が得られました。
これは、例えばポテトチップスやインスタントラーメンなどを多く食べる人は、体の老化が実際の年齢よりも進んでしまうということを意味します。
また、この影響は若い人だけでなく、中高年の人たちにも見られました。
つまり、年齢に関係なく、超加工食品を多く摂取することは体に悪影響を与える可能性があるのです。
この結果から、超加工食品の摂取を減らすことが体の健康を守るために非常に重要であることがわかります。
超加工食品による恐ろしい悪影響
超加工食品は、老化を早める他にも心臓病、がん、早死のリスクと関連があります。
また、最近の研究では、超加工食品の摂取が脳の健康に悪影響を与える可能性が示されました。
10,000人以上の中年成人を対象にした研究で、日々の摂取カロリーの20%以上を超加工食品から得ている人は、10年で認知機能が低下するリスクが増加していました。
日常生活でできること
毎日の食事では、できるだけ超加工食品を避け、地中海食のようなバランスの良い食事を心がけることが大切です。
例えば、新鮮な野菜や果物、全粒穀物、オリーブオイルなどを積極的に取り入れると、老化を遅らせることが期待できます。
また、加工食品を選ぶ際には、成分表を確認して、添加物の少ない商品を選ぶようにしましょう。
さらに、自分で料理をすることもおすすめです。
自分で料理をすることで、何を使っているかを把握でき、添加物を避けることができます。
例えば、簡単なサラダやスープを作ることで、新鮮な食材を使った健康的な食事を楽しむことができます時間がないときでも、オリーブオイルを使って野菜を炒めるだけで、簡単で栄養価の高い料理が作れます。
超加工食品は手軽でおいしいですが、健康を考えるとその摂取を減らすことが重要です。
食事は体を作る基本です。だからこそ、毎日の食生活を少しずつ見直して、健康的な選択をすることで、体の老化を遅らせ、より健康的な生活を送ることができます。
超加工食品をどう置き換えるか
以下のような点を意識して、超加工食品を置き換えると良いと思われます。
朝食
砂糖が少ないシリアルを選び、ベーコンやソーセージの代わりにフルーツサラダを添えて食べましょう(ラベルを確認してください)。
飲み物
清涼飲料水や市販のお茶、フルーツ飲料の代わりに、無糖のコーヒーや紅茶、または普通の水や炭酸水(柑橘類の果汁やスライスを加えると良い)を飲みましょう。
ランチミート
デリミートの代わりに、脂肪の少ない豚肉や牛肉、皮なしのチキンやターキーを選びましょう。
おやつ
チップスやクラッカー、その他の塩辛いお菓子の代わりに、生野菜やハーブで味付けしたポップコーンを食べましょう。
夕食
冷凍のチキンナゲットを温める代わりに、魚をグリルしたり、焼いたり、フライパンで焼いたり、チキンをローストしましょう。
また、サラダを作ったり、ソースやチーズなしで野菜を蒸したり、フライドポテトやインスタントラーメン、マカロニチーズの代わりに、玄米やブルグル、小麦を炊きましょう。
デザート
アイスクリームやクッキー、キャンディー、パッケージされたケーキなどの代わりに、ベリー類、フルーツサラダ、またはリンゴ、バナナ、オレンジ、桃、その他の新鮮な果物を楽しみましょう。
超加工食品の問題はマーケティングや社会構造の問題
超加工食品は、企業によって積極的に宣伝されており、テレビやネットの広告、ソーシャルメディア、雑誌など、さまざまな場面で目にします。
マーケティングは特に子どもや若者をターゲットにしていることが多く、カラフルなパッケージやおまけ付きの商品が人気です。
また、「手軽においしい」「すぐに食べられる」というメッセージが強調されていて、時間がない人や手間をかけたくない人にとって魅力的に感じるように工夫されています。
このような宣伝活動によって、超加工食品は多くの人にとって身近な選択肢となっています。
超加工食品が広く普及しているのは、社会構造の影響も大きいです。
現代社会では、仕事や家事、育児などで忙しい人が増えており、時間がない中で「手軽に食べられる食品」が必要とされています。
超加工食品は調理が不要で、そのまま食べられるため、忙しい人々にとっては便利な選択肢です。
また、超加工食品は比較的安価で、経済的に厳しい状況にある家庭でも手に入りやすいことから、低所得層の間で特に多く消費されています。
新鮮な野菜や果物、魚などの健康的な食品は高価であることが多く、これらを毎日取り入れるのは難しいという現実があります。
このため、超加工食品に頼る人々が増えています。
さらに、都市部の生活スタイルやライフスタイルの変化も影響しています。
都市ではファストフード店がたくさんあり、手軽に購入できるため、超加工食品の消費が増えています。
一方で、自然食品店や新鮮な食材を取り扱うお店は少ないことが多く、健康的な選択が難しい環境が作られています。
まとめ
超加工食品を全く食べないというのは、難しいかもしれませんが、日々の食事から少しでも減らすことを意識するのが大事です。
日々の食生活を少しずつ見直し、健康的な選択をすることで、体の老化を遅らせ、より長く健康的な生活を楽しむことができるでしょう。
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【参考文献】
Esposito, S., Gialluisi, A., Di Castelnuovo, A., Costanzo, S., Pepe, A., Ruggiero, E., De Curtis, A., Persichillo, M., Cerletti, C., Donati, M. B., De Gaetano, G., Iacoviello, L., Bonaccio, M., Iacoviello, L., De Gaetano, G., Donati, M. B., Cerletti, C., Bonaccio, M., Bonanni, A., … Bonanni, A. (2024). Ultra-processed food consumption is associated with the acceleration of biological aging in the Moli-sani Study. American Journal of Clinical Nutrition.
1.あなたの毎日の食事が老化を加速させている!超加工食品の落とし穴
2.研究の目的と方法
3.超加工食品による恐ろしい悪影響
4.日常生活でできること
5.超加工食品の問題はマーケティングや社会構造の問題
6.まとめ