「一万時間の法則」をご存知でしょうか?
「一万時間の法則」は「ある分野において世界的な一流、エキスパートになるには、一万時間の練習や実践が必要」というものです。
この法則はアメリカのジャーナリスト、マルコム・グラッドウェル氏の著書「天才!成功する人々の法則(原題:Outliers)」の中で唱えられた法則です。
当時から賛否両論あったようですが、いよいよ疑わしくなってきました。
この記事では、スキルを習得するのに必要な時間が一万時間だと導き出された背景とその信憑性について解説していきます。
「一万時間の法則」は正しくない?そもそもなぜ「一万時間」なの?
「一万時間」と言われても、なかなか想像が出来ないと思います。
一万時間は毎日6時間練習したとしても4年半かかります。
では、どのように”一万時間”というマジックナンバーを導きだしたのでしょうか?
マルコム氏はアンダース・エリクソン氏の研究をベースに本を書きました。
アンダース氏の研究では、ある分野におけるエキスパート達の練習時間を調べ、それを平均するとおよそ一万時間だったそうです。
しかし、「平均」には罠が潜んでいます。
平均年収とかの場合もそうですが、
A地域の住民の年収 | B地域の住民年収 |
500万円 | 400万円 |
500万円 | 150万円 |
500万円 | 200万円 |
500万円 | 700万円 |
500万円 | 1050万円 |
この場合、「A地域」も「B地域」も平均年収は500万円です。
平均は各データの合計をデータの数で割って求めるので、他の数字から大きく離れた外れ値(B地域で言うと、「150万円」や「1050万円」)の影響をもろに受けます。
エキスパート達の練習時間も一万時間よりももっと練習した人もいれば、一万時間よりずっと少ない練習時間だった人もいました。
このように平均値というのは、極端な値を含んでいるグループの場合は、あまり当てにならないのです。
「一万時間の法則」の信憑性
結論から言うと、誰でも一万時間で専門分野のエキスパートになれるという「一万時間の法則」は正しくありません!
「一万時間」を導き出した方法もですが、マルコム氏は「練習の量」ばかりに注目して、「練習の質」のことは考えなかったことが問題です。
実際、「練習の量」がスキル習得に及ぼす影響について調べた分野で最大のメタ分析によると、練習はスキル習熟に及ぼす影響は12%しかありませんでした。
信憑性ランキングをつくると、以下のような順になります。
【信憑性ランキングに関する記事はこちら】
最後に
プロ野球選手になりたくて、一万時間サッカーの練習につぎ込んでも、プロ選手には恐らくなれませんよね?
これは極端な例ですが、ある専門分野でエキスパートになるには「正しい方向性」が重要です。
全然関係のないこと、間違った練習法をどれだけやっても、無駄です!
もし何かを極めたいのなら、がむしゃらに練習せずに、「どうすればエキスパートになれるのか?」「この方法で正しいのか?」と自問し、分析していきましょう。
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