誰でも一度はこんなことを考えたことがあると思います。
あなたが学生なら定期的にテストがありますし、社会人になってからも様々な業務を覚えたり、必要なスキルを身に付けたりと、「記憶力」は人間が生きていく上で非常に重要なものです。
もしも、勉強したことがスイスイ頭の中に入ってきたら最高だと思いませんか?
あなたが記憶の特徴を正しく理解したのなら、不可能ではありません。
この記事では、記憶の特徴を生かした効率的な勉強法をご紹介します。
脳には脳なりの能率的な学習方法があるのです!
もうがむしゃらに勉強して消耗するのはやめましょう!
記憶力が良くなりたい?記憶の特徴を知れば効率的に覚えられますよ
記憶の特徴も知らずに、がむしゃらに勉強するのは「知らない街を地図もなく進むようなもの」です。
脳はまだまだ分からないことだらけですが、これまでに科学者たちのたゆまぬ努力によって、明らかになってきたことがあります。
それを利用しない手はありません!
記憶のしくみを理解すれば、自然と答えは見えてきます。
午前中が学習に適している理由
あなたは脳が一番働く時間帯を知っていますか?
何となく想像がつくと思いますが、十分に睡眠をとった午前中が一日の中で最も頭が働きます。
朝の脳の状態はよく“何も物が乗っかってない机”にたとえられます。
時間が経つにつれて様々な情報が入ってくるので、机の上も散らかってきます。
そのため、まだ情報が入ってきていない午前中が脳にとって、効率的に学習ができる時間帯なのです。
さらに、時間が経つにつれて脳はエネルギー切れを起こしやすくなります。
人間が思考・推論・計画などを行う際に使うところが、おでこの後ろ辺りにある前頭葉の「前頭前野」という部位です。
脳の重さは体重の2%ほどしかありませんが、脳が消費するエネルギー量は全体の20~25%にもなります。
しかも、思考・推論・計画などの高次の脳機能に回されるエネルギーは食べ物を消化したり、筋肉を動かしたりするのに使用された後の最終的に残ったエネルギーなので、別のことにエネルギーを使ってしまうと、判断力・集中力が低下していきます。
なので、午前中は学習に適しているのです。
記憶のゴールデンタイムを活用しよう!
という方も多いと思います。
そんな方のために、午前中以外で最も学習に適した時間帯をお教えします。
それは「寝る前の15分」です。
この時間帯は「記憶のゴールデンタイム」と言われています。
では、なぜ寝る前の15分が記憶のゴールデンタイムと言われているのかをご説明します。
人間は睡眠中にその日にあった出来事やインプットされた情報を整理し、記憶として脳に定着させます。
なので、インプットをしたあとに、何もせずに眠ると記憶として定着しやすいのです。
そのことは実験によっても示されています。
夜間に勉強をしてもらい、眠るまでの2時間に
・何もしないグループ
・映画を観るグループ
に分けて、翌日テストを行い記憶がどれだけ定着しているかを調べました。
すると、「映画を観るグループ」よりも「何もしないグループ」の方が成績が高かったのです。
なぜこのような結果になったのかというと、記憶の定着を邪魔する原因として「記憶の衝突」があります。
何かを暗記したあとで、似たような情報や余計な情報が入ってくると、脳の中で情報同士が衝突してしまい、記憶が定着しづらくなってしまうのです。
記憶のゴールデンタイムを活用する際は、眠る直前に勉強し、その後はスマホをいじらずに寝ましょう!
初頭効果と親近効果を最大限に活用しよう!ポモドーロテクニックのすゝめ
あなたが1時間勉強するとき、どこが一番記憶に残ると思いますか?
答えは勉強の「初め」と「終わり」です。
勉強の初めは「よし!勉強するぞ!」とやる気がありますが、次第に集中力が切れてしまい、終わりに近づくと「よっしゃー!もう少しで終わりだ!」と再びやる気が出てきます。
心理学者のローワン・アトキンソン(Rowan Atkinson)とリチャード・シフリン(Richard Shiffrin)がこの「人間の記憶は初めの記憶と最後の記憶が定着しやすい傾向がある」という「系列位置曲線」を発見しました。
ちなみに、勉強の初めの記憶が定着しやすいことを「初頭効果」、勉強の終わりの記憶が定着しやすいことを「親近効果」と言います。
この「初頭効果」と「親近効果」を最大限に活用するには、勉強時間を細かく区切れば良いんです!
細かく区切れば「初め」と「終わり」がたくさんできるので、それだけ記憶に定着しやすくなるという作戦です。
そこでオススメの方法が「ポモドーロテクニック」です。
これは25分間集中して勉強し、5分間休憩をするサイクルを繰り返すという方法です。
5分間の休憩ではちょっと身体を動かしたり、瞑想したりするのが良いです。
ちなみに、ポモドーロテクニックはメンタリストDaiGoさんも活用しているテクニックです。
分散学習で忘れにくい記憶を形成しよう!
学習において、復習が大切だということは誰もが知っていると思います。
ただ、記憶を定着させるのに最適な復習のタイミングを知っていますか?
「分散学習」とは、復習の間隔を少しずつ伸ばすというテクニックです。
研究者のピョートル・ウォズニアックが膨大なデータから導き出した復習に最適なタイミングが
- 1~2日後に復習する
- 7日後に復習する
- 16日後に復習する
- 35日後に復習する
- 62日後に復習する
です。
このスケジュールは、人間の記憶が薄れていく時間の平均値をベースに組み立てられています。
ウォズニアック版の分散学習はスケジュールがけっこう複雑なのがネックです。
そこでウォズニアック版ほどの精度はありませんが、より気軽に取り組むスケジュールとして「2×2ルール」があります。
- 学習
- 2日後に復習
- 2週間後に復習
- 2か月後に復習
という覚えやすいスケジュールなので、ウォズニアック版よりは始めやすいかと思います。
イメージ化した方が覚えやすい
この世の中には、円周率を何百何千と暗唱したりするなど、とんでもない記憶力の持ち主がいます。
彼は一体どうやって記憶しているのでしょうか?
実は彼らの多くは情報をそのまま記憶しているのではなく、「イメージ化」して記憶しています。
例えば、「リス・クルミ・木」という3つの単語を覚えようとするとき、単純に「リス、クルミ、木、リス、クルミ、木...」と繰り返して覚える方法と「リスがクルミを口にくわえて木を登っている」場面をイメージする方法があります。
前者を「維持リハーサル」といい、後者を「精緻化リハーサル」といいます。
「維持リハーサル」よりも「精緻化リハーサル」の方が忘れにくく、長期記憶に移行しやすいということが分かっています。
また、オススメの記憶術として「マインドパレス(記憶の宮殿)」という方法があります。
それに関してはこちらの記事で説明してます。
アウトプット前提の学習効果
という悩みを抱えていませんか?
そんなあなたにとっておきの方法があります!
それは本や映画を観る前に「この本(映画)をみたら、SNS(ブログなど)に投稿しよう!」とアウトプットすることを前提にすることです。
この「アウトプット前提の勉強法」は本当にすごいです。
僕は学習したことをブログやSNSに投稿するようにしているのですが、ただ単にインプットだけした時とアウトプット前提の時とでは、断然アウトプット前提の方が記憶に定着します。
その理由はアウトプット前提だと、心理的にプレッシャーがかかり緊張状態になるからです。
プレッシャーがかかると、ノルアドレナリンという脳内物質が分泌され、集中力・記憶力・思考力などが高まります。
「アウトプット前提の学習法」通称「AZ」をもう少し詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
鍛えた分だけ記憶力がつく!?
あなたの耳の奥あたりに左右1つずつ細長いキュウリのような形をした「海馬」という部位があります。
「記憶」はこの海馬と深く関係しているのですが、海馬は使えば使うほど膨らみ、記憶力が増大するということが分かっています。
突然ですが、タクシー運転手ってすごいと思いませんか?
縦横無尽に走っている複雑な道から的確に目的地までの最短距離を導き出すことが出来るというのは驚くべき能力です。
彼らの頭の中には詳細な道路地図があることが想像できますし、「あの交差点は週末になるとしょっちゅう工事をしてるから、一つ前の交差点で曲がらないと!」とか「この道を抜ければ、信号に捕まらずに行ける!」など、長年にわたって蓄積されてきた知識や経験も貴重な手掛かりになります。
これらの知識や経験は「記憶」として脳に保管されているので、タクシー運転手の思考・判断は自分が蓄えている記憶に頼っているということになります。
イギリスの認知神経学者のマグワイアはタクシー運転手の優れた記憶力に感銘を受けた1人で、ロンドン市内を走るタクシー運転手16人を対象に、sMRIと呼ばれる医療機器を使って、彼らの脳を調べました。
その結果、タクシー運転手の「海馬」が一般の人比較して、大きいということが明らかになりました。
しかも、タクシー運転手の中でもベテランであればあるほど、海馬が発達していたのです。
つまり、鍛えた分だけ海馬は大きくなり、記憶力がアップするという訳です。
記憶力をアップする魔法の薬
「飲めば記憶力がアップする薬」
映画やアニメの中だけに存在するものだと思っていませんか?
実はあなたが生きるこの世界にもそれに近いものが存在します。
それはコーヒーなどに含まれるカフェインです。
コーヒーの歴史は10世紀にまで遡り、人類と最も関わりの深い嗜好品の1つであると言ってもおかしくありません。
カフェインには覚醒作用があるので嗜好品としてだけではなく、仕事中の眠気を覚ましたりする目的でも、コーヒーはよく飲まれています。
脳研究者たちが行った大規模な研究でカフェインを服用すると、映画やアニメの中ほどではないですが、テストの成績が上昇することが確認されています。
ただし、だからと言ってコーヒーをガブガブ飲めば、成績が爆発的に上がるという訳ではありません。
カフェインには微量ながらも依存性があるので、飲み過ぎると身体に悪影響を及ぼします。
また、カフェインをずっと取っているとカフェイン耐性がつき、効果が薄くなってしまいます。
カフェインは手軽に入手できる記憶力のドーピング剤ですが、摂り過ぎにはご注意ください。
まとめ
この記事では、記憶の特徴を生かした学習方法をお伝えしました。
僕は高校時代にギリギリの点数で入学しましたが、最初の中間テストからいきなり学年で10番以内に入る好成績を収めました。
その後も中間テスト・期末テストでは常に学年で1桁の順位でした。
僕が何をしたのかというと、先ほどご紹介した「記憶のゴールデンタイム」を活用した勉強法です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
当時は「記憶のゴールデンタイム」なんて知らなかったので、偶然それを活用していただけだったのですが、のちのち記憶について学んでいく内に
と妙に腑に落ちたのを覚えています。
そして、「もっと記憶について勉強したら、もっと効率的にたくさんのことを覚えられるんじゃないか」と考えて、脳について勉強をしました。
その一端をこの記事ではご紹介しました。
いきなり全部取り入れるのは大変だと思うので、「これなら出来そう!」と思うものを試して見てください。
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参考文献
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