
と、育児の合間にスマホやタブレットを見せてしまうこと、ありませんか?
実は最近、Drexel大学と福井大学の共同研究で、幼児期のスクリーンタイムがADHDや自閉症に関連する感覚処理の困難さと結びついている可能性が明らかになりました。
この記事では、最新の研究データをわかりやすく紹介し、今日からできるスクリーンタイムの減らし方まで具体的にお伝えします。
「うちの子は大丈夫?」という不安を、正しい知識と実践的な対策に変えましょう!
そもそも「スクリーンタイム」とは?なぜ今注目されているのか
まず、スクリーンタイムとは「テレビ・スマホ・タブレット・パソコンなどの画面を見ている時間」のことです。
近年、スマートフォンやタブレットの普及により、乳幼児がデジタル画面に触れる機会は急速に増えています。
動画配信サービスや知育アプリの登場もあり、「0歳からスマホに触れている」という家庭も珍しくありません。
なぜ幼児のスクリーンタイムが問題視されるのか?
乳幼児期(0〜3歳)は、脳の発達が最も急速に進む時期です。
この時期の感覚体験(触る、聞く、見る、動く)が脳の神経回路の形成に大きく影響します。
| 年齢 | 脳の発達で重要なこと | スクリーンの潜在的リスク |
|---|---|---|
| 0〜12ヶ月 | 五感を使った環境との相互作用 | 一方的な目と耳からの刺激に偏る |
| 12〜18ヶ月 | 言語発達・社会的相互作用の基礎 | 対人コミュニケーションの機会減少 |
| 18〜24ヶ月 | 感覚統合・運動発達の加速 | 身体活動・感覚探索の時間が奪われる |
| 24〜36ヶ月 | 自己制御・注意力の発達 | 過剰な刺激による注意力への影響 |
米国小児科学会(AAP)は、以下のガイドラインを発表しています。
- 18ヶ月未満: ビデオ通話以外のスクリーンタイムは避ける。
- 18〜24ヶ月: 保護者と一緒に質の高いコンテンツを少量のみ。
- 2〜5歳: 1日1時間以内、保護者が一緒に視聴する。
最新研究が明らかにした「スクリーンタイムと感覚処理の困難さ」の関係
Drexel大学×福井大学の研究で何がわかった?
Drexel大学と福井大学の研究チームは、幼児期のスクリーンタイムと感覚処理の困難さとの関連を調査しました。
感覚処理の困難さとは、周囲の刺激(音・光・触感など)に対する脳の処理がうまくいかない状態で、ADHD(注意欠陥・多動性障害)や自閉症スペクトラムの子どもに多く見られる特性です。
研究の主な結果
以下が、研究で明らかになった具体的なデータです。
| 時期 | スクリーンタイムの条件 | 結果 |
|---|---|---|
| 生後12ヶ月 | スクリーンへの露出あり | 33ヶ月時点で「低登録」の感覚行動と関連 |
| 18ヶ月 | 1日1時間の増加ごと | 「感覚回避」「低登録」のオッズが23%増加 |
| 24ヶ月 | 1日1時間の増加ごと | 「感覚探索」「感覚過敏」「感覚回避」のオッズが20%増加 |
※ポイント: スクリーンタイムが長いほど、複数の感覚処理パターンに影響が出る可能性があり、特に早期(12ヶ月)からの露出がその後の感覚発達に関わっていることが示されました。
「感覚処理の困難さ」の4つのタイプ
研究で言及されている感覚処理のパターンを整理すると、以下の4タイプに分かれます:
| タイプ | 一言で言うと | 具体的な行動例 |
|---|---|---|
| 低登録(Low Registration) | 刺激に気づきにくい | 名前を呼んでも反応しない、痛みに鈍い |
| 感覚探索(Sensation Seeking) | 刺激をもっと求める | 常に動き回る、物を口に入れ続ける |
| 感覚過敏(Sensory Sensitivity) | 刺激に敏感すぎる | 大きな音で泣く、特定の服の素材を嫌がる |
| 感覚回避(Sensation Avoiding) | 刺激を避けようとする | 人混みを嫌がる、新しい食べ物を拒否する |
今日からできる!幼児のスクリーンタイムを減らす5つのステップ
「研究結果はわかったけど、実際にどうすればいいの?」という方のために、無理なく実践できる具体的なステップをご紹介します。
ステップ1:現状を把握する
まずは、お子さんが1日にどれくらいスクリーンを見ているかを3日間記録してみましょう。
テレビ、YouTube、アプリなどすべて含めてカウントしてみてください。
ステップ2:「スクリーンフリー」の時間帯を決める
いきなりゼロにするのではなく、食事中・寝る前1時間・朝の支度中など、特定の時間帯をスクリーンフリーに設定します。
ステップ3:代わりの遊びを用意する
スクリーンの代わりになる感覚遊びを事前に準備しておくのがコツです。
- 触覚遊び: 粘土、砂遊び、水遊び
- 聴覚遊び: 楽器、歌、自然の音を聞く散歩
- 運動遊び: ボール遊び、ダンス、公園の遊具
- 視覚遊び: 絵本の読み聞かせ、お絵かき、積み木
ステップ4:親自身のスクリーン習慣も見直す
子どもは親の行動を模倣します。
親がスマホを見ている姿を減らすことも、子どものスクリーンタイム削減に効果的です。
ステップ5:少しずつ段階的に減らす
1週間に15分ずつ減らすなど、無理のないペースで調整しましょう。
完璧を目指すのではなく、「先週より少し減った」を積み重ねることが大切です。
よくある疑問&誤解
Q1:「教育アプリなら大丈夫?」
A:教育アプリであっても、スクリーンタイムであることに変わりはありません。
米国小児科学会は内容の質に関わらず、18ヶ月未満では画面視聴を推奨していません。2歳以降で使う場合は、必ず保護者が一緒に見て、内容について会話する「共同視聴」が重要です。
Q2:「少しでも見せたら発達障害になるの?」
A:いいえ、この研究が示しているのは「相関関係」であり、「因果関係」が確定したわけではありません。
スクリーンタイムが長いほどリスクが高まる傾向がある、というデータです。少量の視聴で即座に問題が起きるわけではないので、過度に不安になる必要はありません。
Q3:「もう見せてしまった…手遅れ?」
A:決して手遅れではありません。
脳は幼児期において非常に高い可塑性(変化する能力)を持っています。今からスクリーンタイムを適切に管理し、感覚刺激が豊かな遊びを増やすことで、良い影響を与えることができます。
Q4:「ワンオペ育児でスクリーンに頼らざるを得ないときは?」
A:育児の現実を否定するものではありません。
大切なのは「罪悪感を持つこと」ではなく、「意識して管理すること」です。
どうしても必要な場面では、時間を決めて、内容を選び、終わったら一緒に別の遊びに切り替えることを心がけましょう。
研究データを深掘り!スクリーンタイムが脳に与える影響のメカニズム
なぜスクリーンが感覚処理に影響するの?
研究者たちは、以下のメカニズムを仮説として挙げています。
- 受動的な刺激への過剰適応: スクリーンは高速で変化する視覚・聴覚刺激を一方的に提供するため、脳が「受け身で刺激を受ける」パターンに慣れてしまう可能性がある。
- 感覚探索機会の喪失: スクリーンを見ている時間は、触覚・嗅覚・固有受容覚(体の位置を感じる感覚)などの多様な感覚体験の時間が減少する。
- 注意制御への影響: 高刺激のスクリーンコンテンツに慣れると、穏やかな日常の刺激に対する注意力が育ちにくくなる。
他の研究との比較
Drexel大学・福井大学の研究は、過去の研究とも整合性があります。
| 研究 | 主な発見 |
|---|---|
| JAMA Pediatrics(2019年) | 幼児期のスクリーンタイム増加が脳の白質の発達に影響 |
| Canadian Paediatric Society(2017年) | 2歳未満のスクリーン使用と言語発達の遅れに関連 |
| Drexel大学・福井大学(2023年) | スクリーンタイムと感覚処理の困難さに直接的な関連 |
※重要な注意点: これらの研究はいずれも相関関係を示すものであり、「スクリーンが原因で発達障害になる」と断定するものではありません。遺伝的要因、家庭環境、その他の育児要因も複合的に関わっています。
まとめ
この記事のポイントを整理します。
- Drexel大学と福井大学の研究で、幼児期のスクリーンタイムが感覚処理の困難さ(低登録・感覚回避・感覚過敏・感覚探索)と関連することが明らかになった。
- 生後12ヶ月でのスクリーン露出は、33ヶ月時点の感覚発達に影響する可能性がある。
- 18ヶ月で1日1時間増えるごとに23%、24ヶ月で1日1時間増えるごとに20%、感覚処理の困難さのリスクが増加。
- AAPのガイドラインに従い、18ヶ月未満はスクリーンを避け、2〜5歳は1日1時間以内を目安にする。
- 完璧を目指す必要はない。現状を把握し、少しずつ減らし、代わりの感覚遊びを増やすことが大切。
次にやってみてほしいこと
- 今日から3日間、お子さんのスクリーンタイムを記録してみる。
- 1つだけ「スクリーンフリーの時間帯」を決めて実践する。
- 気になる行動があれば、かかりつけの小児科医や発達支援の専門家に相談する、
出典: 本記事の研究データは、Earth.comに掲載されたDrexel大学と福井大学の共同研究に基づいています。詳細はEarth.comをご参照ください。
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