記憶のメカニズムを理解しよう!記憶のしくみを分かりやすく解説

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人間は毎日、たくさんのことを記憶しています。

しかし、あなたは記憶がどんなプロセスを経て、頭に定着するか考えたことがありますか?

 

学んだことがスイスイ頭に入ってくる人もいれば、勉強や仕事で何かを覚えなければいけないのに、なかなか覚えられずに苦しむ人もいます。

そんななかなか覚えられずに苦しんでいる人にこそ、記憶のメカニズムを理解して欲しいです。

 

急激に記憶が出来るようになる!という訳ではありませんが、何かの手掛かりにはなります。

ぜひ最後まで読み進めてみてください。

 

記憶のメカニズムを理解しよう!記憶のしくみを分かりやすく解説

Image by Pexels from Pixabay

人間の記憶のメカニズムは認知心理学や学習心理学の分野で数多くの研究がなされてきました。

この研究の成果は心理学の世界だけではなく、僕たちの日常生活にも活かせる知識が溢れています。

 

記憶は「記銘」「保持」「再生」という3つのプロセスから成り立っています。

 

【心理学の種類に関する記事はこちら】

 

情報をインプットする「記銘」

記銘」は記憶の最初の段階です。

 

人は常に外からの刺激に晒されています。

人間は視覚に頼っている生き物なので、大半の情報というのは目から入ってくる訳ですが、そういった情報は電気信号として神経を通り、脳に到達します。

そして、脳で必要な情報と不要な情報を分けて、不要な情報は忘れ去られます。

 

情報の「重要度」や「好感度」は記銘の成功率に影響を及ぼします

つまり、嫌々勉強しているよりも、自分が好きで勉強しているときの方が覚えられるという訳です。

 

また、記銘するときの感情や状況も影響します。

楽しい気分の時は、過去の楽しい思い出が思い出されやすいですし、気分が落ち込んでいる時は、悲しい思い出が頭に浮かびやすいです。これを「気分一致効果」と呼びます。

 

また、記銘した状況と記憶を思い出す状況が同じだと、その記憶の思い出しやすいという感情状態依存効果というのもあります。

例えば、お酒を飲んでいる時は、過去にお酒を飲んでいる時のことを思い出しやすいということですね。

 

情報を保つ「保存」

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記銘に成功すると、「保存」の段階に入ります。

 

この段階では、インプットしたことを何度も復習(リハーサル)をして忘れないようにします。

復習をしなければ、脳は不要な情報だと判断して、記憶の彼方に行ってしまいます。

 

ちゃんと復習することで、すぐに忘れてしまう「短期記憶」から、ずっと記憶が定着する「長期記憶」に移動します。

 

復習方法には2種類あります。

1つ目が「維持リハーサル」です。

例えば、「子供・水筒・ピクニック」という言葉を覚えたいとすると、「子供・水筒・ピクニック、子供・水筒・ピクニック...」と単純に復唱して覚える方法です。

 

2つ目が「精緻化リハーサル」です。

これは「子供が水筒を持ってピクニックに行く」などと単語同士を関連付けて、覚える方法です。

維持リハーサルよりも精緻化リハーサルの方が長期記憶に移動しやすいことが分かっています。

 

情報をアウトプットする「再生」

情報をアウトプットする「再生」

いよいよ記憶のメカニズム最後の段階「再生」です。

 

この段階は、保存した記憶を思い出す段階です。

「記銘→保存→再生」の3段階が成功して初めて記憶が定着したと言えます。

 

「あれっこの映画俳優の名前何だっけ?」と答えが喉元まで来ているのに、思い出せないもどかしい気持ちを誰もが体験したことがあると思います。

その状態を「ティップ・オブ・ザ・タン状態」と言います。

 

記憶はいくつもの階層に分かれている!?

記憶は、保持される時間の長さによって、

  1. 感覚記憶
  2. 短期記憶
  3. 長期記憶

の3種類に分かれていると考えられています。これを「多重記憶モデル」といいます。

 

視覚・聴覚・嗅覚などの感覚器官から得た刺激は、感覚記憶として一瞬だけ記憶されます。

間隔記憶の保持時間はたったの0.5秒ほどです。

 

僕たちはこの感覚記憶から意識的に記憶に留めておこうとした記憶を脳の海馬という部位に送り、それが短期記憶として保存されます。短期記憶の容量はそれほど多くありません。

 

人によって差はありますが、ランダムな数字なら7±2文字くらいが限界だとされています。7にちなんで「マジカルナンバー7」と呼ばれます。

短期記憶が持続する時間は、数十秒ほどです。

 

短期記憶を維持リハーサルや精緻化リハーサルを繰り返すことで、長期記憶として保持されます。

長期記憶はそう簡単には失われない、非常に安定した記憶です。

 

【記憶の種類に関しては記事はこちら】

 

最後に

記憶には他にも1時間学習するとしたら、始めと終わりに学習したことが記憶に定着しやすいという「系列位置効果」があったり、記憶が残りやすい時間帯(記憶のゴールデンタイム)などもあります。

 

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

何歳になっても、学ばなければいけないことはあります。

 

そんな時、記憶のメカニズムを知っておくと、少しは記憶の定着が進むと思うので、これを参考にしていただければと思います。

 

【あわせて読みたい】

 

【参考文献】

『Newton』2019/12号

 

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