【直感 vs 論理】毎日の決断を左右する2つの思考プロセス

 

私たちは日常生活の中で意思決定を行っています。

その数はなんと、一日に3万~5万回にものぼると言われています。

 

しかし、その決定はどのようにして行われているのでしょうか?

心理学者ダニエル・カーネマンは、私たちの思考には「システム1」と「システム2」という2つのプロセスが存在すると提唱しました。

本記事では、これらのシステムを活用し、より良い意思決定を行うための方法を解説します。

 

【この記事を読んで分かること】

  • 人間の思考には「システム1」と「システム2」がある。
  • システム1は直感的で迅速な判断を行い、システム2は論理的で精度の高い判断を担う。
  • 確証バイアスやハロー効果など、システム1の誤りに注意が必要。
  • システム1とシステム2をバランスよく使うことが重要。

【直感 vs 論理】毎日の決断を左右する2つの思考プロセス

【直感 vs 論理】毎日の決断を左右する2つの思考プロセス
Image by Gino Crescoli from Pixabay

「システム1」と「システム2」の特徴

システム1は、私たちが普段、無意識に行っている直感的な思考を担当しています。

これには簡単な計算や、直感的な判断が含まれ、努力を必要としないのが特徴です。

例えば、誰かの表情を見てその人が怒っているかどうかを即座に判断することは、システム1の働きです。

 

一方、システム2は複雑な計算や論理的な思考を行うために使われます。

システム2を使うときは、私たちは意識的に努力し、集中力を使います

たとえば、株式投資の分析や、長期的なライフプランを考える際に、このシステム2が活躍しますが、使うと疲れやすいという特徴もあります。

「システム1」と「システム2」の関係

普段の生活では、私たちは効率を求めたり、認知的なエネルギーを節約するために、システム1を多く使用します。

 

しかし、直感に基づくシステム1の判断は、時には誤った結果を招くことがあります。

重要な意思決定を行う際には、システム2を活用する必要があります。

 

直観に基づく「システム1」の短所

直観に基づく「システム1」の短所

システム1は私たちの日常的な意思決定において非常に便利な役割を果たしますが、その反面、誤った判断を引き起こしやすいという短所もあります。

直感に頼りすぎることで、特定のバイアスや思い込みに囚われることがあるのです。

 

ここでは、システム1がもたらす代表的な誤りや落とし穴を紹介し、それらを避けるためのポイントを考えてみましょう。

確証バイアス

確証バイアスは、システム1がもたらす一般的な問題です。

確証バイアスとは、自分の考えや信念を裏付ける理論や情報だけを集めてしまう心理傾向で、先入観や視野が狭くなることを指します。

例えば、大企業に就職することが成功の証だと信じている場合、その企業の欠点を無視し、利点ばかりを強調する傾向があります。

ハロー効果

第一印象がその後の評価に影響を与えるハロー効果も、システム1の特徴です。

たとえば、誰かが非常に優秀なプレゼンテーションをしたとすると、その人が他の分野でも優秀だと感じることが多いのです。

実際には、その人の他のスキルが未知である場合もありますが、私たちの脳は第一印象に基づいて全体像を評価してしまうのです。

プロスペクト理論

プロスペクト理論は、私たちがリスクを避けるために非合理的な判断をする傾向を示しています。

たとえば、投資やギャンブルにおいて、損失が確定してしまう前に無理に続けてしまう「損切りの難しさ」も、この理論に関連しています。

 

意思決定の重要性

意思決定の重要性

私たちが最適な判断を行うためには、システム1とシステム2をバランスよく使うことが必要です。

日常のちょっとした決定はシステム1に任せても良いですが、重大な決断の際にはシステム2を活用することで、より慎重な判断ができるでしょう。

日常生活への応用

例えば、新しい仕事を選ぶ際には、確証バイアスやハロー効果に注意することが重要です。

私たちは、見た目や表面的な魅力だけで判断しがちですが、時間をかけて情報を精査することが大切です。

 

直感を全く信頼しないのも問題ですが、それだけに頼るのはリスクがあります。

直感を信頼しつつも、重要な決定を下す際には、システム2を使ってその直感を検証するという姿勢が求められます。

 

直感を活用する方法

直感の利点と欠点

システム1による直感的な判断は、スピードが必要な場面で非常に有効です。

例えば、緊急時に即座に行動を起こす必要がある場合、直感は頼りになるツールです。

 

直感は全ての状況において有効ではありませんが、特定の場面では大いに役立ちます。

重要なのは、いつ直感に従い、いつシステム2を使うべきかを見極めることです。

バランスよく両者を使い分けることで、効果的な意思決定ができるようになります。

 

まとめ

システム1とシステム2を理解し、日常生活での意思決定に活用することで、より良い結果を得ることができます。

システム1の短所に注意を払いながら、重要な決定にはシステム2を活用することが重要です。

さらに学びを深めたい方は、関連書籍や動画を参考にすることをオススメします。

 

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【参考文献】

俊野 雅司(2012)【書 評】『ファスト&スロー(上・下)』ダニエル・カーネマン[著],村井章子[訳],早川書房

 

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tetsuya
北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師を取得。月に10冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。