【嫌悪の心理学】嫌悪の種類と役割。嫌われる人の特徴を解説

人は誰しも他人から嫌われたくないし、誰かを進んで嫌うこともしないでしょう。

嫌いになる対象は他人だけではなく、自分に向く、つまり自己嫌悪に陥る場合もあります。

誰かを嫌う、誰かから嫌われるのはもちろんのこと、自分自身を嫌いになることもとても辛いことです。

 

「嫌悪」という感情がなければ、こんな辛くなることもない。

そう考えることもあるかもしれません。

 

そもそもなぜ、人に嫌悪という感情が備わっているのでしょうか?

この記事では、そんな疑問を解決し、嫌悪の種類や嫌われる人の特徴を解説します。

 

【嫌悪の心理学】嫌悪の種類と役割。嫌われる人の特徴を解説

【嫌悪の心理学】嫌悪の種類と嫌われる人の特徴を解説
Image by Gino Crescoli from Pixabay

人は日常生活において、咳き込む人や排泄物に対して不快感を感じ、なるべく近づかないようにします。

このような感情を嫌悪といい、疾患予防などにおいて重要な役割を担っています(天野,渡邊, 2020)。

 

嫌悪という感情を研究した第一人者であるアメリカのポール・ロジン博士は、人間がもっている嫌悪の感情は三段階に分かれていると言います。

三段階とは、「中核嫌悪」「動物性嫌悪」「道徳性嫌悪」です。

 

それぞれ簡単に説明していきます。

中核嫌悪

人には、苦味や酸味を避けようとする傾向があります。

人体に有害な物質はアルカリ性で苦味を感じるものが多いことと、細菌が繁殖している腐敗物は酸味を感じるものが多いからです。

そのため、人は苦味や酸味を感じるものを体内に入るのを避ける役割が備わっており、そのことを「中核嫌悪」と呼びます。

そこから派生して、吐き気をもよおすような臭い、生き物の体液や排泄物、ヘビやゴキブリといった特定の生き物などに対する不快感も中核嫌悪に含めることが多いです。

 

中核嫌悪には、自分のカラダを有害な物質や病原体から守る役割(行動免疫システム)があります。

 

動物性嫌悪

人は身体の損傷や奇形、臓器や血液、死体、一部の性的な言動などに対する不快感を感じます。

これは動物的な物事に対する嫌悪であることから、「動物性嫌悪」と呼ばれています。

 

動物性嫌悪は、「私たち人間は他の動物とは異なる人間らしさを持っている」という精神的な尊厳を保つのに役立っています。

 

道徳性嫌悪

道徳性嫌悪とは、嘘つき・盗み・不誠実な行為・横暴な態度などのほか、その人が所属する社会のルールに反する物事に対する不快感のことです。

所属している文化や宗教、組織、集団などによってさまざまで、多くの場合は人間に対する嫌悪感です。

 

道徳性嫌悪は、社会のルールを徹底して、社会秩序を維持する役割があります。

 

人はどんな人を嫌うのか?

人はどんな人を嫌うのか?

筑波大学大学院 心理学研究科の金山富貴子さん は日常生活の中で実際に生じた対人嫌悪(人間関係における「嫌う」「嫌われる」)に焦点をあてて、 その嫌悪の原因について検討を行いました。

金山 (2002) は、 回答者に自身の所属する社会的集団の中に実際いる嫌いな人を1人挙げるよう求め、 その人が嫌いな原因として、あてはまると回答した項目について因子分析を行いました。

 

その結果、 対人嫌悪の原因が以下の10個抽出されました。

  1. 「横暴な言動」‐人を傷つけるような無神経な言動など
  2. 「マナーの欠如」‐最低限の礼儀やマナーのない言動など
  3. 「尊大な言動」‐自尊心の高さや威張った言動など
  4. 「計算高い自己演出」‐他者からよく思われるような自己演出をするなど
  5.  「内向的な雰囲気」‐全体的に消極的で内向的な雰囲気など
  6. 「不愉快な言動」‐知性の低さや仕草などが不愉快であるなど
  7. 「互いの相違」‐互いの趣味や価値観が合わないなど
  8. 「自分への否定的態度」‐嫌悪者に対する拒否的な態度など
  9.  「非魅力的な外見」‐外見や服装が魅力的でないなど
  10. 「ずうずうしさ」‐他者の意向を気にしない関わり方をするなど

⑧「自分への否定的態度」とあることから、自分が嫌う相手も自分のことを嫌う傾向があり、嫌悪は双方向的な性質があることが分かります。

 

また、⑦「互いの相違」とあるように人は自分と価値観などが合わない人を嫌悪の対象にすることがありますが、逆に自分と似ている人を嫌悪することがあります。

それは、自分とDNAが似た個体と子孫を持つと、遺伝的疾患のリスクが高くなるため、本能的に避けているのかもしれないですね。

 

対人嫌悪の原因を見てみると、ほとんどが道徳性嫌悪であることが分かります。

立命館大学総合心理学部教授の岩壁 茂さんは次のように言っています。

自分がどのような人に嫌悪を感じるかは、自分自身が大事にしている秩序やルールが大きく反映されている。

自分が何を大切にしているか分からない、という方は自分が嫌いな人を思い浮かべてみて、どうして嫌いなのかを考えると、大切にしていることが分かると思います。

 

まとめ

「嫌う」「嫌われる」のは、精神的に負荷がかかる辛いことだと思います。

ただ、嫌悪という感情は誰もが持っていて、生きていくのに必要な感情の一つです。

「嫌悪」という感情から目を背けずに、向き合うことで自分自身の理解にも繋がります。

 

【引用文献】

天野 夏葵 ・渡邊 克巳(2020) 「視覚的嫌悪感がもたらす接触忌避反応」信学技報, vol. 119, no. 394, HCS2019-65, pp. 65-69, 2020年1月.

金山富貴子(2002)「 対人嫌悪原因の構造 」日本心理学会第66回大会発表論文集, 140

科学雑誌「Newton」(2022/6)「数学教養教室 指数・対数編 嫌われる心理学」

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tetsuya
北海道在住の35歳。 元ホテルマン。30歳で一念発起して、大学に入り直し、心理学を学ぶ。医療機関で実務経験を積んだのち、公認心理師を取得。月に10冊以上本を読んだり、論文を読み漁ったりして得た知識をブログでシェアします。